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2025-11-14

【相撲編集部が選ぶ九州場所6日目の一番】琴櫻、厳しい4敗目。41歳目前の玉鷲に土俵際でかわされる

琴櫻は玉鷲を土俵際まで追い詰めながら、最後にかわされて後ろにつかれ、送り出しに敗れて早くも4敗目。苦しい星になってきた

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玉鷲(送り出し)琴櫻

ノドから手が出るほど欲しかったであろう、五分に持ち込む白星は、土俵際でスルリと手の内から逃げていった。
 
大関琴櫻が玉鷲に敗れ、6日目で早くも4敗目を喫した。
 
やはりちょっと今場所の琴櫻は、本来の動きとはだいぶ違うようだ。先場所、13日目に横綱豊昇龍を破ったが、この相撲で右ヒザの靭帯を痛めた。過去に痛めていた左とは逆のヒザだ。場所後のロンドン公演を休場し、治療に努めてなんとか間に合わせたこの場所だった。
 
初日は前に出る相撲で若隆景を一気に攻め切り、期待を抱かせたが、2日目、3日目と攻め負けて連敗すると、4日目からは立ち合いから動いて上手を狙いにいくような消極的な相撲となり、4日目には2勝目を挙げたものの、5日目には3敗目を喫し、黒星先行となっていた。
 
この日は、玉鷲との対戦。40歳(41歳はもう目前だ)になっても突き押しの威力は衰えず、そして立ち合いから変化してくることはない相手ということもあったのだろう。この日の琴櫻は、思い直して思い切り当たって、攻めていく相撲を展開した。
 
まずは右差しを狙って立つと、組み止めることはかなわなかったが、そのまま右ハズにあてがって、相手の突きを封じる。さらに押し上げると今度は左もハズにかかって、玉鷲を土俵際まで追い詰めた。玉鷲の足が俵にかかったところで、「これはいただき」とばかりに右を入れていこうとしたように見えたが、ここで玉鷲の左からのおっつけがきた。右がうまく入らず、ヒジが曲がったままになったところを玉鷲の突き落としのようなイナシ。これで横を向かされてしまった琴櫻はそのまま後ろを取られ、送り出された。
 
あとわずかで白星を逃した琴櫻は、「(体調が)よくても悪くても、結果につながらなければ一緒。結果がすべてなので、気持ちを切り替えていきます」と、いつもの敗戦後と同様のコメントだったが、6日目での4敗は、勝ち越しに向けても結構、厳しい状態になったと言えるだろう。
 
常々、「故障があっても、出ると決めたらやるだけ」と言っている大関であり、また佐渡ケ嶽部屋は基本的には、「ケガは取りながら治せ」という方針の部屋なので、そう簡単に休んだりはしないとは思うが、これまでの相撲内容から考えても、これからの中盤、後半戦はなかなかつらいことになりそうだ。
 
一方、「(最後は)余裕があったわけではない。差されたくなかったので、突き放した結果。勝ってよかった」と玉鷲。これで星を4勝2敗とした。
 
これが、あさって8日目には41歳となり、順調に行けば史上3人目の幕内連続出場1100回と史上単独2位となる幕内出場1445回を達成する力士なのだから恐れ入るばかり。あと1勝を重ねれば幕内通算700勝、さらに1勝を重ねれば、幕内通算勝ち星が史上10位に並ぶ。明日からは横綱戦が組まれることになるが、記念の勝ち星を金星で飾ることができるか。楽しみは膨らむ。
 
この日、優勝争いのほうは、大の里が平戸海を圧倒して6連勝とした一方、もう一人全勝だった藤ノ川に土。さらに西横綱の豊昇龍は若元春のまさかの立ち合い変化に叩き込まれ、2敗目を喫した。1敗は関脇安青錦、平幕の義ノ富士、熱海富士、藤ノ川、時疾風、朝紅龍の6人に。
 
ますます大の里独走への流れが加速してきたが、それとともに、豊昇龍が自力優勝の権利を失ったことで、大の里の対抗馬の期待は、安青錦にかかることになってきたようだ。

文=藤本泰祐

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