写真=深紅のコスチュームに身を包んだ藤本つかさ(写真中央)。女子プロレス大賞を初受賞し、アイスリボンの仲間たちから祝福された=(C)週刊プロレス
去る12月12日、2018年度プロレス大賞選考会がおこなわれ、女子プロレス団体「アイスリボン」の看板選手にして取締役選手会長、そしてICE×∞王者でもある藤本つかさ(35)がデビュー10周年の女子プロレス大賞初受賞を果たした。
2018年、藤本は団体のチャンピオンとして四角いリングで大暴れ…するだけでは飽き足らず、JR山手線の車内などハチャメチャな舞台でも闘いを繰り広げ、世の中にプロレスを発信。さらには「プロレスでハッピー!」を掲げる団体カラーとは真逆の電流爆破デスマッチにも初挑戦。試合には敗れるも強烈なインパクトを残した。
その原動力は「女子プロレスを広めたい」という思い。「こんなに楽しいものはないと思うんです!」と語るプロレスに魅了されて突っ走ってきた藤本は、アイスリボンに集まった仲間や後輩たちとともに女子プロレスの魅力をこれでもか!と発信してきた。個人の活動に加え、業界を盛り上げたアイスリボンの団体力と、そんな団体を引っ張ってきたリーダーシップなども評価され、10周年という節目に大きな勲章を得た。そんな〝アイスリボンの象徴〟藤本つかさに話を聞いた。
――2018年度女子プロレス大賞、受賞おめでとうございます!
藤本 ありがとうございます!
――デビュー10周年での初受賞。今年はとても中身の濃い一年を過ごされたと思います。こういった賞レースというのも少なからず意識されたのでは?
藤本 最初は全く意識してませんでした。でも、6月にICE×∞のベルトを取ったときにそういう声がチラホラ聞こえてきて。お客さんからも「女子プロ大賞取ってね」って言われたり、(アイスリボンのエースの)世羅りさも「つっかさんが取ってくれたらうれしいですね」って言ってくれて。
――確かに言ってましたね。
藤本 はい、大阪の取材の時ですよね、タコ焼き食べながら(笑)。
――そうでした(笑)。まわりからそういう声が入ってきたら意識せざるを得なかったのでは?
藤本 意識というか、私が取ることでこんなに嬉しがってくれる人がいるんだなとは思いました。だったら、自分だけの気持ちで『そんな、そんな』とか言ってる場合じゃないなって。
――多くの人が望んでくれてる状況は…。
藤本 ありがたいですよね、ホントに。
――それに応えることができたと?
藤本 はい!
――10周年での初受賞となりました。昨年はノミネートすらかなわなかった現実を考えると、大きな飛躍となりました。その原動力は?
藤本 女子プロレスを広めたいっていう一心でずっとやってきて。その一心で続けてきた結果、この賞をいただけたのかなって。やってきたことは間違いじゃなかったんだなって。
新人の時は自分のためのプロレスでした。それがだんだん変わってきて、お客さんのため、後輩たちのため、アイスリボンのため、そして女子プロレスのため、そんなふうになってきたので。その過程でプロレスに対する思いが強くなっていったのかなって。でも、ホントに自分がやってて思うのは、プロレスってこんな楽しいものはないなって思うんです。
――藤本さんの根っこにあるのは…。
藤本 その気持ちです。そして、その楽しいプロレスをみんなに知ってほしいなっていう気持ちで10年続けてきたので。この賞がキッカケで、またさらにアイスリボンが広がるハズですし、私が取ったことで後輩たちが「アイスのベルトを取ればもしかしたら自分も…」っていうモチベーションを高めることができると思うし。そういう意味でもうれしいし、そのうれしさをみんなと共有できるのが余計に嬉しい! ホントうれしさ倍増です!
