日本のアメリカンフットボールの新たな最高峰リーグとしてスタートした「Xプレミア」。5月23・24日と31日には、第2節の5試合が開催される。注目は24日のパナソニック インパルス対富士通フロンティアーズの1戦(大阪・MKタクシーフィールド)だ。2020年代に4年連続で日本選手権・ライスボウルで対戦した両チームが、2試合目で激突する。開幕節の戦いから、両チームの今を探る。
まずは、王者パナソニックから。
Xプレミア開幕戦パナソニックインパルス●20vs21○オービックシーガルズ(2026年5月3日@東京ドーム)試合の得点経過は次の通りだった。
■オービック【0-6】1Q 2分23秒 QBピアース・ホリー→WRテイ・カニンガム=79ヤードTDパス(キック成功)□パナソニック【7-6】1Q 5分47秒 RBビクタージャモー・ミッチェル=3ヤードTDラン (キック成功) [7回75ヤード、3分24秒]□パナソニック【14-6】2Q 1分34秒 RB立川玄明=1ヤードTDラン (キック成功) [10回80ヤード、4分03秒] □パナソニック【17-6】2Q 8分54秒 K小林真大=28ヤードFG [6回22ヤード、2分09秒] □パナソニック【20-6】2Q 12分00秒 K小林真大=52ヤードFG [4回9ヤード、1分00秒] ■オービック【20-12】3Q 2分40秒 RB/K島田隼輔=16ヤードTDラン (2PTコンバージョン失敗)■オービック【20-15】3Q 8分15秒 K島田隼輔=41ヤードFG■オービック【20-18】3Q 12分00秒 K島田隼輔=34ヤードFG■オービック【20-21】4Q 5分35秒 #29 島田隼輔=27ヤードFG
スターター抜擢のQB小林が活躍、一方的なペース…前半前半は、パナソニックの一方的なペースだった。
パナソニックディフェンスは、オービックWRカニンガムの「ホームラン」的なTD(タッチダウン)1本を除けば、4回のオフェンスでファーストダウン更新は3回、57ヤードに封じ込んだ。
オフェンスはディフェンス以上に好調だった。ライスボウル連覇のエース、荒木雄也を差し置いてスターターに抜擢されたQB小林宏充が、素晴らしい働きを見せた。TDは2本ともランだったが、おぜん立てをしたのが小林のパスだった。
第1Qには、ポストを走った長身TEケイレブ・フィリップスに、小林から50ヤードのロングパスが見事に決まった。これが1本目のTDにつながった。

次のドライブでは、小林は、TEフィリップスや、WR大塩良至にリズムよくミドル、ショートのパスを決めて攻め込むと、主将のWR山下宗馬にスクリーンパス。絶妙のタイミングで決まり、山下はゴール直前まで23ヤードをゲインした。次のプレーで、パナソニックは1ヤードをRB立川が押し込んでTDを奪った。
小林は、第2Q4分にも、3rdダウン17ヤードの困難な局面から山下に25ヤードのパスを決めて、FGに結び付けた。
小林の前半はパス12/23、197ヤード。成功率は高くなかったが、3rdダウンコンバージョンでは4回中3回ファーストダウンを更新した。
決してオービックのディフェンスが悪かったわけではない。パスラッシュはかなりかかっていたが、小林はローンチポイントを巧みにずらしてパスを決めた。

オービックのQBホリーが、レシーバーを探しながら逃げていたのとは対照的で、小林は、まずは全速力でラッシュを回避。そして、クイックリセットでパスを投げる態勢を作ってタイミングよくパスを投げ込んでいた。
1月のライスボウルでは奪えなかったTDを前半だけで2本も奪ったパナソニック。攻守の充実に改めて目を見張った。
狂ったリズム オフェンスは進まず、落球、反則も…後半しかし、後半、そのリズムが崩れた。前半は1度も走らなかったQB小林が3回連続でキープして進めず。3&アウトでパントとなった。次のドライブでは、1stダウンでパスを決めたが、2ndダウンでWR山下を狙ったパスを、オービックDB坊農賢吾にインターセプトされた。オービックDE丸山碧澄のラッシュで、小林には余裕がなかった。その結果ボールが浮いていた。

