コンディショニングとは「目的を達成するために必要と考えられる、あらゆる要素をより良い状態に整えること」を意味する。選手それぞれが持つ個性をパフォーマンス発揮へとつなげるための情報を得て、しっかりと活用しよう。
※本記事はベースボール・クリニック2018年1月号掲載「野球のコンディショニング科学~知的ベースボールプレーヤーへの道~」の内容を再編集したものです。

トレーニングセットの組み方

 筋力トレーニング効果を高めるためには、目的別のトレーニング条件だけではなく、トレーニングセットの組み方も目的に応じて変える必要があります。

ピラミッド法
 一般的に、重量を徐々に重くするに従い1セットの回数を減らす方法です。特に最大筋力向上を目的とした場合に有効な方法です。

画像1: トレーニングセットの組み方

ウエイトリダクション法
 セットごとに重量を減らしながら目標反復回数まで最大反復する方法です。特に筋肥大を目的としたトレーニングとして採用されます。

画像2: トレーニングセットの組み方

マルチバウンド法
 特定の重量で反復練習を行った後に、重量を減らして、休息を取らずにさらに反復を行うことによって、オールアウト(力を出し切った状態)まで追い込むことを目的とした方法です。

画像3: トレーニングセットの組み方

フォーストレップ法
 反復できなくなったら補助者の力を借りて、さらに数回の反復トレーニングを行うことによって、オールアウトまで追い込むことを目的とした方法です。

画像4: トレーニングセットの組み方

「強化」トレーニングと「調整」トレーニングの違い

 どのスポーツでも“軸”が大切ということで、その基礎となるコア(体幹)トレーニングが行われています。
 確かに、野球のように全身運動で下肢から上肢の力の伝達が求められる競技において、重要なものです。しかし、自重で行うコアトレのように毎回一定の負荷で行うトレーニングは、トレーニングの原理原則「過負荷の原則」(overload principle)にあるように効果が薄れてきます。

 20年ほど前に、姿勢維持のトレーニングとして、ドイツで行われていたスタビライゼーショントレーニングが日本に入ってきました。もともとはウオーミングアップやクーリングダウンとして行う、自分自身の力の入り具合を確認するための体操の一種でした。つまり、強化というよりも、むしろ「調整」を狙いとしたエクササイズだと言えます。しかし、いつの間にかコアトレの一つとして、強化トレーニングとして見なされてしまったのです。
 もちろん、調整力を高めるトレーニングは必要です。ただし、強化を目的とするのであれば、体幹トレーニングだとしても徐々に負荷を増したトレーニングを行うべきであることは忘れてはなりません。

 野手、投手どちらにおいても、野球選手の競技力には除脂肪体重が深く関係するため、フィジカルトレーニングの中でも筋力トレーニングを採用することが多いと思います。しかしながら、ただやみくもに負荷をかければいいわけではなく、目的にあった負荷のかけ方を考えなければならないため、本内容を筋力トレーニング効果を高めるための基礎知識として、活用していただけると幸いです。

かさはらまさし/1979年千葉県出身。習志野高校―国際武道大学。高校まで野球部で活動し、3年時には主将。大学卒業後は同大学院を修了し、国際武道大学トレーニング室のアスレティックトレーナーとして勤務。その後は鹿屋体育大学大学院博士後期課程を修了し、2015年にはオーストラリア国立スポーツ科学研究所客員研究員としてオリンピック選手のサポートを歴任。専門はアスレティックトレーニング、コンディショニング科学。現在は国際武道大学にてアスレティックトレーナー教育を行いながら、アスリートの競技力向上と障害予防に関わる研究活動を行っている。学術博士(体育学)、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、日本トレーニング指導者協会公認上級トレーニング指導士、JPSUスポーツトレーナー。
文責◎ベースボール・クリニック編集部

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