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2020-10-17

【箱根予選会】「落選の悔しさをバネに」山梨学院大が箱根路に復活

2年ぶり34回目の箱根出場を決めた山梨学院大(写真/井出秀人・陸上競技マガジン)

第97回箱根予選会で山梨学院大が10時間30分50秒で7位通過。2年ぶり34回目の本戦出場を決めた。

好調の選手を選ぶことができた

本戦3度の優勝を誇るプルシアンブルーが箱根路に帰ってくる。

前回17位と、初出場時からの連続出場が33で途切れた実績校が新たな一歩を記した。

「大変うれしく思います。昨年、連続出場記録が途絶え、今年は絶対に戻るという気持ちで一年間取り組んできました。森山キャプテン(真伍、4年)を中心にメンバーがきつい練習に耐えてくれました」

昨年度から就任した飯島理彰駅伝監督は選手の奮闘を称えた。

今回、陸上自衛隊立川駐屯地内の平坦な周回コースに変更になり、高速レースに拍車がかかった。その点を踏まえたとしても、1時間02分07秒でチームトップのポール・オニエゴ(3年)から1時間03分55秒で10番手の大迫太雅(4年)まで、全員が取りこぼしのない堅実なレースを遂行した。

「前日にテクニカルミーティングをしましたが、森山以外は全員、私たちが設定したタイム以上の走りをしてくれました。非常にいいタイムだと思います」(飯島監督)

指揮官の言葉を裏付けるように、初めてのハーフマラソンだった松倉唯斗(3年)、大迫を含めると、出走12名中11名が自己ベストを更新(自己タイの森山を含む)。それまで1時間03分06秒とチーム最速だった森山の記録をオニエゴ、松倉、瀬戸祐希(4年)、橘田大河(2年)が塗り替えた。

合格点といえる結果は充実した日々の練習を反映したものだ。

「全体的にチームの底上げができています。練習がきちんとできていて、調子のいい選手を14名選ぶことができました。メンバーから外れた2名の2年生も調子は良かったです」

予選会に出場経験のある選手は12名中、森山、日影優哉(4年)、坪井海門(3年)、橘田の4名。経験値がものをいう予選会の舞台で、この点からもいかにチーム状況が良かったのかが分かる。

個々が自己ベストを大幅更新

ここまでチームを勢いづけてきたのは、森山の走りに他ならない。今季は5000mで13分46秒76、10000mで28分28秒30と2種目で自己記録を更新。他校のエース級とそん色ない結果を残してきた。

ただ、夏合宿の序盤にシンスプリントを発症。全体から外れて調整していたことも響き、今予選会は1時間03分06秒と全体74位にとどまった。

「なんとか間に合って、自己ベストくらいの走りはできましたが、ケガしたところを考慮せずに高い目標を立てたのがタイムに表れてしまいました」

「1区か2区で区間賞を狙いたい」。エースの森山は2年ぶりの本戦での抱負を語った(写真/井出秀人)

日本人トップを狙っていた森山にとっては、不本意かもしれない。それ以上に、主将として箱根本戦出場を決めた喜びは大きい。

「一人ひとりが目標タイム以上の大幅な自己ベストを更新してゴールできたこと。12番目の選手もベストで帰ってきている。チームとしての底上げができていたし、それが7位通過の要因だと思います」

連続出場を逃した悔しさを個々のメンバーがしっかり受け止め、1年後にそれぞれが結果で示した。11月1日の全日本大学駅伝を経て、山梨学院大はまだまだ強くなる。

文/石井 亮

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