写真上=5回、アピヌンの右アッパーでダウンした近藤
写真◎馬場高志

 18日、東京・後楽園ホールで行われたIBF世界スーパーライト級挑戦者決定戦12回戦は、同級6位アピヌン・コーンソーン(タイ)が4位の近藤明広(一力)に5回1分47秒KO勝ちした。

40戦目の衝撃

 滅多に見られない壮絶なKOシーンだった。5回、入り込んできた近藤を襲ったアピヌンの右アッパーカット一撃。背中からキャンバスに叩きつけられた近藤は、朦朧としながら立ち上がったが、カウントアウト。40戦目で初体験のダウンだった。

 2017年11月にニューヨークでセルゲイ・リピネッツ(ロシア)と空位のIBF王座を争い、判定で敗れはしたものの「世界との距離は決して遠くない」と感じて再起した近藤。格下相手に連続KO勝ちし、このアピヌンとの挑戦者決定戦で2度目のチャンスにつなげるはずだった。

 この日まで14戦全勝(11KO)をマークしていた22歳の新鋭アピヌンだが、目立った相手はなく、実力は未知数。ゴングとともに178㎝の長身から伸びのあるジャブ、ワンツーを連射して近藤を攻め立てた。いきなり守勢に回らされた近藤も、次第に左で応戦。「(アピヌンの)右を殺すために」と、ジャブというよりストレートの威力を込めた左で反撃に移ったが、これが墓穴を掘ってしまう。

「欲が出た。深く入りすぎた」という近藤を5回に待っていたのは、それまで封印されていたアピヌンの右アッパー。試合前から映像で確認し、試合中もずっとこのリターンは警戒していたという近藤だが、「気がついたら寝てた」。恐るべきKOパンチだった。

 控室でセコンドに右アッパーだったと聞かされ、「やっぱり…」と、呆然とした表情で振り返った近藤。今後については「歳(33歳)も歳なんで、考えないと…」と言いながらも明言は避けた。

突如輝いたタイの希望

会心の笑顔を見せるアピヌン
写真◎ボクシング・マガジン

 勝ったアピヌンは「初めての海外の試合でKOできてうれしい」と会心の笑顔。「コンドウは強かった。パンチもパワーもあった」としながらも「右アッパーのチャンスを狙っていた」とクールに振り返った。荒削りに見えてクレバーな策士は、アマチュアで100戦を経験、17歳でタイのナショナルチームに入った経歴も明らかにし「これからディフェンスの欠点を直して世界を狙いたい」と謙虚に豊富を語った。

 アジア勢には依然として高い壁となっているスーパーライト級。祖国の英雄だった1970年代の世界王者、故センサク・ムアンスリン以来の快挙をアピヌンは果たせるか。

取材◉藤木邦昭


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