――女子プロ大賞受賞というニュース自体が世の中への波及効果を生むでしょうね。
藤本 はい。ひと言でプロレスファンって言っても、男子のプロレスしか見てないよっていう人もいっぱいいるじゃないですか。そういう人たちの目にふれると思うんです。流し読みかもしれないけど、「藤本つかさ? 誰だろう?」「アイスリボン? 女子プロレスか?」ってなると思うので。また女子プロが広がるキッカケになるのかなと思います。
――デビュー10周年という節目での受賞。藤本選手個人としても報われたかなという思いがあるのでは?
藤本 やっぱりありますね。自分の気持ちでは一昨年だってプロレスを広めたい、去年も女子プロレスを広めたいっていうふうにやってきたんですけど、それを続けていくことで見てくれてる人たちがいたんだなっていうのを今年、感じました。10年間やってきて、ホントに良かったなぁって(しみじみ)。
――藤本選手がプロレスを始めたキッカケは映画出演の条件でした。それがプロレスにハマり、結果、女子プロレス大賞を受賞。あの時、辞めなくてよかったなという思いもあるのでは?
藤本 「プロレス、やりたい!」っていうのは、デビュー戦の時から思っていたことですけど、ただ、あの時の自分が10年後にこうなるなんて予想もつかなかったです。きっとアイスリボンにいたから続けてこれたんだと思うし、アイスリボンだからいまの私があると思っているので。今回、藤本つかさが女子プロレス大賞を受賞ってなりましたけど、私のなかではアイスリボンが女子プロレス大賞を受賞した、そう思っているので。
――アイスリボンという団体には小学生のキッズレスラーがいたり、マットプロレスが出発点だったこともあって「どうせアイスリボンでしょ?」と揶揄されることが多い団体だったと思います。
藤本 でも、私はアイスリボンで生まれたから、アイスしか知らないんです、プロレスは。だから、「どうせアイスでしょ?」って言われる理由もよく分からなかった。でも、この10年アイスリボンにいた結果、こんなにたくさんの仲間が増えて、スタッフも増えましたし。千春(=リングアナ)さんや、MIO(=レフェリー)さん、豊田(真奈美=スーパーバイザー。3人とも元レスラー)さん、プロレスを引退した人もそれぞれの形でアイスリボンのサポートをしてくれてる。そして、たぶんこれからもドンドンドンドン大きくなっていくんだと思います。
――今年、藤本さんは女子プロレスの黄金時代をアイスリボンなりのやり方でもう一度築き上げたいという大きな目標を掲げ、それを口にし続けました。
藤本 はい、(女子プロ大賞受賞が)大きな力になると思っています!
――それを現実にするべく、メチャクチャ濃い1年を過ごされたわけで。デビュー10周年、6月にはICE×∞を取って、8・26横浜文体のメインを締めて、山手線のなかでもプロレスをやって、電流爆破にも挑戦。週プロ的にウェディングドレスも着てもらって、温泉にも入ってもらって、花火も見に行ったり、街中をコスチューム姿で歩き回させたりとありとあらゆる企画にのってもらって。そんな2018年、ついには女子プロ大賞まで取っちゃって。
藤本 ホントですねぇ。いまが私のピーク…(苦笑)。
――ピークになってもらっちゃ困るので、ぜひ2019年の野望を語っていただきたいなと思うわけですよ!
藤本 野望……ねぇ(笑)。
――ねぇって(苦笑)。
藤本 アハハ! 来年もやっぱり今年と気持ちは同じで。私は誰と試合しようが、どこの団体に出ようが、『女子プロレスを広めたい!』っていう、その一心で試合をするので。ただ、今年よりも来年のほうが気持ちは強くなったと思います、プロレスを広めたいという思いは。
――なるほど。あとは?
藤本 あ、あれ? お祝いのインタビューなのに厳しくないですか?(苦笑)
――ここをピークにしてもらったら困りますからね!
藤本 そうですよね(苦笑)。えーと、今年のひと文字が発表されたじゃないですか。
――「災」でしたね。
藤本 はい。来年は、いま言っていただいた2018年を基準にします。試合も、話題も、すべてにおいて超える! だから私のひと文字は「超」にします! 「災」っていうちょっとネガティブなものすら乗り越えて、ハッピーにしていきたい。2018年の藤本つかさを、2019年の藤本つかさが超えます!
