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2020-07-01

ベテラン指導者に聞く 子供の将来を見据えたテクニック指導とは?

テクニックに関する選手育成において高い評価を得る千葉県のJSC CHIBA。このクラブで代表を務めるのが、ベテラン指導者の川島和彦氏だ。これまでに5000人以上のジュニア年代の選手を指導し、上のカテゴリーに送り出してきた川島代表に、テクニック指導のあり方を聞いていく。

出典:サッカークリニック2020年7月号

取材・構成/鈴木智之 写真/矢野寿明

ドリブルで割って入れる選手

――JSC CHIBAの選手たちは、市立船橋高校をはじめとする強豪チームに数多く進みます。ジェフユナイテッド千葉でトップ昇格を果たした櫻川ソロモン選手や2021年のベガルタ仙台入りが内定している真瀬拓海選手(市立船橋高校→阪南大学)もその一人ですが、上の年代で活躍するには、テクニックがやはり必要と改めて感じるものは何かありますか?

川島 JSC CHIBAのOBが高校などでプレーする姿を見て、通用していると感じるのは、「ボールをさらしながら前に運ぶプレー」です。JSC CHIBAは日本人選手のプレーではあまり見られない、人と人との間にスピードに乗って入っていくドリブルや、ボールを運ぶ推進力といった部分に、こだわって取り組んでいます。

 ドリブルで運んでシュートを打てれば、それでいいでしょう。もし打てなくても、ディフェンスの間に割って入ることで相手が下がり、質の良いセカンドボールがこぼれてきます。

――相手を押し込んでからセカンドボールを拾って攻撃する形は、得点につながりやすいパターンです。

川島 まずは守備の中央に突破を仕掛けてこぼれたボールを拾い、そこからサイドに展開して裏のスペースを狙うのは、定石の一つです。最初にドリブルで中央に割って入るからこそ、連なるプレーになるのだと思います。JSC CHIBAのOBで、高校やJクラブのユースに行っても活躍する選手は、ドリブルで割って入る役割を担う選手が多いんです。

 常識の中でプレーしても、相手の守備を崩すことはできません。常識を破るようなチャレンジをする選手が必要ですし、JSC CHIBAのOBが高校、大学、さらにはJリーグでも攻撃的な選手として評価されるのは、そういうメンタルを持ってプレーできるからだと思います。

――テクニックが上達する上でのメンタル面のポイントはどういった点になりますか?

川島 サッカーはボールを足で扱うスポーツなので、ボールに触る時間が長ければ長いほど、上手になる可能性が高くなります。では、長い時間ボールに触るためには何が必要かと言えば、ボールに触って楽しいと感じる気持ちや「こうなりたい!」と思うモチベーションです。モチベーションを高めるための燃料となるのが向上心や目標で、その気持ちを持ちながらボールにたくさん触る子はテクニックを身につけると思います。

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