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2018-06-01

海辺の夜明けを走る ユナイテッド・グアムマラソン2018

日本から約3時間半で行けるリゾート地でありながら、ユナイテッド・グアムマラソンではローカルな雰囲気を味わえる。フルのスタートは真夜中の午前3時。頭上にはおぼろ月が浮かび、暗闇の向こうからは潮騒が聞こえる。そして、次第に白んでいく空を望みながら走るのは、なかなか日本では味わえない非日常の体験だった。
文・写真/和田悟志 
協力/ユナイテッド・グアムマラソン日本事務局、グアム政府観光局

南国で感じた“応援の力”

 応援は力になる─高橋尚子さんとハイタッチをかわしたとき、本当にそんな気がした。この42㎞の道程で、いったい高橋さんからは何度激励を受けただろう。1度目はスタート地点で、2度目はスターターを務めたあと軽やかに私を追い抜いて行く際、3度目は約10㎞でハイタッチを交わしたとき(高橋さんはフルとハーフのランナーを見送ったあと、10㎞の部のランナーの激励に向かったという)。そして、最後はフィニッシュ点で。彼女は何人ものランナーと手をつないでゴールに駆け込んでいた。五輪金メダリストがこんなにも参加者に寄り添ってくれる大会が他にあるだろうか。

制限時間の7時間まで、フィニッシュ地点では高橋さんが待っていてくれる。高橋さんは約100mを何往復もしながら、ランナーを激励していた

 高橋さんの献身的な振る舞いには、彼女が味わった挫折に理由があった。2004年アテネ五輪の出場を逃し、世間から見放されることを覚悟した高橋さんは、多くのランナーからの温かなエールや手紙に励まされたのだという。「皆さんの言葉に支えられ、うれし涙をたくさん流しました。そのうれしさを少しずつ返していけたら」そんな思いから、この大会で東奔西走していたのだった。高橋さんに元気をもらったランナーは私だけではなかっただろう。

高橋さんは、スターターを務めたあと、約10㎞走って移動し、ハイタッチでランナーを激励

 もう1つ、印象に残った光景があった。フルは2回折り返すのだが、対向するランナーとすれ違うたびに大きな声で「ファイト!」などと声援を贈る男性ランナーの姿だ。自作のバルーンアートの富士山(春らしく桜付き)をかぶっていたのでコース上で目立っており、カメラを向けられれば足を止めて笑顔で応えていた。その人こそ、お笑いコンビ、ランナーズの小宮ひろあきさんだった。相方のがんばれゆうすけさんはフルベストが2時間25分台で、ご存じの方もいるかもしれないが、実は小宮さんも3時間15分のベストをもつ。終盤、歩きを交えペースを落とした小宮さんに追いつき、話しながら一緒に走ったのだが、今回は足首の捻挫を押しての出場だったという。本当は苦しいはずなのに、そんな素振りは見せず、明るく振る舞う姿に感動さえ覚えた。

お笑いコンビ”ランナーズ”の小宮さん。夜明け前は波音が聞こえるだけだったが、コースの半分は海辺

 普段はへそ曲がりと言われる私だが、グアムで出会った2人のランナーに、そして、真夜中の多くの沿道からの声援に、素直に応援の力を感じずにはいられなかった。

ユナイテッド・グアムマラソン2018
開催日▶2018年4月8日(日)
種目/エントリー数/スタート時刻 
▶︎フル/608人/3:00
▶︎ハーフ/894人/4:00
▶︎10㎞/862人/5:00
▶︎5㎞/1372人/6:00
フル制限時間▶︎7時間
エントリー数合計▶︎約3736人
日本人参加者数▶︎960人
(エントリー数はすべて4/3時点。現地でのエントリー数は含まず)
2019年大会は4月14日開催!
早期割引料金にてエントリー受け付け中

