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2026-09-20

【アメフト】オービックシーガルズ「プロ契約規定違反」問題で、社会人協会が調査・処分の詳細を公表  なおも残る疑問

オービックの習志野開催「ホームゲーム」には、常に多くの地元ファンが詰めかける=今季第4節の富士通戦で、撮影:小座野容斉

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日本社会人アメリカンフットボール協会(NFA=Xリーグ)は9月20日、オービックシーガルズのプロ契約選手規定違反疑惑について、これまでの調査や処分の経緯を、公式HPやリリースで公表した。

今回の公表は、8月28日、9月11日の個別処分だけでは伝えられていなかった経緯や調査の進捗を整理し、調査開始の経緯、調査手順、これまでの認定事実と処分内容、さらに継続調査中の事項について説明したものだ。

その中で、NFAは「一連の経緯や調査の進捗について、ファン、関係者、加盟チームの皆さまに十分にお伝えできていない部分がありました」と認めている。

この公表に先立って、NFAは西村大介・新理事長の「就任にあたっての決意表明」と題した一文を公開しており、その中で西村理事長は、
■情報の開示
「今後の情報発信について、「徹底的に情報を開示する」という明確な方針を持って対応してまいります。」
と述べている。今回の公表は西村理事長の方針のもとに行われたとみてよさそうだ。

以下、公表された時系列を要約して列記する。


2026年5月11日
■各チームへの情報提供依頼
4月17日選手登録後、加盟チームから「プロ契約選手が上限の4人を超えているチームがあるのではないか」との指摘が相次いだ。協会は全11チームに対し、自チームが規定を順守しているか確認を求めるとともに、他チームのプロ契約疑惑に関する情報提供を要請した。情報収集の結果、人数制限違反の疑いがあるチームの存在を把握した。

2026年5月19日
■懲罰委員会の設置
集まった情報を受け、理事会は弁護士を含む懲罰委員会を設置した。複数チームを対象とする調査を正式に開始し、プロ契約選手数に関する疑惑の事実確認に着手した。

2026年5月26日
■調査方針の公表
第1回懲罰委員会で決定した調査方針を各チームへ報告した。あわせて、11チームの代表者は本件に関する処分や判断を懲罰委員会へ一任することに合意した。

2026年6月18日ー7月5日
■リーニエンシー(自主申告)期間
協会は自主申告を促すため、処分軽減・免除の可能性を伴うリーニエンシー期間を設定した。この期間中に自己申告を受け付け、違反の有無や実態把握を進めた。

オービックシーガルズは、チーム契約の居室を4選手に提供していたため、協会から「プロ契約選手」に該当する状態にあったと認定された。しかし、この事実はリーニエンシー期間中に古谷拓也GMが自主申告し、その後、選手らが住宅提供期間中の家賃を全額返済するなど違反状態が解消された。このため、違反事実は認定されたものの、懲罰委員会は処分対象とはしなかった。

2026年7月7日ー8月27日
■本格的な事実調査
自主申告だけでは全ての疑義案件を解明できなかったため、懲罰委員会は追加調査を実施した。複数チームを対象に関係者へのヒアリングや提出資料の精査を行い、疑惑のある選手が実質的にプロ選手に該当するかを検証した。

2026年8月28日
■第1回処分
オービック所属の未登録選手1名について、経済的利益に当たると認定された。この選手は実質的なプロ契約選手と判断され、人数制限違反を認定。選手本人は厳重注意処分となり、並河研代表と古谷GMには1か月の資格停止処分が科された。

2026年9月11日
■追加処分
その後の調査で、提出資料や説明に虚偽・矛盾・不合理な内容が含まれていたことや、調査への非協力的な対応が認定された。これを受けて、並河代表と古谷GMは無期限資格停止処分となった。また、資格停止中に並河研代表が試合会場に来場していたことも判明し、20万円の罰金が科された。

2026年9月13日
■富士フイルム海老名戦の中止
富士フイルム海老名ミネルヴァAFC 対 オービックシーガルズ戦は、ミネルヴァ側が試合への参加を見送ったため中止となった。

2026年9月15日
■懲罰委員会の増員
調査体制を強化するため、理事会は新たに弁護士1人、公認会計士1人を懲罰委員へ追加した。法務面だけでなく、資金の流れや経済的利益の有無についても専門的な検証が可能な体制へ拡充された。

2026年9月15日
■富士フイルム海老名に対する調査開始
試合参加を拒否した富士フイルム海老名ミネルヴァAFCについても、公式戦参加義務違反や試合放棄に該当する可能性があるとして、別途懲罰委員会が設置された。

現在
■継続調査と再発防止策の要求

オービックシーガルズ所属選手2人については、金銭支給や経済的利益の提供を受けていた疑いが残っており、協会は現在も調査を継続している。また、オービックに対しては、2026年10月11日までに改善策および再発防止計画の提出を求めている。問題はまだ完全には終結しておらず、最終的な事実認定と追加処分の可能性を残したまま調査が続いている。

疑問その1 最大で何人の選手がプロとして試合をしていたのか

今回の公表で、ますます疑問が深まったことがいくつもある。まず最初の疑問は、オービックシーガルズは、今シーズンのゲーム中、最大で何人のプロ選手(正規プロ契約の4人を加算した人数)をプレーさせていたのかが、不明だということだ。

報告書によれば

1) 早期申告により懲罰対象外となった選手:4人
「チームが契約する居室を、提供されてていた」4人。報告書のリーニエンシー期間(6/18ー7/5)にオービックシーガルズから申告があり、その上で、
・違反行為を解消
・家賃を全額返済
 是正措置が行われたため懲罰対象外となった選手
→ 4人の選手をプロ契約選手に該当すると認定

