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2020-10-03

【ボクシング】松永宏信が1位・清水優人を7回TKOしV2

松永の攻めは3回から加速していった

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 3月開催予定が、新型コロナウイルスの影響により大幅に延期となっていた第41回チャンピオンカーニバル、日本スーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦が3日、東京・後楽園ホールで行われ、チャンピオン松永宏信(33歳=横浜光)が1位・清水優人(32歳=木更津グリーンベイ)を7回2分40秒TKOで下し、2度目の防衛に成功した。


顔面一辺倒に攻めて、試合を長引かせてしまったのは反省点かもしれない

■第41回チャンピオンカーニバル

 日本スーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦
○ 松永 宏信(横浜光)69.8kg
  清水 優人(木更津グリーンベイ)69.8kg
  TKO7回2分40秒

 サウスポー松永が、グローブや足でフェイントをかけながら前へ出て、清水が下がりながらこれを迎え撃つ。比較的静かな立ち上がりから一変したのは3回だった。清水の左ジャブを、松永が右グローブでパーリングすると、長身の挑戦者は、びっくりした表情を見せながら前方に大きくバランスを崩した。清水のジャブの威力を利用する技。松永は、きっとこれを散々練習していたのだろう。この隙に、一気に強い連打を仕掛け、完全にペースを握った。
 右フックが再三顔面を捉える。5回にはヒッティングで鼻の頭をカットした松永だが、そんなことはお構いなし。左(松永)と右(清水)の相打ちでも、堂々打ち勝ってみせる。怖いのは、入り際に、稀に放つ清水の右アッパーくらいだ。前日の計量後、「頭ばかり狙わないよう気をつけたい」と語っていた松永だが、中盤はヘッドハントに陥りかけた。が7回、清水のボディ連打に、思い出したかのように松永もボディブローを放ち、左ストレートを顔面にクリーンヒット。清水は左目上をカットし、いよいよ暗雲が立ち込める。
 頭もボディもダメージを負った清水を、松永はショート連打で追い立てる。レフェリーも止める準備に入った様子。松永の右フックがクリーンヒットしたところで、レフェリーの腕が交差された。
 松永の戦績は18戦17勝(11KO)1敗。清水の戦績は21戦14勝(5KO)5敗2分。

好選手が揃う横浜光ジムだが、現在は松永が唯一のベルトホルダー



技術差は大きくあったが、高橋(右)は明確にそれを示すことができなかった

■スーパーバンタム級8回戦

○ 高橋 竜平(たかはし・りょうへい=横浜光)55.3kg
  遠藤 清平(えんどう・きよへい=RK蒲田)55.2kg
  判定3-0(77対74、77対74、78対73)

 昨年1月、ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンでIBF王者(当時)TJ・ドヘニー(オーストラリア)に挑戦(11回TKO負け)した日本スーパーバンタム級7位・高橋(30歳)は、ランクを狙うサウスポー遠藤(25歳)に、はっきりとした“格”の違いを見せつけることはできなかった。
 テンポの速い、小気味いい出入りが身上の高橋だが、入り際に右フックを合わされ、右と左の相打ちでも、やや分が悪い印象。そこは技術で上回る高橋、タイミングをずらしているから大きな事故には至らなかったが、遠藤を調子づかせてしまった。また、リズムを変えようとしたのか、時折サウスポーにスイッチしてもみせたが、その間合いだと、遠藤の左がどんぴしゃになる。この日は、そういうことを察知するセンサーも快調とはいかなかった。
 細かいパンチを集めたり、遠藤のブローをしっかりと防いだりと、ポイントは文句なしで稼いでいたが、本人もまったく納得のいかない内容だったはずだ。高橋は24戦19勝(8KO)4敗1分。遠藤は7戦3勝(3KO)4敗。



ストップの瞬間、喜びを爆発させる川満

■ライトフライ級6回戦

○ 川満 俊輝(三迫)48.6㎏
  野田 賢史(帝拳)48.6㎏
  TKO4回2分16秒

 宮古工業高校時代、同級生だった比嘉大吾(元WBC世界フライ級王者=Ambition)とともに鍛えた川満と、秀岳館高時代、選抜大会準優勝などを収めた野田。25歳同士の一戦は、左右フックと推進力に優る川満が、ストレート系に秀でた野田を上回った。川満の右は、野田の長い距離に届かないこと再三。しかし、空振りしようともさらに連打を加速させて追いすがる。野田もワンツーからの左ボディブローを何度も突き刺したが3回、川満の連打にダメージを負い、スリップダウンを重ねた上に、ノックダウンを喫した。
 4回、ダメージを引きずる野田に、川満はなおも連打を仕掛け、レフェリーが野田を救った。
 これまでの2戦がいずれも初回KO勝利だった野田に対し、川満は4回判定を3試合、6ラウンド目も経験している。苦しいところからさらに攻める術、豊富な練習量で培っただろう体力も存分に感じさせた。
 川満は5戦5勝2KO。


基本に忠実なスタイルで、神足は変則・木村を攻略した
■フェザー級6回戦

○ 神足 茂利(こうたり・しげとし=M.T)57.0㎏
  木村 元祐(きむら・もとすけ=JM・加古川)56.7㎏
  判定3-0(57対56、58対55、58対55)

 世界初挑戦が決まっている中谷潤人、日本ユース・ミニマム級王者の石澤開に次ぐ、“M.Tジム第3の男”として期待される、名門・日本大学出身の神足(24歳)だが初回、変則サウスポー木村(33歳)に右の打ち終わりを左で捉えられ、ダウンを喫する。だが、焦る様子は微塵も感じさせず、両グローブでフェイントをかけながら、引きの一手でカウンター狙いに専心する木村を追い込んでいった。
 神足の戦績は2戦2勝(1KO)。木村は10戦3勝(1KO)5敗2分。

文_本間 暁 写真_小河原友信

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