着々と得点し差を詰めてくるオービック。パナソニックは、ここで小林から荒木にQBを交代させるが、流れを変えることはできなかった。
パナソニックは、前半20得点。後半無得点。後半のオフェンスはわずか13ヤードだった。
高山直也HC(ヘッドコーチ)は2024年に就任以来、初の敗戦。レギュラーシーズンで敗れたのは2020年の11月以来だった。
全精力を傾けて敗れたわけではない。RB立川のプレー機会は限られていたし、QB小林に加え、新K小林真大も52ヤードのFGを決めるなど収穫があった。
とはいえ、第4QのサードダウンでQB荒木がほぼ完ぺきに決めたパスを、レシーバーが落球するなど、らしくないミスがあった。

オービックが決めた第4Q5分35秒逆転のFGの前に、K島田は41ヤードのFGトライを失敗したが、パナソニックのクリッピング(反則)で失敗が取り消しになり、オービックが攻撃を続行する場面もあった。
要するに、王者としては看過できない「ミスによる敗戦」だった。
「ファンダメンタルをもう一回やり切る」…高山HC

試合後、高山HCに話を聞いた。
「後半にアジャストされたかどうかは、ちょっとフィルム見ないと分からない。ですが、彼らがやるプレーが、WRカンニンガムにシャロウ(アクロスのルート)を走らすとか、パワーランをして、ちゃんと前進するとか、そういうところをきちんとやってこられたと思います」。「オフェンス的には、ちょっと無理をしてボールを失ったのは大きな課題と思います。落球、タックルミスも含めて、ファンダメンタルの部分をもう少しもう一回やり切るということかと思います」。ーー3rdダウンロングで、前半はパスで切り抜けていたのが、後半は全部潰された。
「オフェンスは、3rdダウンロング(のシチュエーション)を結構作られたところに、後半苦しかった原因があると思います。なぜそう作られたかというところをしっかり詰めたいと思います」。ーーQB小林を先発させたことについては、小林が良かったから?
「そうです。小林が良かったからです。そういう風に練習してきてましたし、全然後悔はないです」ーー今日の1敗は、1月のライスボウルでの接戦も含めた、シーガルズというライバルとの戦いの中での意味と、長いシーズンの最初のスタートで喫した1敗と、どちらが大きいのですか。
「長いシーズンで1敗したという結果をしっかり受け止める方が大きいかなと思います」。ーーライバル同士ということよりも。
「そうです。もうあと次から9回試合あるので、それを勝ち切るだけかなと思います。9回というか、もう次の試合ですね」。ーーパナソニックは、昨シーズンから、過去4試合が富士通、オービック、オービック、富士通という、厳しいスケジュールになっています。
「富士通戦まで、3週間ありますので、まずしっかりとコンディションを整えるということ。富士通さんの試合を見て、しっかりいい準備をするということ、それしかないので。 今あるメンバーでやるといういうメンタリティーで戦うということです」。 ーーQBの小林君は、いい経験ができたと見てもいいのか?
「それを証明するのは次の試合だと思うので。普通に言うと、(小林の)出番はあるのとちゃうかなと思います。ですが、この3週間ですね。頑張ります。いつもありがとうございます」言葉は丁寧で落ち着いているが、高山HCからは、敗れたことへの悔しさがふつふつと伝わってきた。
プレミアのシーズンは長い。ポストシーズンに進み、ライスボウルに勝つためには、序盤の勝利がマストというわけではない。ただ、高山HCは「もう負けるわけにはいかない」という強い決意をみなぎらせていた。
5月24日11時30分キックオフパナソニック インパルス対富士通フロンティアーズ(大阪・MKタクシーフィールド)