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2020-10-05

【ボクシング】大橋秀行会長も脱帽「井上尚弥の強さを再発見した」

リモート会見より。「夢の実現ではなく、これは始まり」。大橋会長も大いなる期待をこめて語った

 10月31日(日本時間11月1日)、アメリカ・ラスベガスのMGMグランド“ザ・バブル”で行われるWBAスーパー・IBF世界バンタム級タイトルマッチ、チャンピオン井上尚弥(27歳=大橋)対挑戦者ジェイソン・マロニー(29歳=オーストラリア)に向けて5日、大橋秀行会長がリモート会見を行った。

「完璧に近い状態」。松本亮、桑原拓、松本圭佑といったジムの同僚、IBFフライ級6位の黒田雅之(川崎新田)とのスパーリングを重ねた井上の出来を振り返って、大橋会長はしみじみと語る。さらに今週からは、日本ユース・バンタム級王者の石井渡士也(REBOOT.IBA)とも手合わせを開始し、18日の日本出発まで、さらに状態を加速させていく。

 4月下旬に、WBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)と戦う予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期。いつ試合が行えるかわからない状況に加え、対戦相手も変更となった。「ふつうなら、泣き言をひとつふたつ言ってもおかしくないはずだけれど、そんなことは一切なし。4月のカシメロ戦に向けて、集中力の高いトレーニングを始めた1、2月から何も変わらず、途切れさせることなくきている。これは本当に凄いこと」。
 ボクシング自体の強さだけでなく、「モチベーションが落ちることがない」その強靭な精神力の面でも、「井上尚弥の強さを再認識した」と大橋会長は舌を巻いた。

 会長自身の夢の実現でもある。「小学6年で具志堅(用高)さんを見てボクシングを始めて、テレビで見ていたスーパースターたちが戦うラスベガスで、自分の選手が戦う。夢のまた夢の出来事」と言うが、ファイトマネーの面でも、日本全体の希望を背負う。カシメロ戦は当初100万ドル(1億円超)と言われ、「相手が変わって30~50%ダウンも覚悟していた」(大橋会長)が、金額は維持されることが明かされた。「そういった面でも、日本のボクサーだけでなく、これからの子どもたちにも夢を与えたい」と大橋会長。それが、井上尚弥曰く「第2章の始まり」であり、大橋会長も「今回は、夢の実現ではなく、夢のまた夢の夢の始まり」と断言する。

 聖地ラスベガスでのメインイベント登場が、期待の高さを示すもの。「いまこの段階で青写真を描くことは難しい」(大橋会長)としながらも、マロニーを首尾よく退ければ、今後はあらためてカシメロ戦、WBC王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)対ノニト・ドネア(フィリピン)戦の勝者との対戦も注目される。

「来年は4団体統一。そのつもりでいます」と大橋会長もしっかりと宣言した。日本中の期待の膨らみようは尋常ではなく、井上尚弥の背中にズシリとのしかかるだろうが、彼ならきっとやってくれるだろう。なにより、自身の目標実現のためにも

文_本間 暁

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