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2024-11-01

【しゅりんぷ池田のカード春秋】プロ野球90周年カード(第3回)「鉄人」と「スピードガンの申し子」

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プロ野球90周年カード」の「ニックネーム・キャッチフレーズ」カードについて語る3回目。2215試合連続出場のプロ野球記録を作った衣笠祥雄(広島)に冠せられた“鉄人”というニックネームも有名ですね。衣笠以前に連続試合出場記録を持っていたルー・ゲーリッグ(ヤンキース)が “鉄の馬”(Iron Horse)と呼ばれましたが、衣笠も同様な理由で鉄人と呼ばれるようになったと思われている人も多いかもしれませんが、さにあらず。

実は、衣笠が入団した65年から74年まで付けていた背番号が28で、これが横山光輝の人気マンガ「鉄人28号」に通じるということで鉄人と呼ばれ出したのでした。しかし、結果的に決して試合を休まない頑強な身体を誇る衣笠にふさわしいニックネームとなったのですから、不思議なものです。

NC05 鉄人:衣笠祥雄(広島)
NC05 鉄人:衣笠祥雄(広島)

小松辰雄(中日)に付けられた“スピードガンの申し子”というニックネームは、やや時代がかった言い回しですが、ご理解いただけますでしょうか。「申し子」というのは元来「神仏に祈ったおかげで生まれた子」という意味でしたが、現在では意味合いが拡がって「あるすぐれた能力をもつ人」を表します。近年だと明徳義塾高時代に4度甲子園に出場した岸潤一郎(西武)が「甲子園の申し子」と呼ばれていますね。

小松の出身校・星稜高は松井秀喜を輩出するなど現在では全国レベルの強豪校となっていますが、小松が2年時に夏の甲子園に出場してベスト4に進出した際は、まだ甲子園は2度目という新興校でした。小松は3年春夏も甲子園に出場し、ドラフト2位で地元球団の中日に入団します。プロ2年目から本格化するのですが、そのころから普及してきたスピードガンでしばしば150キロを計測し、スタンドを沸かせる人気者となり、“スピードガンの申し子”の異名が付きました。

当時の小松は自身の投じたボールが何キロ出たのか興味津々で、スコアボードに表示される球速を確認すべく、投げ終わるやいなや、ものすごいスピードで振り返っていたため、当時の正捕手・木俣達彦から「クビを痛めるから止めろ!」とたしなめられた、なんていうのもほほえましいエピソードです。

NC06 スピードガンの申し子:小松辰雄(中日)
NC06 スピードガンの申し子:小松辰雄(中日)


当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が先日の4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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