close

2025-12-01

【アメフト】関学が関大に52-7で圧勝 リーグ戦の引き分けから一転、7TDの猛攻で甲子園ボウルへ

QB星野太吾がランとパスで躍動し、大勝の原動力になった=撮影:北川直樹

全ての画像を見る
アメリカンフットボールの全日本大学選手権の準決勝が11月30日、ヤンマースタジアム長居で行われ、関西学院大学ファイターズが52-7で関西大学カイザーズを下した。関学は12月14日の甲子園ボウルで立命館大学パンサーズと対戦する。史上初の関西対決となる甲子園ボウルは、関西リーグで24-3と勝利した立命館との再戦となる。

試合は関学が序盤から主導権を握り、QB星野太吾(2年=足立学園)を中心としたバランスの取れた攻撃と、2つのインターセプトリターンTDを含む7つのタッチダウンで圧倒した。関学の総獲得ヤードは467yd、ランで294ydを獲得し、パスでも11成功173ydと効率的な攻撃を展開。一方の関大は総獲得わずか150ydに抑え込まれ、3つのターンオーバーを喫する苦しい展開となった。【北川直樹】

関西学院大学 ○52-7● 関西大学(ヤンマースタジアム長居)

序盤から完璧なスタート、多彩な攻撃で前半終了時に24点差

関学は開始早々、ディレイ・オブ・ゲームの反則で出鼻をくじかれたものの、RB井上誉之(4年=関西学院)の11ydランとTE川口陸(4年=関西学院)へのスクリーンパスで攻撃を前進させた。最初のドライブこそFGに終わったが、第1Q 3:03にK大西悠太(4年=関西学院)が47ydのFGを成功させ、先制に成功した。

直後の関大の攻撃シリーズで、関学ディフェンスが躍動する。LB倉田雅琉(3年=関西学院)がQBサックで相手を後退させると、関大の3rdダウンパスをDB永井慎太郎(3年=佼成学園)がインターセプト。そのまま53ydを走り切ってTDリターンを決め、6:29に10-0とリードを広げた。

 DB永井がインターセプトから走り抜き最初のTDを決めた=撮影:北川直樹
DB永井がインターセプトから走り抜き最初のTDを決めた=撮影:北川直樹

さらに関学オフェンスが畳みかける。自陣深くから始まった攻撃で、QB星野のスクランブル、RB永井秀(2年=関西学院)の走りでボールを進める。そして星野自身が右サイドを駆け上がり、53ydの独走TDを決めた。13:57、関学は17-0と圧倒的なリードを築いた。

第2Qに入っても関学の勢いは止まらない。自陣39ydから始まった攻撃では、星野のスクランブルでハーフラインを越えると、WR百田真梧(3年=啓明学院)へのパス、4thダウンギャンブルを永井秀のランで成功させて着実に前進。星野のスクランブル、井上のカウンタープレーで敵陣25ydまで進み、星野からWR五十嵐太郎(4年=関西学院)への25ydTDパスが決まり、5:17に24-0とした。

関大も敵陣20ydまで迫る場面を作ったが、4thダウンギャンブルを失敗。関学は前半を24-0で折り返した。

 関学DB東田隆太郎(4年=関西学院)が関大の4thダウンギャンブルをストップ=撮影:北川直樹
関学DB東田隆太郎(4年=関西学院)が関大の4thダウンギャンブルをストップ=撮影:北川直樹

後半も加点を重ね、控え選手も出場

第3Qに入っても関学の攻撃は衰えず、星野から小段天響(3年=大産大附属)へのパス、百田への42ydTDパスが決まり、6:21に31-0とした。

第4Qには控え選手にも出場機会が与えられた。RB平野日々輝(2年=啓明学院)が1ydTDランを決めて2:11に38-0とすると、関大は直後のキックオフリターンでDB吉田優太(3年=大産大附属)が95ydのリターンTDで2:28に38-7と意地を見せた。

関学は、QB星野秀太(4年=足立学園)に交代後も攻撃の手を緩めず、永井秀が2ydTDランで45-7とした。試合終了間際には、DB増田有亮(1年=関西学院)が関大のパスをインターセプトし、そのままリターンTD。最終スコアは52-7となった。

