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2018-07-24

マカオ国際マラソン Preview その1 食文化と世界遺産、 そして「近未来」の街 マカオを走ろう!

日本から約3000㎞、飛行機で成田から約5時間に位置する中国の特別行政区、マカオ(中国名:澳門)。かつては、ポルトガルの居留地で、東西文化の交流地点として栄えたこの街は、多くの世界遺産と多様な文化を有しながら、現在進行形で急速に発展を遂げている。ここで毎年、12月の第1日曜日に開催されているのが、今年で37回目を迎える「マカオ国際マラソン」。マカオ航空の直行便に乗って取材してきた、独特の食文化を中心とした街の魅力とともに、コースの見どころを紹介しよう。

取材・文・写真=高橋幸司(本誌編集長) 協力=マカオ政府観光局、マカオ航空

タイパ地区からマカオ・タイパ橋を渡っていくと、左手にはマカオタワー、右手には個性的な形をしたホテル群と、近未来的なマカオ半島南岸の景色が目に飛び込んでくる 写真:高橋幸司

橋から見るマカオの絶景

 右を向けば荘厳な遺構があり、左を向けばきらびやかなリゾート群がある。西洋的な教会もあれば、東洋的な寺院もある。かつてポルトガルの居留地として栄えたマカオは、東西文化、伝統と未来と、相反するものが融合した、独特の景色を持つ街だ。

 1999年に中国へ返還後も、世界的観光都市として大きく進化を遂げており、歴史的ノスタルジーと発展的エネルギーとに満ち溢れている。その両極端のはざまを駆け抜けていくのが、12月に行われる「マカオ国際マラソン」。昨年のコースをたどりつつ、街の魅力を伝えていこう。

17世紀前半に建てられ、1835年の大火で前面のファサードだけが残った聖ポール天主堂跡は、マカオに残る世界遺産の代表格。夜は美しくライトアップされ、荘厳な雰囲気を漂わせる 写真:高橋幸司

 マカオは広東省と陸続きの半島部と、3本の橋でつながった南部のタイパ・コタイ・コロアンの3地区とで成り立っており、スタート地点は、タイパ・コタイの2地区の境にあるマカオ・スタジアムだ(P48コース地図参照)。スタートしてすぐに目を奪われるのが、コタイ地区の近未来的なリゾート群。そもそも、この南部3地区の成り立ちが面白く、もともとはタイパ島、コロアン島と別々の島の間を埋め立て、造られたのがコタイ地区なのだ。

 大陸から流れ出る大河・珠江の河口に位置し、堆積する土砂が多いため、それを利用した広大な埋め立てが可能なわけだが、ここに近年は大型ホテルの建設ラッシュが進み、ショッピング、レストラン、プールやスパなどを備えた、ゴージャスなレジャーエリアが誕生している。

 マカオ競馬場の横を通ってタイパ地区の西岸を走り、いよいよ半島部へ。渡るのは3本の中央、マカオ・タイパ橋だ(東はフレンドシップ橋、西は西灣大橋)。3本の中で最も早い1974年の開通で、全長約2・6㎞。3本で唯一歩いて渡れる橋なので(ただし歩道は狭い)、普段からランニングをしている人もいる。

 最高地点は海抜35mと長い上り坂は結構きついが、海岸沿いに建ち並ぶ、高さ338mのマカオタワーやホテル群、そして丘に建つ歴史的建造物と「これぞマカオ!」というべき景色が、長い上り坂の疲れを忘れさせてくれるに違いない。

マカオで人気のお菓子といえば、エッグタルト。コロアン地区にある有名店「ロード・ストウズ・ベーカリー」にて 写真:高橋幸司

初心者まで楽しめるコース

 コースはさらに、半島南部のマカオ中心部付近を走り、ここも埋め立て地である沿岸の開発地区を東へ西へと駆け抜けていく。西灣湖沿いには、2005年に世界文化遺産に登録された、聖ポール天主堂跡を含む22の歴史的建造物と8カ所の広場を有する「マカオ歴史市街地区」の一部を垣間見ることができる。そして「マカオ」の名の語源ともいわれる古刹・媽閣廟のそばを通り、全長2・2㎞の西灣大橋を渡って再びタイパ、コタイ地区へと戻っていく。

9㎞地点、マカオ半島南端の海に突き出た、観音像の前を駆け抜ける走者たち 写真提供:マカオ政府観光局

 左手にまばゆいホテル群、右手に同じく開発の進む中国本土を見ながら、最南端のコロアンへ。ノスタルジックな漁村の風景を残すこの地区には、ジャイアントパンダを飼育する「マカオ・パンダ館」もあり、最近2歳の誕生日を迎えた「健健(ジェンジェン)」「康康(カンカン)」のかわいい双子も間近に見られるので、ぜひ観光では立ち寄りたい場所だ。そして、再びコタイ地区を北へ走り、同じコースを2度回って(地図の青いライン)フィニッシュへ向かう。

