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2026-02-05

『個性的な強い選手を生み出すには自信を持たせることだ』 PSGアカデミー・ジャパンのピーター・キロフ

アメリカのハーバード大学・大学院ではファイナンスを専攻したピーター・キロフ

パリ・サンジェルマン(以下、PSG)アカデミー・ジャパンのテクニカルディレクターを務めるピーター・キロフ氏にインタビュー。母国ブルガリアのサッカーについて、また90年代に多く出現した個性豊かな選手を現代に生み出すヒントを聞いた。

――日本では個性的な選手が減り、選手の均一化、平均化が進んできました。それはブルガリアやヨーロッパも同様ですか?

キロフ「はい、その通りです。子供たちには、ゲームで遊ぶ、音楽を聴く、勉強する、Youtubeを見るなど様々なものに熱中して、その選択肢も増えているため、昔のようにサッカーだけに没頭する子が減っています。さらに、ストリート・サッカーをする場所がなくなっています」

――ブルガリアからは、90年代に活躍したフリスト・ストイチコフ、クラシミール・バラコフ、・ヨルダン・レチコフのような個性的なスターが、現在はあまり見られなくなりました。

キロフ「国の共産主義体制が崩壊し、民主主義への移行が大きく影響しています。共産主義の下では、国がサッカーの強化に多くの資金を投資しましたが、民主主義下では、そのようなバックアップがなくなりました」

――選手の平均化が進んだ現在の世の中で、再び個性あふれるスター選手を育てるにはどのような方法が良いと思いますか?

キロフ「まずは、選手に自信を持たせることです。勇気と自信を持てるように、指導者は後押しすることが重要だと思います。良い選手になるためには、強靭なメンタルと自ら道を切り開く力強さが欠かせないからです」

――おっしゃる通りだと思います。ありがとうございました。

キロフ「最後にもう一つだけ言わせてください。私は今でも日本史上最高の選手は中田英寿だと思っています。彼ほどの実力とメンタリティーや強さを持つ日本人選手はその後まだ現れていません。彼を超える選手の出現を待っています」

 最後に、PSGアカデミー・ジャパンの記者会見で披露した『PARIS』の5文字から取った、クラブのフィロソフィーについて語ってもらった。

P=POSESSION(ポゼッション)

「現代サッカーで最も成功しているチームは、ポゼッションサッカーを志向し、勝つためにゴールを目指す。どんなに勝ちたい気持ちが強くても、ボールを保持してチャンスを生み出さないことにはゴールを決められない。それゆえに良いポゼッションはユース指導でキーになる」

A=ANALYZE(アナライズ)

「選手の試合の流れを読む力は、非常に重要だ。自ら積極的に何かを生み出す能力も欠かせない。日本のジュニア世代はとても賢い。良い頭をピッチ上で生かして考えることができれば、完ぺきだ。その時々に何をすべきかの指針さえ与えれば、クリエイティブな判断を下し、素晴らしいプレーを生み出すだろう」

R=REACTION(リアクション)

「ボールを失うと選手は失望するもの。しかし、そこで立ち止まったり、自信を失ってはいけない。“大丈夫”と選手を勇気づけ、そこから正しい動きさえすれば、再びボールは自分のところへ戻ってくると伝える。守備を率先して行い、ボールを奪い返すことができるようにするのだ。個人の守備力も、組織としての守備戦術も同様に指導する」

I=INTENSITY(インテンシティ)

「現代のサッカーではインテンシティがすべてとも言っても過言ではない。ヨーロッパの5大リーグ(フランス、イタリア、ドイツ、イングランド、スペイン)では、インテンシティは信じられないほど高い。90分間、高いインテンシティをどのようにして保つことができるのか? インテンシティの高いトレーニングを行うことです。我々は練習時間を長くし過ぎることはしないが、インテンシティは非常に高いレベルに設定している。サッカーのスタイルは、どのようにトレーニングするかで決まってくる。練習でのインテンシティが高ければ、試合でもインテンシティの高いプレーを持続することができる。そうすれば、最高レベルでプレーすることができるだろう」

S=STRUCTURE(ストラクチャー)

「選手が成長していくために、練習プログラムをどのように構築していくかが、とても大事になる。トレーニングは最低3つの要素、つまりウォーミングアップ、メインの練習、クーリングダウンから構成される。選手が成長するための助けになる要素が散りばめられる。そして、トレーニングの構築よりもさらに重要なのが身体の健康と心の健康である。世界中のすべてのPSGアカデミーは、選手が成長するために欠かせない要素を厳守しつつ、指導していく」

PSGアカデミー・ジャパン発足記者会見はこちらから

写真・取材=BBM

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