コンディショニングとは「目的を達成するために必要と考えられる、あらゆる要素をより良い状態に整えること」を意味する。選手それぞれが持つ個性をパフォーマンス発揮へとつなげるための情報を得て、しっかりと活用しよう。
※本記事はベースボール・クリニック2018年1月号掲載「野球のコンディショニング科学~知的ベースボールプレーヤーへの道~」の内容を再編集したものです。

文◎笠原政志(国際武道大学体育学部准教授)

第16回「筋力トレーニングの基礎知識」

目的によって異なるトレーニング条件

 筋力トレーニングには、最大出力を高める「最大筋力向上」、筋肉を太くする「筋肥大」、より速く強く力を発揮するための「パワー向上」、そして「筋持久力向上」と、その目的がいくつか存在します。したがって、ただ重い負荷を担いでトレーニングをすればいいというわけでありません。
 また、「強化」を狙いとしたトレーニングと「調整」を狙いとしたトレーニングは別物ですが、現場では混同されていることが多くあります。

 そこで今回は、筋力トレーニングの効果をより高めてもらうために、野球選手として抑えておきたい筋力トレーニングの基礎知識について紹介します。

 まずは、目的別のトレーニング条件について整理しましょう(図)。

画像: 目的によって異なるトレーニング条件

※RM:Repetition Maximum(最大反復回数)
ある重量(負荷)に対して動作をくり返すことができる最大回数。1RMは1回しか反復できない重量(=最大挙上量)を示す。
自身のおおよその最大挙上量を知りたいときには以下の計算式を使用する。
使用重量×{1+(reps÷40)}=最大挙上量
例:50㎏の重量を最高8回上げられる(reps)場合
50×{1+(8÷40)}=60
最大挙上量(1RM)は60㎏だと分かる。

「筋力向上」を目的としたエクササイズ
 最大筋力を高めるためには、筋出力にかかわる神経系を最大限に動員させることが必要になります。そのためには、最大筋力発揮ができる負荷(最大挙上量)の85~100%程度の重量を用いて、1~5回を全力で反復することです。
また、1セットごとに最大筋出力を発揮することが求められるため、セット間には2~5分の休憩をとり、2セット以上実施する方法で行うことが理想です。

「筋肥大」を目的としたエクササイズ
 筋を太くする筋肥大のトレーニングでは、成長ホルモンの分泌をより促すため、筋力トレーニングによって筋をいわゆるパンプアップした状態にすることが必要になります。
 そのためのトレーニング負荷の目安は、最大筋力発揮ができる負荷の70~85%程度の重量を用いて、6~12回の最大反復をすることになります。また、成長ホルモンの分泌を促すためにも、セット間の休憩時間は30~90秒と比較的短い時間とし、3セット以上実施する方法で行うことが理想です。

「最大パワー向上」を目的としたエクササイズ
 最大パワーを向上するためには、短時間で素早くエクササイズを実施することが求められるため、力とスピードの両方を向上させることが必要になります。
 そのためには、最大筋力発揮ができる負荷の60~70%の重量で、10~20回実施することです。また、筋力向上と同様に1セットごとに全力を出し切らなければならないため、2~5分の休憩をはさんで、2セット以上実施する方法で行うことが理想です。
 なお、短時間で素早いエクササイズ動作を行わなければならないため、スクワットなどでの降ろす動作は1~2秒と比較的速く、そしてその後の挙上動作を最大速度で行うことを忘れないでください。


This article is a sponsored article by
''.