――おー! …本人を前にしてこんなこと言うのもなんですが、藤本つかさってホント不思議な魅力をもったプロレスラーだと思うんです。
藤本 なんですか、急に。
――たとえば見た目だけだったらプロレスラー感薄いじゃないですか。
藤本 薄いですかね(苦笑)。確かにはじめて会った人に「ホントにプロレスやってるんですか?」とか言われて、筋肉触られたりして、「やめて!」「セクハラ!」って思うとき、けっこうあります(苦笑)。
――超ゴツいわけでも、超強そうなわけでもないですし。
藤本 まぁそうですよね。
――でも、すごくプロレスラーじゃないですか。
藤本 お、ありがとうございます。ホメても何もでませんよ、ウフフ。
――おまけにこんな感じだし。
藤本 こんな感じって(苦笑)。まぁこんな感じなんですけど。
――そんな藤本つかさが女子プロレス大賞を取ったわけですから、たぶん女子プロ界はまた何か変わるのかなって期待しちゃいますよね。
藤本 期待してください、アハハ!
週刊プロレス及び週刊プロレスモバイルにおいて露出しまくった藤本
――なぜそこで笑うのか分かりませんが(苦笑)、来年を語る前にまずは大晦日、12・31後楽園ホール大会ですよ。
藤本 はい!
――ICE×∞王者であり、2018年度女子プロレス大賞受賞者として…。
藤本 おー! 選手コールの時もそう呼んでほしいですね(笑)。
――それは、千春リングアナかはらあいリングアナに直接頼んでください(笑)。とにかく、大晦日に勝たないことには先に進めないですよ!って話です。
藤本 もちろんです! やっぱり「来年も盛り上げてくれよ!」っていう期待も込みで、女子プロレス大賞という賞をいただいたと思うので。来年もベルトを持って、王者のまま試合をしていきます。わたくし、いまパワーがみなぎっておりますので! 後輩の追い上げはもちろんうれしいですけど、届かないぐらいまでトップを走ってやろうと思いますね。そしたらそれが団体の底上げにもなりますし。
――週プロでコラムを書かれている天龍源一郎さんがよく言われるんですが、トップの人間が後輩の位置まで下りていくんじゃなくて、トコトンまで突っ走って、それを下の人間が追いかけてくるほうが団体としての底力があがると。藤本さんはそれを実践されるというわけですね。
藤本 そうです! それです!
――12・31後楽園ではキャリア5年目、トーナメントを制した雪妃真矢選手と激突します。雪妃選手は、突っ走る藤本さんに追いついてきそうですか?
藤本 追いついてくると思いますよ、雪妃ならきっと。でも私のほうが、さらに届かないぐらい上にいきますけど、フフフ。
――では大晦日に防衛して、2019年も…。
藤本 藤本つかさ、突っ走りたいと思います!
「RIBBONMANIA2018」
★12月31日=東京・後楽園ホール(11:30)
▼ICE×∞選手権試合(30分1本勝負)
<王者>藤本つかさVS雪妃真矢<挑戦者>
▼インターナショナルリボンタッグ選手権試合(20分1本勝負)
<王者組>星ハム子&宮城もちVS弓李&尾崎妹加<挑戦者組>
▼トライアングルリボン選手権試合(15分1本勝負)
<王者>趙雲子龍VS松本都<挑戦者>VS松屋うの<挑戦者>
▼志田光VS世羅りさ
▼すず(仮)デビュー戦◎朝陽が対戦相手に決定。シングル、タッグなどは未定
■チケット情報
最前列8000円(完売)、特別リングサイド席6000円、リングサイド席5000円、指定席A4000円、指定席B3000円、レディースシート3000円
※当日は各1000円増。
■詳細はアイスリボンホームページにて。
http://iceribbon.com/
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