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2020-01-11

【アメフト】鳥内監督は「勉強」の人だった

1月9日に退任会見を行った、関西学院大学アメリカンフットボール部ファイターズ前監督の鳥内秀晃氏。28年間、「教育」にこだわり、チームを率いてきた学生アメフト界の名将の魅力とは。著書『どんな男になんねん』の共著者である生島淳氏によるコラムをお届けします。

上の写真 昨年、取材に訪れた上ヶ原キャンパスの練習場で。練習の間はこのベンチが定位置で練習の様子をずっと見守っていた

教育者と勝負師

 1月9日、関西学院会館で鳥内秀晃監督の引退会見が行われた。

 会見の途中からは、教え子の記者を監督自ら直接指名するという和やかなムード。鳥内節全開である。

 およそ1時間の会見に出席した私の感想は、監督は「教育者」として生きてきたのだと思う一方、監督には「青い血」が流れ、根っからの勝負師だったのだな……と実感した。

 それにしても、教育者と勝負師を両立できる人は、日本に数少ない。

 2019年のクリスマスイブ、私は鳥内監督との共著で『どんな男になんねん』を上梓した。

 そもそも、去年の1月の時期には、私が監督の本をまとめることになるとは想像もしていなかった。

 きっかけは、関西学院の卒業生の「花房さん」である。

 仕事でつながりのあった花房政寿さんは、1998年度のファイターズの卒業生。スターランニングバックだった。

その花房さんから、

「監督がラストシーズンということもあるんですが、これまでの監督の指導哲学を本という形でまとめられないですかね」

という相談を受けた。

 花房さんは、関学の同期で現在はファイターズのアシスタントコーチを務めている島野和弘さんと相談し、監督の言葉が後世に伝わるような企画が出来ないかーーと話し合っていたという。

 監督とは面識のない私でいいのかと思ったが、これまでラグビーのエディー・ジョーンズ氏をはじめ、指導者についての本を書いていることに目を留めてくれたようだった。

 大学スポーツが好きな私としては、長年結果を出し続けている関西学院大学のアメリカンフットボール部のカルチャーに興味があったし、強面の指揮官の哲学に触れてみたいと思った。

 ベースボール・マガジン社の友人に相談すると、企画はトントン拍子に“GO”となった。

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