 ルーキーDB増田がインターセプトリターンTDを決める=撮影:北川直樹
ルーキーDB増田がインターセプトリターンTDを決める=撮影:北川直樹

リーグ戦17-17の引き分けから一転、圧倒的勝利

この試合、関学は攻撃回数67回で467ydを獲得し、22回の1stダウンを更新。特にランオフェンスは50回で294ydと平均5.9ydを記録し、井上誉之が11回89yd、永井秀が16回69yd、星野太吾が8回108yd(1TD)と3人が中心となってゲインを重ねた。

パスはQB星野太吾が15回投げて10回成功、162yd、2TDという高効率を記録。ターゲットとなるWR陣は、小段が3回50yd、百田が2回48yd(1TD)、五十嵐が2回33yd(1TD)とバランスよく機能した。

ディフェンスは、永井慎太郎と増田有亮があわせて2つのインターセプトリターンTDを記録。サックも倉田の9yd、大竹の11yd、永井慎太郎の11ydに加え、DL陣を中心に計8回、56ydのロスを奪った。

一方の関大は、総獲得150ydに抑え込まれ、ラン31回でわずか53yd、パスは24投12成功97ydで2INTを喫した。QB土居翔和(1年=横浜)は8投4成功33yd 1INT、交代で出場したQB(LB)武野公太郎(4年=関大一)は15投8成功64yd 1INTと苦しんだ。

関西リーグ最終戦では17-17の引き分けに終わった両チームだったが、この日の関学は攻守にわたって完璧な内容を見せつけて関大を圧倒した。

 視界を塞がれながらもセカンドエフォートで前へ進むRB永井。試合を通して気迫あふれる走りを見せた=撮影:北川直樹
視界を塞がれながらもセカンドエフォートで前へ進むRB永井。試合を通して気迫あふれる走りを見せた=撮影:北川直樹

史上初の関西対決・立命館との甲子園ボウルへ

関学は12月14日、阪神甲子園球場で行われる甲子園ボウルで立命館大学と対戦する。史上初の関西リーグ同士の対決となる今回の甲子園ボウルは、関西リーグで関学が24-3で勝利した相手との再戦となる。

立命館は前日29日に行われた準決勝で早稲田大学を下し、2年連続の甲子園ボウル出場を決めた。関学にとっては、リーグ戦の雪辱に燃える立命館の強力なランオフェンスをいかに封じるかが最大の焦点となる。

関学がこの日見せた多彩なオフェンスと、ターンオーバーを量産する強力ディフェンスが、甲子園ボウルでどうパフォームするか。史上初の関西対決は、日本一をかけた熱い戦いとなる。

関学大大村和輝監督の話

今日はディフェンスが本当によく頑張ってくれました。失点を許さなかったことは非常に大きかったです。オフェンスは反則などの反省点はありますが、相手がランを止めにきている状況に十分対応できていました。

サックはブリッツのサインがうまく当たった結果です。相手QB土居君にリズムを作らせないよう、プレッシャーをかけ続けることを意識しました。ただ、細かい部分ではまだ改善の余地があります。あと少しで10ydゲインできるプレーが3ydで止まるシーンもありました。選手たちはよく頑張っていますが、まだ伸びしろがあります。

前回のリーグ戦では内容が悪く、ディフェンスの選手たちが悔しい思いをしていました。今日はその分をしっかり出そうという気持ちで臨みました。

次は立命館との試合ですが、相手がどうこうではなく、自分たちがやるべきことをやり切ることが重要です。ポイントはミスをしないこと。ただ、ミスを恐れていてはプレーになりませんので、思い切りやりながらミーティングで修正していきます。

今日は4年生のシリーズを組むことができて良かったです。チームにとって収穫の多い試合になりました。

 試合中はスポッターから指示を出し、再戦を完勝で飾った大村監督=撮影:北川直樹
試合中はスポッターから指示を出し、再戦を完勝で飾った大村監督=撮影:北川直樹

QB星野太吾の話

この1週間は、ファンダメンタルを意識して体の向きや姿勢を見直し、精度を高めることに重点を置きました。パスはしっかりレシーバーに投げ切ること、ランはホールをしっかり突くことなど、基本を徹底しました。

今年はQBランにも自信を持って取り組んできました。監督も周りの選手も信頼してくれていて、その期待に応える形で結果を出せました。「考えすぎず、楽しんでプレーすることが一番良いプレーにつながる」と言われていて、試合前は緊張しましたが、仲間の顔を見て自然と落ち着きました。