 フルマラソンの制限は5時間と短いが、橋の上り下り以外は平坦で、平均気温も12月は16・5℃と走りやすいコースだ。何よりも新旧入り交じるバラエティに富んだ景色が目を楽しませてくれるし、ミニマラソンもあり初心者や家族連れでも楽しめるのは大きい。スタートも朝6時台で、ゴール後には観光やイベントを楽しむ時間がたっぷりある。ちなみに半島部の市街地にはナイキ、アディダスなどのショップが至るところにあり、スポーツ用品店が建ち並ぶ通り(オランダ通り)も。いざというときの現地購入も問題ないはずだ。

スタート・フィニッシュ地点となるマカオ・スタジアムは、タイパ地区とコタイ地区の境に位置するマカオのメーン競技場。1997年の落成で、収容人数は最大約1万6000人 写真:高橋幸司

マカオ・タイパ橋は、マカオ半島からタイパ地区へかかる3本の橋のうち、中央のもの。普段はバスやタクシーなど商業車専用。ランニングも可能だが、歩道の幅は狭いので注意 写真:高橋幸司

橋を渡り切ったところにあるのが、老舗のホテル・リスボアと、蓮の形をしたホテル・グランド・リスボア。夜になると併設のカジノのネオンとともに一層きらびやかさを増す 写真:高橋幸司

西灣湖の東側から対岸を望む場所は、山の上にそびえるペンニャ教会や、かつてのポルトガル総督府などの、いにしえのマカオの姿を見ることができる絶好のスポットだ 写真:高橋幸司

「媽閣廟」(中国語の発音でマァコッミュウ)は「マカオ」という街の名の語源となったともいわれる世界遺産。漁民たちを守る女神「阿媽」(アーマー)を祀っている 写真:高橋幸司

西灣大橋は一番西側にかかる、3本の中では最も新しい橋(2004年開通)。普段は歩行できない橋を堂々と走れるというのもレースの魅力(写真はマカオ・タイパ橋から撮影) 写真:高橋幸司

タイパとコロアンという2つの島の間を埋め立てて作られたコタイ地区には、多くの巨大リゾートが建ち並んでおり、まるで近未来都市のよう。急速に開発が進んでいる場所 写真:高橋幸司

返還10周年を記念して中国から贈られたパンダを飼育するために造られたコロアン地区にある「マカオ・パンダ館」。親子4頭のかわいらしい姿に癒されること間違いなし 写真:高橋幸司

2017年コースでは2度往復している、コタイ地区西岸を貫く大通り(西堤馬路)。東側には巨大統合型リゾート「ギャラクシー・マカオ」。西の対岸には開発の進む中国本土が見える 写真:高橋幸司

マカオのおすすめランニング・スポット

ギアの丘ランニングコース

 海抜92m、マカオ半島最高峰のギアの丘をぐるりと回る、1周1.7㎞のコース。緑豊かな上に、その緑の合間からはマカオの街並みや、香港とマカオを結ぶ「港珠澳大橋」も望むことができる。少し登れば、丘の頂上にはギア教会とギア灯台(1865年に点灯した、中国では最古の西洋式灯台)があり、そこからの眺めも絶景だ。アクセス方法にはロープウェイやエレベーターあるが、ランナーの健脚ならば駆け上がるのも苦ではないだろう。

ギアの丘ランニングコース 写真:高橋幸司

ギアの丘ランニングコース 写真:高橋幸司

西灣湖1周コース

 一方を見れば丘の上のペンニャ教会やポルトガル式の古い街並み、逆を見ればマカオタワー、さらには西灣大橋と、まさに新旧マカオを1周で堪能できる約3㎞のコース。湖の北側の岸は、かつての海岸線の名残でもあり、ボダイジュモドキ(假菩提樹)などの木々が一定間隔で植えられていて日差しを和らげてくれる。また、半島西側のフェリーターミナルそばにある貯水塘の周りも遊歩道が整備されており、市民のエクササイズの場となっている。

西灣湖1周コース 写真:高橋幸司

マカオ国際マラソン エントリー受付中!

大会名:2018マカオ国際マラソン

開催日:12月2日(日)

種目:フルマラソン、ハーフマラソン、ミニマラソン(4.2~5.5㎞)

制限時間:フル(5時間)、ハーフ(2時間30分)、ミニ(1時間15分)

前回の参加者数:フル1400人、ハーフ3600人、ミニ5000人

エントリー料:
[第1期 ~9月15日]
フル  6000円
ハーフ 6000円
ミニ  1000円

[第2期 9月16日~10月15日]
フル  7000円
ハーフ 7000円
ミニ  1500円

日本語公式ウェブサイト

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