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2017-08-11

怒りの「噛ませ犬」発言 デスマッチファイター 竹田誠志が受けた屈辱

 大日本プロレス8・19名古屋大会でデスマッチヘビー級王座に挑戦する竹田誠志が怒っている。

 竹田は総合格闘技系団体であるU‐FILE CAMPで2007年にデビューするも、かねてから志向していた“デスマッチ”に傾倒。デビュー翌年にはデスマッチ団体である大日本に参戦し、デスマッチファイターとしてスタートを切り、流血をものともしない無鉄砲ファイトで頭角を現した。

 デスマッチ界の頂点に位置するBJW認定デスマッチヘビー級王座には、09年7・12横浜文体(VS宮本裕向)、10年7・30後楽園(VS伊東竜二)、12年2・26後楽園(VSアブドーラ・小林)、13年6・30後楽園(VS石川修司)、14年8・31名古屋(VS宮本裕向)と5度に渡り挑戦。いずれも王座奪取はならずも、最前線で激闘を繰り広げてきた。

 そしてプロレスキャリア10年、デスマッチデビューから9年で迎える6度目の王座挑戦。相手は自身の後進に位置する“デスマッチ第五世代”の王者・高橋匡哉。満を持しての初戴冠に向け燃えているかと思いきや、竹田が抱えていたのは複雑な思い。ここ数年の大日本マットで自身の置かれた立場、そして挑戦をアピールしたわけでも、王者から指名を受けたわけでもなく唐突に団体からのカード発表でタイトルマッチが決定したという経緯が、デスマッチ9年戦士のプライドを傷つけていた。

 初の前哨戦がおこなわれた大日本8・5六角橋大会の試合前、竹田に話を聞いた。
 

竹田誠志

「大日本のデスマッチはマンネリ。どうせなら楽しくデスマッチをやりたい」

――唐突な感もありますが、6度目のデスマッチヘビー級挑戦が決まりました。今の心境は?
竹田 唐突すぎるぐらい唐突に決まったんで。正直、ここ1、2年、大日本のデスマッチ見てきてというか、やってきて、正直刺激が足りないし、マンネリというか、同じようなメンバーで毎回巡業行って、同じような形式で同じようなことしかしてなかったので、正直ボク的には、あのベルトっていうのはここ1、2年は興味がなかったというか、「このベルト巻いて何があるんだろう?」という気持ちが強かったんで。正直、今もその気持ちですけど。

なぜ今回、このデスマッチヘビーの話を受けたかと言うと、正直なところを言うと、今の世代、まあ第五世代とか言ってますけど、正直ボクらがあいつらのキャリアの頃って、もっと必死にデスマッチに対して取り組んでた。デスマッチに対してもっと考えてたと思うんですよ。はたから見てですけど。アイツらの感覚と、お客さんの価値観は違うかもしれないですけど、ボクから見たらまだ必死さが足りないっていう。

まあどうせね、大日本プロレスに継続参戦してるんだったら、どうせなら楽しくデスマッチをやりたいじゃないですか。正直、ここ1、2年はやりたいデスマッチがこのリングでできてないんで。だったらオレがベルト巻いて、自由に、オレのやりたいデスマッチを、ベルト持てば権限があるわけですから、やりたいデスマッチをやってやろうじゃねえかっていう。その代わり、第五世代にはもっと大事なものがあるだろと。ベルトとかそういう、上でやるより、もっと必死さを見せてほしいなっていう。それがボクの考えですね。

「高橋ごとき」…王者への低評価は変わらず

――王者の高橋選手は5月にアブドーラ・小林選手からベルトを奪取し2度の防衛に成功していますが、チャンピオンとして不足?
竹田 不足というか、まあ貫禄は出てきましたけどね。正直、ボクが5年目とか6年目のキャリアのときに、ベルトを巻いてこのリングでメイン張って、ちゃんとしたお客さんが納得のいく試合をできるかっていったら、ムリでしたよね。正直、ムリだったし、プレッシャーも相当だったし。でもやっぱ、アイツを見てると満足感を感じちゃうんで。ああ、オマエの終着点ってそれなんだって。その先考えてねえなっていうのがすごい見えちゃうんで。

――あぐらをかいているように見える、と?
竹田 そうですね。だから、アブドーラ・小林に勝ったとはいえ、(高橋は)全盛期のアブドーラ・小林を知らない世代なんで。自分もアブドーラ・小林に挑戦して負けてますけど、そのときのアブドーラ・小林と比べたら、だいぶ動きも落ちてるし、歳もとってるし。ちょっとそこは、勝って当然とは言わないですけど、甘いんじゃないかなって。そこに勝って満足してるんだったら。

――3月の一騎当千(リーグ戦)で勝利したときには「高橋ごときにつまづいていられない」と言っていましたが、「高橋ごとき」という評価は今も変わらない?
竹田 変わらないですね。高橋に負けてるようじゃボクのやってきた9年間っていうのは、全部もうナシになるんで。オレがどんだけ苦労して、どんだけ悔しい思いして今までデスマッチヘビー挑んで、粉砕されて…。そういう気持ちがあるのに、ここ1、2年は言っちゃ悪いですけどアンダーカードだったり、どうでもいいカードが組まれて悔しい思いをしてきたんで。その間、ボクもただ単にデスマッチをこなしてたわけじゃないんで。海外行ったりFREEDOMSのリングとかでもいろんなデスマッチやってきましたから。誰にも負けないっていう自負はやっぱりあるんで。

「オマエらの壁になってやるよ」

――最後の挑戦から3年、自分自身も変わった?
竹田 変わりましたね。それこそ3年前っていうのは高橋のキャリアと一緒ではなかったですけど、まだ若手感というか、挑戦する立場っていうのがほとんどだったので。自分は今はベルトは巻いてないですけど、キャリアは相当積んできたつもりなんで、経験も積んでるつもりなんで。下の世代がああやって3人4人出てきたわけですから、受けて立つ立場になるので、だったらオマエらの壁になってやるよ、みたいな感じですね。(高橋らデスマッチ第五世代は)現状に満足してるのかなって。ボクが一番思うのはそれですね。

――9月に予定していたヒザの手術をキャンセルしたそうですが、デスマッチヘビーへの挑戦が決まったのと関係が?
竹田 いや、関係はしてないですね。正直、ヒザの調子がいいのと、あんまりわかんないですけど、選手寿命じゃないですけど、自分のいろいろを考えて、手術したら1年ないし1年以上休むわけですから、そんな足踏みしてられないなって。やりたいこともいろいろ出てきたので、ここに来て。もっと視野を広げて、海外だったりいろんなところに出たいなって。いろんなデスマッチやりたいなっていうのがあったので。そのためのデスマッチヘビーだと思いますね。自分のやりたいデスマッチを、自分の色をこの大日本に植え付けたいというか。価値観はいろいろありますけど、ボクの感覚では今の大日本に殺気というか、そういうのがあまり感じられないので。

――これまでの5度の挑戦とはまったく違うモチベーション?
竹田 そうですね。正直、いまホント複雑な気持ちというか、いろんなこと考えてますね。

8・5六角橋大会のリングで対峙した王者・高橋と挑戦者・竹田

迎えた初の前哨戦の試合後には、抱えていた怒りをぶちまけ「噛ませ犬」発言も飛び出した。大日本8・5六角橋大会の試合詳細、バックステージコメントは以下のサイトを参照。

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