最後に4年生のシリーズを作れたことは大きかったです。苦しい思いをしてきた先輩たちが最後にフィールドに立つ姿を見て、胸に来るものがありました。

甲子園ボウルは初めてですが、兄と一緒にその舞台に立てることは特別です。日本一をかけて同じ場所に立つのは初めてなので感謝しています。自分の役割をやりきって、2人で最後笑って終われたらいいなと思います。

今日もディフェンスが流れを持ってきてくれました。今年のディフェンスは非常に心強い存在で、オフェンスは自分たちのプレーに集中できました。

立命館が強いことは分かっていますが、自分たちのフットボールをぶつけることに集中したいです。ハンドオフ後のQBの動きなど、細かな部分を徹底して詰め続けてきました。その小さな差を許さない姿勢とアメフトへの熱量が関学の強みだと思います。

星野太吾はフィールドを切り裂く独走TDも決めた=撮影:北川直樹
星野太吾はフィールドを切り裂く独走TDも決めた=撮影:北川直樹

WR小段天響の話

今日はオフェンスとして自分たちのフットボールのスタイルをしっかり出すことができました。ここまでの中でも一番良い内容だったと思います。

自分は今日3キャッチでしたが、太吾(星野 2年)と秀太さん(星野 4年)がしっかり投げ切ってくれました。どちらのQBとも本当に合わせやすく、「ここで欲しい」と思ったタイミングで投げてくれます。試合を重ねるごとに、QBとレシーバーの信頼関係が深まっている実感があります。

リーグ戦の関西大学戦が引き分けに終わったとき、原因は相手ではなく「自分たちの空回り」と「自滅」でした。その反省をふまえて、今日は「試合は練習でやってきたことを出すだけ」という監督の言葉を意識しました。感情に振り回されることなく、うまくコントロールして試合に入れたと思います。

甲子園ボウルは初めての「関西同士の対戦」になります。相手の立命館には産大高時代の仲間や同期が多くいて、特に藤津とのマッチアップは楽しみです。高校同期たちが結果を残しているのは悔しい気持ちもあり、甲子園では絶対に勝ちたいです。

個人としてはMVPを狙いたい気持ちはありますが、まずはオフェンスを組み立て、流れを作ることに注力します。4年生にとっては最後の試合になるので、勝って笑顔で送り出したいです。

 勝負どころのパスキャッチ、パントキャッチでのフィールドポジション確保で貢献したWR小段=撮影:北川直樹
勝負どころのパスキャッチ、パントキャッチでのフィールドポジション確保で貢献したWR小段=撮影:北川直樹

WR五十嵐太郎の話

前回のリーグ戦での関西大学戦は引き分けで、準備で防げるミスが多かった試合でした。今回はその部分をなくそうという共通認識で臨みました。

今日は「負けたら引退」という状況だったので、全員が強い覚悟を持って準備できました。リーグ戦のときにあった「負けても3位以上ならトーナメントに進める」という甘さはなく、すべての練習・すべてのプレーが「これをミスったら引退」という空気でした。その意識が今日のオフェンスが通った理由であり、ディフェンスが止め切れた大きな要因だと思います。

試合中、関西大学DB吉田優太選手と声を掛け合いました。この試合前の会見で吉田選手が自分の名前を挙げてくれたと聞いて、素直に嬉しかったです。

甲子園ボウルは2年ぶりの出場になります。今回は「関西対関西」で、関西全体として盛り上げられる試合になると思います。WR陣は層が厚いので、今年のオフェンスを引っ張るユニットとしてしっかりゲームをメイクして勝ちたいです。

リーグ戦では立命館に勝ちましたが、十分に納得できる勝ち方ではありませんでした。甲子園では自分たちの本当の力を証明する場にするという意識で、正々堂々、バチバチに戦いたいです。

星野兄弟とは、特に秀太とは1年生の頃からずっと合わせてきました。2人とも本当に合わせやすく、どちらが投げてもプレーできます。最後は全員で笑って終わりたいです。

 WR五十嵐はエースの存在感を見せランアフターキャッチでも魅せた=撮影:北川直樹
WR五十嵐はエースの存在感を見せランアフターキャッチでも魅せた=撮影:北川直樹

LB倉田は素早い集まりと確実なタックルで関大オフェンスをおさえた=撮影:北川直樹
LB倉田は素早い集まりと確実なタックルで関大オフェンスをおさえた=撮影:北川直樹

 前々の勝負を支えた、OLを中心とした関学のランユニット=撮影:北川直樹
 前々の勝負を支えた、OLを中心とした関学のランユニット=撮影:北川直樹

北川直樹

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事