アメリカンフットボールの国内最高峰リーグ「Xプレミア」で、第2節の注目の対決、パナソニックインパルス対富士通フロンティアーズの1戦は、富士通が24-20で、パナソニックを振り切った。富士通は2戦全勝、パナソニックは2敗。ゲームMVPは、勝利を決めた1本を含む2インターセプトの富士通DBブロンソン・ビーティーが選ばれた。
Xプレミア第2節富士通フロンティアーズ ○24vs20● パナソニックインパルス(2026年5月24日@大阪・MKタクシーフィールド)得点経過は次の通り。
□富士通【0-3】1Q 6分48秒 K納所幸司 42ヤードFG■パナソニック【7-3】2Q 0分06秒 WRミッチェルビクタージャモー 1ヤードTDラン(キック成功) [7プレー42ヤード3分20秒] □富士通【7-10】2Q 2分51秒 QB高木翼→WRグラントサマジー 17ヤードTDパス(キック成功) [5プレー65ヤード2分45秒] □富士通【7-17】2Q 5分16秒 QB高木翼→WR木村和喜 26ヤードTDパス(キック成功) [3プレー29ヤード1分33秒] ■パナソニック【14-17】2Q 11分19秒 QB小林宏充→WR當間義昭 9ヤードTDパス(キック成功) [14プレー75ヤード6分03秒] ■パナソニック【17-17】3Q 5分44秒 K小林真大 26ヤードFG□富士通【17-24】3Q 10分50秒 QB高木翼→TEダニエル・バーカー 11ヤードTDパス(キック成功) [12プレー75ヤード5分06秒] ■パナソニック【20-24】4Q 1分03秒 K小林真大 46ヤードFGRB香川がパナソニック守備相手に奮闘

元王者・富士通がせめぎ合いを制して、現王者・パナソニックを倒した。富士通のパナソニック戦勝利は2024年1月のライスボウル以来、2年5カ月ぶりだった。
オフェンスの総獲得ヤードパナソニックは239ヤード、富士通は246ヤードとほぼ互角。だが、主導権を握っていたのは富士通だった。第1クオーター2分にTDで逆転して以降は、一度もリードを許さなかった。
2026年型のオフェンスが機能した。敵陣に攻め込んだドライブはすべて得点に結びつけた。QB高木はパス182ヤード、3TD。パナソニックとは、先発QBとして過去7戦で4勝3敗だったが、TDパス3本は今回が初めて。内2本はレッドゾーンで決めた。

富士通はランでも奮闘した。RB香川将成が13キャリー59ヤード、平均4.5ヤード。昨年12月の対戦では、あのトラショーン・ニクソンでさえ17キャリー47ヤード、平均2.8ヤードに抑え込まれたパナソニックディフェンス相手だけに、価値ある数字だった。
過去のパナソニック戦では、春季オープン戦「神戸ボウル」を除けば、ほぼ出番がなかった香川。だが、第1Qのファーストドライブの7ヤードラン、第4Q残り3分からの18ヤードランなど、要所で好ゲインを見せた。富士通OL陣のランブロックが、一瞬こじ開けたホールに飛び込んでヤードを重ねた。
新戦力TEバーカーが初TD

RBニクソン引退後のオフェンスをどう確立するかが、今季の富士通の大きな課題だ。多彩なパスと堅実なランを展開し、代償として、3インターセプトを喫したとはいえ、得たものが大きかった。
富士通は、今季から新たに富永一OC(オフェンスコーディネーター)が加わった。もう一人のOCである安木達之コーチと、2人でオフェンスを構築している。
山本洋HC(ヘッドコーチ)がよく口にする「オフェンスは、いろいろとボールを回していく」というコンセプトは、富永OCが得意とするところだ。
この日初出場だった、富士通の新米国人TEダニエル・バーカーが、1TDパスレシーブと早くも活躍した。ゲーム序盤は、QB高木とのミスコミュニケーションで、インターセプトを引き起こしたが、富永OCは、193センチと長身で、40ヤード4秒7のスピードを持つバーカーの起用法も試合の中で掴んだようだった。

オービックシーガルズ時代には、QB菅原俊を擁してライスボウル4連覇に貢献。ディアーズに移籍後は、森清之HCの下で、QB加藤翔平を育成。ディアーズではその後HCも務め、法政大に転身し、HCとして甲子園ボウルに出場。この間、2015年、2020年の日本代表や、ドリームジャパンボウルの日本選抜チームのOCも務めてきた。
日本人QBで多彩なプレーを組み上げる、オフェンスマスターとしての富永OCの手腕は確かなものがある。
富士通が今後どの様なオフェンスを構築していくのが目が離せない。
高木「3INT、QBとしては負け試合」試合後、富士通QB高木に話を聞いた。
ーーインターセプトが多かったですが。特に3本目は?
高木:スクリーンパスで、前に入られてしまって、(インターセプトしたLB小西憂だけでなく、)LBジャボリー(・ウィリアムズ)もいました。投げ捨てようと思った時にはいたので。というのも前半にジャボリーにカットされているのです。
ーーはいありました。同じサイドからLB青根がブリッツしたプレー。
高木:そうですね。そういう伏線があって、かつ、ブリッツがフリーで来てしまって、そこをちゃんとすり合わせできていなかった。
やっぱりターンオーバーされてはいけないし、3回もされてるんで、かなり課題と思っています。