2)  違反が確定した選手:1人
2025年12月ー2026年3月に「チームから、アメフト選手の活動の対価としての経済的利益に該当する、トレーニング費等活動費が支給されていると疑われる案件」
→ 1人の選手をプロ契約選手に該当すると認定

3) 違反の疑いが残っている選手:2人
「チームから、同選手らが所属する会社を経由して、アメフト選手の活動の対価としての金員または経済的利益の提供が行われていると疑われる案件」を受けていた疑い
現在も調査継続中
→ 2名

延べで7人となる。実数で7人なのか、あるいは重複している選手がいるのか。

シーガルズで、正規に今季プロ選手として登録されているのは、QBピアース・ホリー、WRテイ・カニングハム、DBマカイ・ミラー、DBコール・コールマンの4人の選手だ。

リーニエンシー期間前には、シーガルズは2試合を行っている。もし重複がないとすれば第1節、第2節のゲームでは、最大で11人のプロ選手をプレーさせていたことになる。これは、非常に重要なことなので、はっきり明示してもらいたい。

また、1)、2)については、可能であれば、1人当たり、1カ月当たりの金額を開示できないのだろうか。金額によっては、「社会通念上、許容の範囲」「酌量の余地あり」と考慮できる場合もあるかもしれない。


疑問その2 「処分を免除する期間」は11チームの承認を得たのか

また、
・懲罰委員会では、まずリーニエンシー期間(協力や自己申告を考慮して処分を免除する期間)を設け、自己申告を受け付けることとしました。

とあるが、その期間を設けることと、処分を免除することは、Xリーグ プレミア参加の11チームがすべて許諾したのか。特に、同期間より前に行われた試合の結果について、第1節で対戦し、20-21で敗れたパナソニックインパルス、第2戦で対戦し、3-52で敗れた東京ガスクリエイターズは納得したのだろうか。「11チームが懲罰委員会に一任」の範囲内で済む話だったのか。


疑問その3  選手への「厳重注意」、試合出場へのペナルティーは?

シーガルズの並河研代表、古谷拓也GMについては、8月28日に資格停止処分1カ月、その後9月11日に無期限の資格停止処分となった。

しかし、違反認定された選手については「厳重注意」としているが、試合出場に対する可否は一切記されていない。

NFA規程の「4.倫理懲罰規程 」によれば

第9条(処分)
第4条の禁止事項を犯した者に対しては、その行為の重大性に応じて理事会は次に掲げる処分を行う。
(1) 競技関係者 登録抹消、競技会等への出場及び参加資格の永久又は一定期間の停止、戒告 

とある。上記の競技関係者には当然、選手も含まれると理解する。そうであれば、違反認定された選手は、登録抹消などの参加資格の停止ができるはずではないのか。

実際の試合結果には影響のないGMや代表への資格停止はなされても、選手への出場に関する処分がないのでは、他チームにとっては納得できるものではない。

さらに、
「当該選手2名については引き続き調査を継続すると共に、疑義が払拭されるまで公式戦への出場を自粛するよう強く求めています。」

とあるが、このような「お願い」ベースではなく、「出場を認めない」とすることはできなかったのか。あるいは現状でもできないのか。


疑問その4 もっと早い段階で情報開示できなかったのか


疑問はまだある。Xリーグプレミア参加の11チームに、今回の発表と同じ程度の情報開示は、これまでなされて来たのだろうか。それとも、今回が初めてだったのだろうか。


そもそも、この問題の発端は、4月中旬。多数のチームからの指摘を受けてのものだ。平たく言えば「どのチームも、みんなそう言っていますよ」という事案だ。ごく一部の内部通報者による不正告発で、内部通報者の安全を守らなければならないなどというものではない。

このような調査を行っているというメディアに対する発表は、5月段階で必要だったのではないか。個別のチームについて言及する必要はないし、別に懲罰委員会の構成人員などを明らかにする必要もない。「リーグが、こういう事案に対して調査を行っている」だけで構わない。

情報隠しをしているとは思いたくないが、この程度のディスクロージャーは当然だと思うが、なぜできなかったのだろうか。

      ◇

西村新理事長は、「決意表明」の中で
■ 情報の開示
■ ガバナンスの強化
■ より多くの方に応援していただけるXリーグへ

と述べている。その決意が本当に実現されるのか、見届けていきたい。


シーガルズは自ら事実の解明と公表を

最後に、オービックシーガルズに望みたいことがある。

シーガルズは、Xリーグの中で「クラブチームの雄」として、かってはライスボウル(日本選手権)4連覇、現在もパナソニック、富士通という2大企業チームを相手に、一歩も引かない戦いを繰り広げてきた。

それだけではなく、ファンクラブを中心とした地元ファンへのサービス、習志野市など地元自治体との関係構築、フラッグフットボールの普及など、他のクラブチームの模範になることに、常に取り組んできたチームだと理解している。今はどのチームでも行う「地元開催のホームゲーム」も、シーガルズが定着させたと言ってよい。

Xリーグになくてはならない、最もXリーグらしいチームがシーガルズだと信じている。

今般、疑惑の渦中にある中で、前ヘッドコーチの大野洋さんらによる、高校生のアメフトクラブチーム「習志野クラブシーガルズ」の活動が始まった。

高校にアメフト部がなくても。一度アメフトを離れても。高校の部活動と両立したくても。「やってみたい」という気持ちを、あきらめなくていい場所をつくりたかった。 と大野さんはnoteで記している。

地道だが、非常に大切な活動だと思う。

それぞれの事情を抱えながら、「それでもアメフトをやりたい」と思って、意思を示している高校生のためにも。

NFAではなく、シーガルズ自身で、事実を明らかにして、公表してほしい。

【小座野容斉】

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