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2017-09-07

IBM、念願のオービック越え ビッグプレーで流れ変えた

Xリーグは9月5日、東京ドームで、第1節注目の好カード、IBMビッグブルー対オービックシーガルズの1戦が行われ、試合中盤に猛攻を見せたIBMが38-34で勝って、念願の「オービック越え」を果たした。

【IBM vs オービック】オービックRB李の突進をガッチリ受け止めるIBMのDLトゥアウ。両チーム期待の新戦力がぶつかり合った瞬間だ

IBM〇38-34●オービック

春の東日本社会人選手権「パールボウル」から、2試合連続の対戦は、互いのプライドをかけて力と技を尽くした激しい攻防となった。

FGで先制したのはIBMだが、オービックは脚部を負傷して欠場したイカイカ・ウーズィーの代わりに先発したQB菅原俊のパス、ルーキーRB李卓のランが好調。4プレーで75ヤードを進むと、最後はRB望月麻樹がエンドゾーンに走り込んであっさり逆転した。オービックの攻撃はこの後も止まらずに前半でさらに2TDを重ね、試合の主導権を握った。しかし、IBMも、QBケビン・クラフトが、ホットラインのTEジョン・スタントンに2本のTDを決めて前半を17-21と4点のビハインドで、後半へ折り返した。

第3クオーター開始から12プレー5分以上を費やして57ヤードを進み、ゴール前3ヤードまで迫ったオービックオフェンスは、サードダウンでパスに出る。ここでIBMのDLジェームズ・ブルックスがQB菅原に激しいラッシュを仕掛けた。菅原が無理に投げたボールはコントロールが効かず、横回転して俗にいう「ガメった」状態に。IBMのDB小林達真がインターセプトするとそのままオービックサイドラインの前を駆けあがり、98ヤードのリターンTD。IBMが逆転した。

ビッグプレーでモメンタムを掴んだIBMは、さらに交代出場のQB政本悠紀のキーププレーでTD、第4クオーター開始直後にも、RB末吉智一が力でねじ込んでTDを奪ってオービックを突き放した。

第4クオーターに17点を追う展開となったオービックは、試合最終盤に、歴戦のベテラン菅原のパスが次々に決まり、IBMを追い詰めた。しかし、残り2分を切ったところでフォースダウンのギャンブルにいかず、点差を詰めることを狙って選択したFGトライが失敗。残り47秒からのドライブで菅原が残り時間ゼロ秒となったところでTDパスを決めたが、無念のタイムアップ。同じ千葉県に本拠地を置くライバルチーム同士ながら、オービックに幾度となく煮え湯を飲まされてきたIBMが、スリリングな攻防の末に、ついに念願の初勝利を挙げた。

勝ったIBMは、最後まで崩れることなくプレーしたクラフトがパス191ヤード、ラン42ヤードでオフェンスをけん引。政本はパス5/5でパーフェクト、走っても25ヤードで1TDを挙げた。TEスタントンはパスで183ヤード2TDキャッチと奮迅の働き。RB勢では、末吉、鈴木恵多、高木稜がフル回転。特に高木は、勤務先の名古屋から新幹線で駆け付けて後半から出場し、フレッシュな動きでオービック守備陣を翻弄した。ディフェンスでは大黒柱のブルックスが、ゲームMVP級の働き、さらに新加入のチャールズ・トゥアウが巨体に似合わぬ俊敏な動きを見せた。DL福岡祐希が3QBサックと伏兵ながら面目を施した。

敗れたもののオービックは、ルーキーRB李が、インサイド、アウトサイドで力と速さを兼ね備えたランを見せて14回136ヤードと活躍した。菅原はミスもあったがパス281ヤード4TDとイカイカ不在を十分に埋めた。切り札・WR木下典明は75ヤードのビッグリターン、「フィジカル王」DB藤本将司はクラフトのパスをインターセプトと、見どころは多かった。

活躍すべき選手が活躍した、花も実もある好ゲームは、東京ドームを訪れたファンだけでなく、千葉テレビの生中継を見た人たちをも魅了したに違いない。

IBMの山田晋三HCは「(6月のパール、今日の試合に続いて)オービックとは3回目の対戦が必ずある。そこが本当の勝負」と初勝利の余韻に浸りながらも、しっかり先を見据えていた。

(取材・撮影:小座野容斉)

【IBM vs オービック】第1クオーター4分、オービックRB望月が力強い走りでTDを奪う。後方はガッツポーズするQB菅原

【IBM vs オービック】力強い突進を見せるIBMのRB末吉。ラン15回72ヤードとラン攻撃の軸となった

【IBM vs オービック】過去のオービック戦とは違い、最後まで冷静にプレーし続けたIBMのQBクラフト

【IBM vs オービック】新QBイカイカの故障で、最後まで一人で投げぬいたオービックQB菅原

【IBM vs オービック】パス11回183ヤードレシーブ、2TDと獅子奮迅の活躍を見せたIBMのTEスタントン

【IBM vs オービック】力強い突進を見せるオービックRB李。ゴールデンルーキーはラン136ヤードと、期待にたがわぬ活躍を見せた

【IBM vs オービック】第3クオーター10分、オービックDLのKJとLB中西をジャンプしてかわしながらTDを決めるIBMのQB政本

【IBM vs オービック】IBMディフェンス陣のタックルを引きずりながらファーストダウンを奪うオービックWR木下。パスキャッチだけでなく、75ヤードのビッグリターンを見せるなど「危険な男」は健在だ

【IBM vs オービック】勤務先の名古屋から新幹線で駆け付け、切れ味鋭い走りでオービックを翻弄したIBMのRB高木

【IBM vs オービック】第3クオーター6分、自陣ゴール前からオービックQB菅原にプレッシャーをかけるIBMのDLブルックス。菅原が無理に投げたパスは横回転で「ガメっている」状態となり、DB小林のインターセプトに結びついた

【IBM vs オービック】第3クオーター6分、自陣ゴール前の絶体絶命のピンチでパスをインターセプトし、98ヤードのリターンTDを決めたIBMのDB小林

【IBM vs オービック】遂に念願のオービック戦初勝利を果たし、古庄HCと握手を交わすIBMの山田HC

【IBM vs オービック】IBMを応援に駆け付け、息の合ったジャンプを見せる「つくばオールスターチア」

【IBM vs オービック】ハーフタイムショーでオービックの新しい応援ソング「FLY!」を歌うチーム公認アーティストのbless4

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