ーー1本目は、パスがターンボールでTEバーカーが弾いてしまった。
高木:あれは、ダニエル(TEバーカー)とのミスコミュニケーションなんですよ。
ーーアクロスルートで、山本HCは「ダニエルが速いので、高木の予想よりも前行った?」みたいな話をしていました。
高木:あれは、僕的には止まって戻ってくれるルートだと思っていました。そこはすり合わせが足りていなかった。結果としてはやはり、自陣で(インターセプトを)やられてるんで、QBとしては、もう今日は負け試合かなと思ってます。
ーーただ、ダニエルは、その後1本長いパスをキャッチして、さらにTDパスレシーブ。TDは良かったのではないですか。カバーで付いていた、パナソニックのDBを振り切っていた。
高木:良かったです。完全に振り切っていました。
ーーウェポンが増えて、それを投げ分けるっていうのは今日はできてたのでは?
高木:前半にリードを取ったのが大きかった。(最終盤)4点差で、パナソニックさんもFGでは追いつけないというので、ギャンブルをしてくれた。 パナソニックは、やはりディフェンスが強いので、追いかける展開になってしまうと、後半のあの(インターセプトされた)シリーズみたいな感じになる。 ただ、実際にはこちらがリードしてる中だったので、もっと僕らとしてもやりようあった。そこは課題と思います。

ーーRB香川が本当に今日頑張ったと思うのですが。OLも含めたランのユニットが。
高木:はい。頑張っていました。春先の練習から、香川ほんと一人で頑張っていましたし。彼にはすごく良いものがあると思うので。強い気持ちもあるし、フットボールの理解度もあるし。
ーー前の試合後に、山本HCに「香川君はそれなりに頑張ったんじゃないですか?」 みたいな質問を、したら「いやいやいや」「開いているホールが閉まりかけてから突っ込んでいる」ということを言っていました。 で、今日はオンタイミングでドンと。
高木:(OLとの)間合いが消えたっていうのに加えて、OLがちゃんと押していたというのもあるでしょう。
あと、ニクソンも言っていたのですが、開幕1試合目は、RB的に、ライブの見え方が、結構全然違うということがあったと。ニクソンも、毎シーズン開幕の後に「ああ、もう全然ダメだ。止まってしまう」みたいなことをずっと言っていました。
香川自身もそれを踏まえてやっぱり、もっと意識したのではないですか。 山本HCとか、RBコーチのアドバイスを踏まえて。 そこは、僕が(QBとして)DBのプレッシャー、ポケットの感じ方を、慣れていくのと一緒です。RBも、そういうのはあるのではないかと思います。
「みんなでしっかり会話しながらオフェンスを構築」

ーーランということでは、高木選手も走りましたね。
高木:走りました。
ーー撮影していて、ちょっと「おいおい怖いぞ」という。
高木:(負傷というのは)確かに怖かったですね。まあでも、なんだろう。
あの場面は、後半の最初のシリーズ、ロングドライブをしてたし、あの流れを止めたくないなというのがありました。
ーー確かに、あのQBキープでファーストダウンを取って、結局TDに結びつけた。
高木:そうです。後半開始の(パナソニックのオフェンスで)FGで同点にされて。だからもう一回リードし直した。やはり、去年、一昨年の、負けた反省も踏まえて、アグレッシブに行こうというのは、やっぱり決めていました。

ーー富永さんのオフェンスとの相性はどんな感じですか?
高木:プレースタイルはそんなに変えてないので、富永さんは本当によく会話してくれる人なので、富永さんの考えと僕の考えをうまくすり合わせて、そこに山本HCや安木さんも入ってもらって、みんなでしっかり会話しながらオフェンスを作れているのでで、そこはすごくいい感覚があると思います。
ーーボールを回すというのが、富永さんの一番得意なところかなと思います。
高木:そうですね。初戦の東京ガス戦は、2シリーズぐらいまでは、結構ニクソンがいる時のオフェンスに近いなという感覚がありました。 やっぱり中(インサイド)、中でランを出して、パスで締めるみたいな。
ただ中、中のランを1stダウン、2ndダウンでやって、ノーゲイン、ノーゲインで、サードダウンになっていたので。それだと結構苦しいよねと話をしました。
だから東京ガス戦も3シリーズ目ぐらいから「もっと回させてほしい」と言ったら、すぐアジャストしてくれてやっていたので
。
ーーパナソニック戦という、大きな山を一つ乗り越えたのですが、まあ全然安心はできないし、満足もできないのでしょうが。次の試合、富士フィルム戦に向けてどういう準備をしますか。
そうですね、富士フィルムさんも良いQBがいるし、初戦のIBM戦を見たのですが、かなりボールコントロールしていましたね。
(まだ、シーズンは序盤だけれど)本当にもうトーナメント、ライスボウルにつながる1試合だと、全試合がそうだと思っているので。
少ないチャンスのゲームになると思うので。しっかりいい準備して、この環境の変化というか、ニクソンがいなくなったオフェンスに対して、やっぱりもっとレシーバーともすり合わせをしないといけない部分があるし、新外国人のダニエルともすり合わせをしないといけないし、コーチともすり合わせしないといけない部分もあるし、もう本当にやることは盛りだくさんなので。頑張ります。
ーー富士フイルムに負けたIBMが、2戦目でノジマ相模原に勝っている。どのチームも強くなってきて。50点、60点の試合が無くなっていくと思います。
高木:面白いんじゃないですか。やりがいあります。


