※世界ソフトの解説を務める山根佐由里さん
写真◎榎本郁也
8月2日(木)から12日(日)まで、千葉県で開催されている『第16回世界女子ソフトボール選手権』。ソフトボール・マガジンWEBでは、テレビ東京で解説を担当する山根佐由里さん(元日本代表)に、各試合を振り返っていただく。本日は第7戦のオーストラリア戦です。
オーストラリア戦は、3つのダブルプレーを取るなど、ピッチャーを助けようとするバックの堅い守りが素晴らしかったですね。
先発の藤田倭投手は制球に苦しんだようです。判定が厳しいようにも感じましたが、国際大会ではあり得ること。バッテリーの二人も分かっていると思いますが、海外の良い打者から見逃しのストライクを取るのは難しい。際どいコースに投げても、審判が取らなければボールが増えていくだけなので、見逃しのストライクを待つより相手に振らせてカウントを稼いでいったほうがいいと思います。
そして、4回二死満塁で上野由岐子投手が登場。三振を狙いにいっている投球に見えましたが、まさにそのとおり三振に抑えました。さすがとしか言いようがありません。
5回、オーストラリアは一番からでしたが、上野投手に対して目の色を変えて向っていっていました。日本は4回裏に2点を追加した後だったので、ここで抑えれば一気に自分たちに流れを持ってこられるところ。そこを上野投手が3人で仕留めました。カナダ戦もそうでしたが、この試合でも集中力の高いピッチングを見せていました。
1点差のゲームを予想していましたが、初回に一番・山田恵里選手が確実に出塁して、二番・市口侑果選手がしっかりと仕事をし(進塁打)、三番・山崎早紀選手が四球で続いて、その後に山本優選手が3ラン。さすが、四番というバッティングでしたね。
出るべき人が出て、打つべき人が打つ、本当に理想的な先制点の取り方でした。この3点はすごく大きかったと思います。
4-0で迎えた4回には、藤田選手から2ランが飛び出しました。あの試合は上野投手を温存したい試合だったと思いますし、点数も入ったので途中から若手に切り替える可能性もあったと思います。しかし、上野選手を登場させてしまった。藤田選手にはそんな悔しい思いもあったのではないでしょうか。ミスを帳消しにする素晴らしい本塁打でした。
今日から決勝トーナメントが始まります。第1戦の相手はグループA2位のプエルトリコ。年々力を付けているチームで、2014年の世界選手権では私も投げていますが、打線が良い印象です。下半身がしっかりしていてパワーがあるのでアメリカ打線に似たチームですね。
予選リーグを見ても失点が多いので、バッティングに関してはそこまで不安はありませんが、決勝トーナメントに入って予選以上の戦いをしてくると思うので油断は禁物です。これまで日本は先制点を取って流れを引き寄せているので、今日の試合でも主導権を握る戦いをしてもらいたいと思います。予選リーグ以上に、全員総力のゲームになるのではないでしょうか。
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