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2020-10-19

ノンストップ打撃戦。ユーリ阿久井政悟が打ち勝ちV1

1年ぶりの初防衛戦に圧勝したユーリ阿久井。今後の可能性がさらに広がった

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日本フライ級タイトルマッチ、チャンピオンのユーリ阿久井政悟(倉敷守安)対1位、藤北誠也(三迫)の10回戦は18日、岡山県浅口市の天草公園体育館で行われ、終始、接近戦でパンチを応酬する打撃戦の末、阿久井が大差の判定勝ちを収め、初防衛に成功した。

 昨年10月、小坂駿(真正)を破ってタイトルを奪った一戦を含め、ここ4年間、勝利はすべて初回KO・TKO勝ち。そんな超速攻型の阿久井だが、この日は一味違う、成長した姿を見せた。

「勝つためにはこ戦法しかない」と徹底して接近戦を挑む藤北に対し、一歩も下がることなく立ち向かった。左フックが実にシャープだ。切り返すアッパーカットも、また。至近距離の攻め合いのさなかでも、パンチの強弱をしっかり意識して打ち分ける冷静さも光る。

 藤北は頑張った。現役チャンピオンの合計がふた桁に届きそうな三迫ジムの勢いに乗り遅れたくなかったのだろう。小刻みにチャンピオンの拳で小突かれながらも、手数が目減りすることは決してない。しかし、どんなに挑戦者が奮闘しようと、阿久井の攻めが褪せることもなかった。どの局面を切りとっても、阿久井がかたいブロッキング、小さなヘッドワークで藤北の攻めをかわし、おりおりに有効打を決めていた。

 5ラウンドを過ぎるあたりから、戦いはいよいよ一方的になる。阿久井は6ラウンドには、右ストレートで藤北の動きを鈍らせたところに、左フックを決めて大きくバランスを失わせる。7ラウンドはややスローペースに転じたが、ラウンド終盤に小気味いいパンチをまとめて盛り返す。8ラウンドには左フックを次々に決めて、レフェリーストップ寸前にまで打ち込んだ。

 藤北の闘志も衰えることなく、最終盤になっても勇敢に攻めて出たが、阿久井は楽々と乗り切って勝利を手に入れた。

 スコアは98対92、97対93、99対91とジャッジ3者ともいずれも大差をつけていた。

「見ている人にどう見えたかわかりませんが、自分は考えていたとおりに戦えました」

 1年ぶりの試合に、必殺KOでなく、テクニカルに圧勝した阿久井はこれまでと違う魅力を感じさせた。クロスレンジでこれだけ厚みのある攻防ができるということは、一段上の目標まで戦力は届くかもしれない。

 どの打ち合いでも、わずかな正確さで劣った藤北は「陸上競技でも水泳でも、コンマ0秒の差が大きな差になります。今日の試合も同じ。その差をつぶせるだけの手ごたえはありました」と32歳にして、再びチャンピオンシップへの決意を誓っていた。

文◎宮崎正博 写真◎横山一彦


クロスレンジの打ち合いが続く。そして常に正確なヒットを重ねたのは阿久井だった


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