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2025-01-25

【相撲編集部が選ぶ初場所14日目の一番】金峰山が霧島倒してV王手。優勝争いは3人に絞られる

金峰山は四つに組まれながらも、霧島を掬い投げで破って初優勝に王手。千秋楽、本割で王鵬に勝てばV決定、敗れた場合は王鵬との優勝決定戦か、さらに豊昇龍を加えた優勝決定巴戦となることに

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金峰山(掬い投げ)霧島

突っ張りだけではなかった。
 
金峰山が四つに組む形になりながらも霧島を投げ飛ばし、単独トップの2敗をキープ。ついに初優勝に王手をかけた。
 
まず目の前で3敗勢の一人、王鵬が白星を挙げた、その直後の一番。金峰山はこれも3敗勢の霧島と相対した。
 
このところ一日おきにいい立ち合いと悪い立ち合いが交互に出ている金峰山。果たしてどちらが出るかと見ていたら、この日は「やや悪い」という感じになった。突きの腕はそれなりに伸びたが、ただ足は出ず、あまり威力のあるものにはならなかった。「考えすぎた。当たった後の流れは覚えていない」と金峰山。この立ち合いから、霧島に四つに組まれ、頭をつけられる形になってしまった。
 
ただ、四つにはなったが、霧島得意の左四つではなく、右四つだったことは金峰山には幸いした。霧島は左の外掛けから左上手投げで崩して何とか寄ろうとしてきたが、そこまでいい形の攻めにはならず、金峰山が右の差し手から起こして振り回すと、モロくも崩れ、金峰山が掬い投げで白星を手にした。

「体が動いているから投げができた。投げるなら思い切り、やろうと思った」と金峰山。今場所は、立ち合いから突きに徹することで好結果を挙げてきたが、四つで取れない力士ではない。本人によれば、少し前までは「四つでも勝てる、と思ってやっていた」ということなのだから、それなりに自信はあるのだ。もともと怪力の持ち主だけに、うまくタイミングをとらえれば、この日のように元大関を振り回すこともできるわけである。
 
これで霧島は4敗となり、優勝争いから脱落。金峰山が2敗を守ったことにより、結びの豊昇龍-尊富士戦は、負けたほうが脱落のサバイバル戦となったが、豊昇龍が張り差しからモロ差しとなり、厳しい攻めで寄り切った。これで尊富士が脱落。優勝争いは、2敗の金峰山と3敗の豊昇龍、王鵬の3人に絞られた。
 
千秋楽は予想通り、金峰山-王鵬戦が組まれた。この一番に金峰山が勝てば金峰山の優勝。王鵬が勝てば優勝決定戦となり、さらに結びの琴櫻戦に豊昇龍が勝てば、豊昇龍も加えた優勝決定巴戦となる。
 
まずは金峰山-王鵬戦の行方がカギとなるが、過去は2回対戦があり、金峰山が新入幕の令和5年3月に突き出して金峰山、昨年7月には押し出して王鵬が勝って1勝1敗だ。
 
やはり、立ち合いどちらが当たり勝つかがポイントになるが、金峰山は、大の里や琴櫻といった“的が大きくて変化の可能性がない相手”にはいい立ち合いができている。王鵬も立ち合いの変化はまずない力士なので(もちろん“勝てば優勝”のプレッシャーで狂う可能性もなくはないが)、いい立ち合いが見込めるか。そうなると立ち合いは金峰山が当たり勝つ可能性が高い気がする。王鵬は一回当たった後、相手の突きをはね上げて右を差すか、あるいは横からイナシて崩す形を作りたい。
 
豊昇龍は、決定戦に持ち込めるかが他力本願なのは何とももどかしいところだが、もし優勝決定巴戦になった場合は、それはそれは気合を入れて臨んでくるはずだ。金峰山と王鵬には本割では勝っているうえ、相手が平幕ではなお負けられない。綱取りの議論を再燃させるためには、本割の琴櫻戦に続いて巴戦で2番勝ち、“1日で3勝する”というのは、むしろ強さを印象付けるために願ってもない舞台装置と言えるのではないだろうか。
 
さあ、史上初のカザフスタン出身の力士の優勝か、あるいは大鵬の孫の初優勝(しかも幕下の夢道鵬と兄弟アベック優勝)か、それとも豊昇龍が大逆転Vで綱取りの話を再燃させるか。どの結末になっても、ファンの記憶に残る場所になることは、間違いない。

文=藤本泰祐

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