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2020-09-27

【ボクシング】“闘牛士”木村、デビュー2戦目も快勝/村地は3-0判定で再起

期待のホープ木村(左)は、きめ細かい攻防を披露した

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27日、静岡県・ふじさんめっせで、地元期待の新鋭がそろって勝利。アマチュア3冠から7月にデビューした木村蓮太朗(23歳=駿河男児)は岩屋卓史(32歳=寝屋川石田)に5回TKO勝利。メインに登場した村地翼(23歳=駿河男児)は、元ランカーの川端遼太郎(29歳=真正)に3-0判定勝利を収めた。


木村の厳しいラッシュに、岩屋コーナーからタオルが投入された

■58.0kg6回戦

○ 木村蓮太朗(駿河男児)
  岩屋 卓史(寝屋川石田)
  TKO5回2分31秒

 飛龍高→東洋大と名門を経て、7月にプロデビューを果たした木村は、地元初の試合で、華麗なマタドール(闘牛士)ぶりを発揮した。「岩屋選手がものすごいタフでガードが堅かったので」と、綺麗なKO勝利を捨て、右へ左へ、前後左右へと流れるようにポジションチェンジを繰り返し、岩屋の死角から左右のストレート、フック、アッパーカットを次々に決めていった。
 まるでワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を思わせるような縦横無尽ぶりだったが、「(ロマチェンコは)恐れ多くて……(笑)。カネロとゴロフキンを参考にしました」と、サウル・アルバレス(メキシコ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)の名を挙げた。「足、体、頭、腕、すべてを使ってかわしたい」と、世界のトップボクサーの防御テクニックをミックスさせて、取り組んできたのだという。


一瞬のうちに、木村は岩屋の背後に回り込んだ

 岩屋とは、技術もスピードも差は歴然としていたが、リズムがやや単調になると、一転して鋭い攻撃に。5回、左ストレートをハードヒットすると一気にラッシュ。岩屋のコーナーからタオルが投げ込まれた。
 この日の華麗な動きを、もっとスピードある相手にできるか? と問いかけると、「その自信はあります」ときっぱり。「静岡から世界へ」を期待していい、戦力とハートを見せつけた。
 木村は2戦2勝2KO。岩屋は8戦4勝4敗。


村地のジャブは、最後まで衰えなかった

■バンタム級8回戦

○ 村地  翼(駿河男児)
  川端遼太郎(真正)
  判定3-0(79対73、80対72、80対72)

 昨年9月、5戦目でフローイラン・サルダール(フィリピン)とのWBOアジア・パシフィック・スーパーフライ級王座決定戦に臨み、8回TKOの完敗を喫した村地。「引退も考えた」というほど、ショッキングな内容だったが1年ぶりにリングに戻ってきた。
 初回から速くて重みのあるジャブを飛ばし、さらにワンツーを突き刺す。が、同じテンポで放つパターンを読んだ川端は、右を合わせてくる。
 すると村地はしきりにグローブを動かしたり、フェイントを交えたりして変化を加える。左右へ飛びながら、いきなりの右をちょこんと当てるなどトリッキーな動きは、「サルダールにやられたことを盗んだ」という。転んでも、ただでは起き上がらない。良い傾向だと思う。
 しかし、集中力が途切れると、相手の正面に立ってしまう悪い癖も時折見られ、川端のリターンブローを浴びることも。だが、川端は村地に攻めさせてから返す“受けのボクシング”で、ポイントにつなげることができなかった。
「前回の負けが強烈に残っていて、無難にジャブのボクシングに逃げてしまった」と村地は反省したが、ジャブのスピード、威力は最後まで衰えず。これはなかなかできることではない。
 1学年下の木村とともに、次戦は12月に後楽園ホールに登場予定だ。
村地の戦績は6戦5勝(3KO)1敗。川端は18戦12勝(6KO)4敗2分。


麻生(右)と山口は、ほぼ互角の打ち合いを繰り広げた

■62.5kg契約8回戦

○ 麻生 興一(三迫)
  山口 祥吾(唯心)
  判定2-0(76対76、77対75、77対75)

 元日本スーパーライト級王者(現・同級15位)の麻生(34歳)は、昨年5月以来のリング。元ランカーの山口(26歳)との足を止めての打ち合いはお手のもののはずだったが、馬力を見せることができない。山口は、いい意味で力の抜けた連打を重ね、下手に足を使って麻生を勢いづかせない方策がよかったように感じた。
 ショートのボディブローのねじ込み方、パンチの強弱で、若干麻生が上回った感。しかし、初回にバッティングで負った右目上のカットや腫れなど、麻生の傷のほうが目立った。
 麻生は34戦24勝(15KO)9敗1分。山口は21戦12勝(7KO)6敗3分。

文&写真_本間 暁

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