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2020-10-13

【大学駅伝】早大の中谷雄飛が駅伝シーズンに向けて見せたエースの存在感

トラックゲームズ in TOKOROZAWAの10000mで1位の中谷雄飛(早大3年)。日本選手権の参加標準も突破した

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出雲駅伝が開催されるはずだった10月11日(日)。その代替試合として、早大、明大、創価大、東洋大の4校による対校戦「トラックゲームズ in TOKOROZAWA」が埼玉県所沢市の早稲田大学織田幹雄記念陸上競技場で行われた。本来は前日の10日開催のはずだったが、台風14号の接近により、奇しくも出雲駅伝の開催日と同日になった。

対校戦の形式は、各校、5000m4人、10000m2人の対校選手が出場し、その合計タイムを競うというもの。5000m、10000mの順でレースは行われたが、試合の結果は、10000mで中谷雄飛、太田直希の3年生コンビがともに28分19秒台と力走した早大が、5000m終了時の最下位から大逆転を果たし、総合優勝を飾った。

日本インカレ後の合宿でガムシャラに走り込む

中谷にとっては、9月の日本インカレの雪辱を期したレースだった。

今季の中谷は好調だった。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会5000mで13分39秒21の自己新。8月には大迫傑(Nike)主催のSugar Elite short Campに参加し、競技への意識もいっそう高まった。また、これまで課題だった練習の継続もできており、9月の日本インカレでは快走を披露するはずだった。ところが、その舞台では10000m16位に終わり、トップに周回遅れにされる屈辱も味わった。

「全カレは疲労だったと思うんです。でも、走り終わった直後は、どうしてああいう結果になったのかが分からず、ものすごく悩んだし、だいぶ凹みました」

日本インカレ後に1週間の合宿があったが、「今までの合宿では守りに入っていたところがあったんですけど、それを取っ払って、走り込めるだけ、ガムシャラに走り込みました」と走り込むことに没頭した。すると、そこから調子は上向き、9月30日の早大競技会では3000mで8分00秒19の自己新で走った。

そして、「全カレが悪かった分、今回はしっかり走りたいと思っていました」と意気込んで、今大会に臨んだ。

「直希がいてくれたおかげ」太田とワンツー

レースは、実業団のGMOインターネットグループからも多数参加しており、「外国人選手に付いていって27分台にチャレンジする」というプランもあった。だが、入りの1000mが2分49秒と27分台を狙えるペースではなかったため、勝負に徹しようと切り替えた。

5000mを14分5秒で通過すると、7000mを前に明大の手嶋杏丞(3年)が脱落し、先頭争いは中谷と太田の早大勢に絞られた。2人は、終盤も吉田祐也、イルング・デービッド・グレ(GMOインターネットグループ)に食らいつき、ペースを落とさなかった。

8600mからは太田が中谷を先行するが、「直希がきつい場面で出てくれたりと、直希がいてくれたおかげで、僕自身、良い走りができた」と振り返るように、中谷も踏ん張った。そして、ラスト1周で再逆転し、28分19秒27の自己新記録で、対校戦1位を勝ち取った。目標としていた日本選手権の参加標準(28分20秒00)も突破し、ガッツポーズも飛び出した。2位の太田も28分19秒76の自己ベストだった。

駅伝でのチームの目標3位以内へ

「5000mで1年生がうまくいかなかった分、上級生でしっかり取り返そうという思いを頭の隅に置いて走りました。出雲駅伝が中止になったのは残念でしたが、(駅伝シーズンの)スタートとしてこの大会は1位を狙っていくつもりでした。チームは(全日本大学駅伝、箱根駅伝と)3位以内を目標にしています。チームの状態は上がってきているので、チーム一丸となって目標達成できるように頑張りたいと思います」と中谷。

対校5000mに出場した1年生は苦戦したが、日本インカレを終えて駅伝シーズンにシフトしている最中とあって、記録を見ても、決して悲観する必要はないだろう。

夏合宿を実施できないなど懸念材料が多かった今季の早大だが、頼もしいエースの存在感も際立ち、駅伝シーズンに向けて弾みがついた試合になった。

文・写真/和田悟志

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