フルのスタートは午前3時。紙吹雪が舞うなかランナーは走りだす

スタート前には、ファイヤーダンスなどのセレモニー

入りの1㎞にいきなり、最もきつい上りがある

最終盤、約40㎞からはなだらかな上りが待ち受ける

夜中にもかかわらず、現地の人々が熱心に声援を送ってくれた

ほてった体に気持ちいいシャワーの私設エイド

夜が明けたあと、たびたびスコールが。ほてった体には気持ちいい

この日の日の出は6時12分。折り返し後、次第に空が白み始める

グアム港へ向かう三叉路の近くには火力発電所がある。日の出の前(上)と後(下)では違う顔を見せてくれる︎

明るくなってからの火力発電所。こんなに近くで見られる

食べ物のエイドも豊富。なかなかおいしかったのが、アピギギと呼ばれるココナッツ餅

レース前日のEXPO。高橋さんは、コース攻略のポイントなどを参加者にアドバイス

高橋さんのトークショーは大盛況だった

参加者の声 Finisher's Voice

平野一彦さん(右から2人目)フル 6時間17分
(58歳・愛知県・走歴7年) 
去年から参加しています。前夜祭のEXPOやスタートセレモニーなどの雰囲気や盛り上がりが最高だったので、今年は娘も誘いました。強制的に、ホテルと飛行機をとっちゃいました(笑)。現地の方の応援もうれしいし、名古屋から約3時間半で来られるのも魅力的ですね。来られるかどうかは別として、また来年も出たいです。

平野里奈さん(左から2人目)フル 5時間48分 
(23歳・愛知県・走歴1年) 
父から誘われ“絶対に行きたい”と思いました。暗いうちにスタートし、だんだん明るくなっていく様を走りながら見られるのはなかなか日本では味わえないし、海岸沿いというロケーションもいいですね。立ち止まって写真を撮りたくなります。レース後はビーチが楽しみ。父が来られなくても、来年も私一人ででも来たいです。

門馬 崇さん(右)10㎞ 57分 
(43歳・奈良県・走歴3年) 
4年前にトレッキングでグアムに来てこの大会を知り、翌年から3年連続で参加しています。昨日サイクリングをした疲れが残っており、去年より5分も遅かったですが…。結婚記念日と妻の誕生日がこの時期なので、この大会を目標にグアムに来ます。マラソンは大嫌いでしたが、この大会があるから走っています。

門馬陽代さん(左)10㎞ 1時間1分 
(50歳・奈良県・走歴3年) 
今日が50歳の誕生日。去年は40代で5位か6位だったので、今年は50代で3位以内を狙っていましたが、練習より8分も遅かった…。観光ではトレッキングとサイクリングを楽しみました。ちょっとやり過ぎましたが。この大会はQちゃんとハイタッチできるのがうれしい。ゴール地点で何往復もしているQちゃんはすごい!

疋田裕己さん(右)フル 5時間31分 
(25歳・静岡県・走歴13年) 
3月まで実業団で走っていました。マラソンを走ることがなかったので、自分の中で区切りとしてこの大会に出ました。思っていたより衰えるのが早く、思うように走れませんでしたが、走って良かったです。シドニー五輪の高橋尚子さんの走りを見て、マラソンを走りたいと思ったので、最後一緒にゴールできたのがうれしかったです。

村松佑美さん(左)ハーフ 2時間59分 
(25歳・静岡県・走歴6年) 
(疋田さんとは)高校陸上部の同級生。高校卒業後、走っていませんでしたが、今日は裕己が頑張る日なので、私も多少は無理をしようと、ハーフを走ることにしました。1カ月前に出場が決まり、走り始めは20分も走れませんでしたが、完走できて良かったです。免税店で買い物を楽しみましたが、観光はこれからが本番です!

グアム ココハーフマラソン12月開催!

グアム ココハーフマラソン 
開催日:2018年12月2日(日) 
※12月1日(土)には、「ココキッズ ファン ラン」も開催予定

グアムへはユナイテッド航空が便利! 

ユナイテッド・グアムマラソンの冠スポンサー、ユナイテッド航空は日本4都市(成田・名古屋・大阪・福岡)からグアムへの直行便を毎日運航。さらに、成田―グアム線は1日3便あるので、ご自身のスケジュールに合わせて往復のフライトを選ぶことができる。また、ANAの国内線を利用すれば、この4都市を経由して日本全国からグアムへ乗り継ぎが可能。ぜひグアムへは、スターアライアンスメンバーのユナイテッド航空で!

滞在はヒルトングアム・リゾート&スパが快適 

空港からホテルまでは車で約15分。白砂広がるタモン湾の南端にあり、目の前に広がるビーチと素晴らしい海の景観が楽しめる。5種類のホテルプール、グアム最大規模のウェルネスセンター、5面のテニスコート、バスケットリンクもある。地元でも人気のアイランダーテラス、世界的に有名なロイズ、シーフードレストランフィッシャーマンズコーブやディナーショーが開催されるツリーバーでは、南国リゾートの開放感を満喫しながら食事が楽しめる。

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