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2017-11-14

攻撃的戦術コンセプト 3/3 マークを外すプレー②

アドリブや即興のイメージが強い攻撃におけるプレー。
しかし、実際にはセオリーややるべきことが存在する。
例えば、「壁パス」にも行なうべき状況というものがある。
果たして、「壁パス」など、攻撃アクションは、どのような状況とタイミングで
選択すべきなのか? ランデル・エルナンデス・シマルが解説する。

 マークを外すプレーの種類。

①サポート(ボール・ホルダーに近づく)
②相手のラインを割る(ボール・ホルダーから離れる)

 ②の「相手のラインを割るためにマークを外す」というプレーの目的は「フリー・スペースを見つけ、そこにボールを送ってもらうこと」になります(「スペース」は守備コンセプトとの結びつきも強いため、第2章の4項で解説します)。当然、スピードと推進力が必要です。そして、このプレーはチームのプレー・スタイルと強く結びついており、カウンター・アタックを狙うチームやダイレクト・プレーを得意とするチームでよく見られます。
 一方、①のサポートのためにマークを外すプレーは、ボール・ホルダーを追い越す動きが少ないため、コンビネーション・プレーを目指すチームでよく見られます。
 そして、プレー・スタイルに影響される部分もありますが、どちらのプレーも「相手チームのバランスを崩すこと」が主目的であり、状況に応じた適切な使い方が求められます。

•マークしている相手選手を無効にする(何もできない状態にする)

•相手のディフェンス組織を壊す。バランスを悪くする

•ボール・ホルダーに対して選択肢を与える(プレーを継続させるためにパスラインを引く)

•プレーに幅と深さを持たせる(チームの中での調和と連係が求められる

 避けなければならないことがあります。それは、「選手の動きが重なり、1つのフリー・スペースに複数の選手が入ること」です。育成年代ではよく見られるミスですが、こうしたプレーはバランスを悪くします。
 また、このプレー・コンセプトには2つの役割が存在します。1つはボール・ホルダーであり、もう1つはボールを持っていない選手です。当然、両者に求められるプレーは異なります。

【ボール・ホルダーに求められること】

•周辺視野とポジショニング、そして味方と相手の動きを観察
•短時間で正しい判断を下す
•的確なタイミングでパス
•キックの精度が重要。受け手の走っているコースやスピードを考慮してパス

【ボールを受ける選手に求められること】

•グラウンドにあるフリー・スペースを見つけ、入る
•パスラインが引ける場所に入る。また、的確な場所とタイミングでボールを受ける
•マークを外す動きは「ボールを受けたいから行なう」のではなく、次のスペースを有効利用するため、あるいは自分が空けたスペースをほかの選手に使ってもらうために行なう
•オフ・ザ・ボールのプレーの重要性を認識する

◆トレーニング02 ポゼッション

時間:20分
進め方:コーン・ゴールを設置したグリッド内で「5対5」(同数であれば、「5対5」以外でもいい)。マークを外し、さらにコーン・ゴールを通過してパスを受けられたら1点
ポイント:①マークを外すタイミングを判断②プレーを途切れさせない③ボールを保持する練習であることを意識

【練習方法論(多くのものが技術コンセプトと結びついている)】

1:コントロールとパス

 ドリル練習でもグローバルな練習でも、マーカーを設置するなどし、ボールを受ける場所やタイミングを決める上での基準を設けるべきです。また、プレーを継続させるための正しい体の向きなど、正しい習慣づけも重要です。

2:ボールを見ずに扱える技量

 パスするタイミングを逃さないためには一瞬の判断が不可欠です。ボールを注視しなければ蹴れない、というレベルではタイミングを逃すことが多くなります。間接視野などでボールを見られ、蹴れるようになるべきです。

3:選手同士のバランス

 選手個々の動きがシンクロしていなければなりません。チームのオーガナイズ(幅と深さ)を壊さず、バランスを維持しなければなりません。マークを外す動きはチームのために行なわれるべきで、マークを外す動き自体は個人のアクションですが、グループと関係性を持っていることが必要です。

4:練習設定

 守備側の選手を配置すると、リアリティーが増します。

5:選択

 サポートなのか、ラインを割ることなのか、目的を明確にした上で使い分けられるようになるべきです。
 今まで触れてきたことを前提に質問したいと思います。

「マークを外す動きの選択基準とその頻度はプレー・スタイルと関係があると思いますか?」(Q8)

「1試合中、2つのマークを外す動きはどのくらいの頻度で行なわれると思いますか?」(Q9)

◆トレーニング03 クールダウン

時間:5分
進め方:グリッド内に5選手を配置し、「4対1」。コーチの合図で4選手はポジションを変え、コーナーに陣取れなかった選手はマイナス1点とする。最終的にマイナス・ポイントの最も少ない選手が優勝

出典:『ジュニア年代の考えるサッカー・トレーニング 5』

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