close

2024-12-13

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第24回「不眠」その3

平成27年秋場所3日目、横綱になって初めての休場となった白鵬が報道陣に囲まれる

全ての画像を見る
みなさんはどこで春近しを感じますか。
日に日に温みを増していく日差し? にぎやかになってきた鳥のさえずり? 
中には、なかなか起きられなくなった朝の目覚めを挙げる人もいるかもしれません。
春眠暁を覚えず、と言いますから。
五体の感覚をピーンと研ぎ澄まさなければいけない力士にとっても、この眠りはとても大事なんです。
でも、さまざまな理由で眠れず、悶々とした夜を過ごす力士もいます。
そんな力士たちの不眠にまつわるエピソードを集めました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

休場慣れしたの?

令和に入り、休場がめっきり増え、批判の的になっている白鵬(現宮城野親方)だが、若い頃は丈夫で休まないことが売りだった。

初めて休場したのは関脇時代の平成17(2005)年名古屋場所で、初土俵から5年目のことだ。横綱になって休場したのは昇進9年目の平成27年秋場所。場所前の稽古中に痛めた左ヒザの状態が思わしくなく、初日、2日目と連敗し、3日目から途中休場している。これで平成19年初場所から続けていた連続二ケタ勝ち星も51場所でストップした。
 
横綱になって初めて全休したのはその1年後の平成28年秋場所。名古屋場所中に痛めた右足親指が悪化。さらに無理して夏巡業に参加したことが原因で左ヒザや右足首までおかしくなり、ほとんど稽古もできない状態に陥っていたのだ。全休は10年ぶり、2度目になる。
 
取材に応じた白鵬は、

「(休場を決心した)前夜は若干寝れなかったよ。やっぱり相撲が好きなんですよね。またイチからやるんだと、帰って来たら、また強くなるんだと、そういう思いで、いろいろ考えて過ごしました。(しばらく)心と体を整理しながら、ゆっくり休みたい」
 
と言葉の端々に悔しさをにじました。それほど当時は出場し、土俵に上がることにこだわっていたのだ。
 
そんな白鵬の休場も、すでに全休、途中休場を合わせて18回に及んでいる。目下、4場所連続休場中だ(令和3年初場所終了時点)。まだあの頃の悔しさは残っているのだろうか。横綱の休場は優勝争いに大きな影響が出る。この白鵬が横綱になって初めて全休した場所を制したのは、前の場所負け越し、カド番だった大関豪栄道(現武隈親方)だった。

月刊『相撲』令和3年3月号掲載

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事