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2025-12-03

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSION 2025(第6回)4球団で10勝以上をマーク

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5月14日のヤクルト戦で涌井秀章が中日移籍後の通算10勝目をマークしました。同投手は西武で85勝、ロッテで48勝、楽天で21勝を挙げており、これで4球団で2ケタ勝利を挙げることになりました。これは史上5人目の記録なのだとか。これまでの4名は下記の通り。

内藤幸三:金鯱11 朝日24 金星38 広島12
石田光彦:阪急56 南海12 大和11 ゴールドスター・金星12
江夏 豊:阪神159 南海10 広島23 日本ハム13
野村 収:大洋52 ロッテ20 日本ハム33 阪神16

内藤幸三と石田光彦はプロ野球の草創期から活躍した投手で戦前・戦後の混乱もあって移籍を繰り返しました。この2人はプロ入り前は東京リーガル協会というチームで同僚でもありました。内藤投手は前記4球団に加え49年の1年間、阪急にも在籍して7勝を挙げており、もう1年同球団で過ごしていれば「5球団で2ケタ勝利」もありえたかもしれません。石田投手は阪急時代にノーヒットノーランを2度マークしていました。

江夏豊は言わずと知れた“ジャーニーマン”ですが、南海時代の76年に6勝、77年に4勝とギリギリの到達となりました。野村収は史上空前の豊作年と呼ばれる68年ドラフト組ですが、移籍を繰り返し、セ・パ2球団ずつに所属して史上初の12球団勝利を達成した投手としても知られています。のべ5球団目となる(大洋には69~71年と78~82年と2度所属)阪神に移籍した83年に12勝して4球団での2ケタ勝利となりました。

そして、今季、涌井が史上5人目の記録を達成したわけですが、野村から数えて実に42年ぶりの記録となりました。4球団を渡り歩いたプロ野球選手は稀有な例ですし、4球団でそれなりの勝ち星を残すのも、なかなか大変です。今後この記録に続く選手は出てくるでしょうか。

No.31 涌井秀章(中)
No.31 涌井秀章(中)



当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が2024年4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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