写真上=ショーン・ポーター
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3月9日/ディグニティヘルス・スポーツパーク(アメリカ・カリフォルニア州カーソン)

★WBC世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦
ショーン・ポーター(アメリカ)対ヨルデニス・ウガス(キューバ)

ポーター:31歳/32戦29勝(17KO)2敗1分
ウガス:32歳/26戦23勝(11KO)3敗

 あくなき前進、全力攻撃にまっしぐらが売りのポーターだが、ここにきて新たな側面も見せてきている。昨年9月、ライバルのダニー・ガルシア(アメリカ)との大事な戦いでは、ミドルレンジでのサイドへの動き、カウンターねらいと、これまでにない境地を見せた。考えてもみれば、プロ入り間もなく、マニー・パッキャオのキャンプに参加して、そのセンスの良さに皆が驚嘆したという逸話の持ち主。やろうと思えば、なんだってできるのだ。

ヨルデニス・ウガス
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 ただ、今回の相手、ウガスとの対戦となるとそういう戦法を採るかどうかは疑わしい。ウガスといえばキューバ時代、北京五輪で銅メダルに輝いた技巧派。持ち味は中間距離での攻防で、辛抱強くペースを守り抜く。プロでは連敗を喫するなど意外に伸び悩んだが、2年のブランクからキャリアを再開したあとは、苦しい戦いを乗り越えて8連勝をマークしている。

 ポーターとしてはここはかき回すに限る。持ち前の突進力で、ウガスの間合いを崩したい。そういう展開になれば、中盤あたりでストップ劇も見られそう。

 この試合はFOXにて全米中継される。

◆パヤノが新鋭相手に再起戦

ファン・カルロス・パヤノ
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 昨年10月、井上尚弥(大橋)に初回KO負けを喫したファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国/34歳/20勝9KO2敗)が早くもカムバック戦を行う。10回戦(もしくは8回戦)で対戦するのは元世界スーパーバンタム級チャンピオン、イスラエル・バスケスの弟ダミアン・バスケス(アメリカ/21歳/14戦14勝7KO)。バスケスは16歳からプロで戦っているが、これが11ヵ月ぶりのリング。年齢的にもあとがないパヤノとしてはどうしても負けられない。

イフェ・アグジャバ
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 同じカードには不屈のウェルター級、ロバート・ゲレロ(アメリカ/35歳/34勝19KO6敗1分2NC)も登場予定。それ以上に注目はヘビー級のイフェ・アグジャバ(ナイジェリア/24歳/8戦8勝7KO)。46歳の大ベテラン、アミア・モンスール(アメリカ/23勝16KO3敗1分1NC)との最初のテストマッチに臨む。反則勝利を含め、ここまで7試合を初回で終わらせてきたアグジャバの爆発的な強打を見たいところ。

3月9日/ターニングストーン・リゾート&カジノ(アメリカ・ニューヨーク州ベローナ)
一発強打のスミスをビボルはどうあしらう?

★WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ12回戦
ドミトリー・ビボル(ロシア)対ジョー・スミス・ジュニア(アメリカ)

ビボル:28歳/15戦15勝(11KO)
スミス:29歳/26戦24勝(20KO)2敗

ドミトリー・ビボル
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 急カーブを描いて上昇中だったビボルの評価が、ここにきてやや停滞気味になってきている。理由は2戦続けてKOを逸したことに尽きる。対戦相手はと見ると、しぶといサリバン・バレラ(キューバ)はなんとか最終回に仕留めたが、これまたタフなアイザック・チレンバ(マラウイ)、さらにベテラン強豪ジャン・パスカル(カナダ)とは大差ながらも判定決着。いずれもそうそう簡単に倒せる相手ではないのだが、あまりに正統派ボクシングに過ぎて、ときとして攻防が淡泊に映ってしまう。

ジョー・スミス・ジュニア
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 今度の相手も危険度は高い。スミスはアンドレイ・フォンファラ(ポーランド)を初回で倒し、レジェンドのバーナード・ホプキンス(アメリカ)をロープ外にたたき出した。この2戦で普段は工事現場で働くパートタイム・ボクサーは脚光を浴びた。肩を痛めて1年間のブランクを余儀なくされたが、再起戦は初回KO勝ち。とにかく一発が怖い。

 ビボルが警戒しすぎて、またしても平坦な戦いに終始してしまうと、評価回復までまた時間がかかってしまう。

★WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ12回戦
モーリス・フッカー(アメリカ)対ミッケル・レスピエール(アメリカ)

フッカー:29歳/28戦25勝(17KO)3分
ルピエール:34歳/22戦21勝(10KO)1分

モーリス・フッカー
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 ビボルとは逆に評価を急上昇させているのがフッカーだ。敵地イギリスでテリー・フラナガンを攻略したものの、どこか線の細さを感じさせたもの。ところが、不敗の激闘派アレックス・サウセド(アメリカ)をたくましく打ち破り、精鋭が居並ぶスーパーライト級のエース候補に数えられるようになった。

 勢いに乗って2度目の防衛戦に選んだ相手は、不敗ながらも無名のレスピエール。フッカーとしては、ここで景気よく勝って、またまた弾みをつけたいところだ。

 ビボル、フッカーの試合は、現地ではDAZNからストリーミング放映される。

◆スーパーホープ、ジョーンズ3世

セルゲイ・クズミン
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ヤマグチ・ファルカン
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ジュニア・ユーナン
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 このカードにはアマチュアのヨーロッパ選手権で優勝しているヘビー級セルゲイ・クズミン(ロシア/31歳/15戦14勝11KO1NC)が出場。身長193cmは現代ヘビー級では並みのサイズで、それを補うスピード、切れも乏しいが、アマチュア経験を活かした巧みな試合運び、パンチの多彩な角度を持つ。ロンドン五輪ライトヘビー級銅メダリスト、ヤマグチ・ファルカン(ブラジル/31歳/17戦16勝7KO1NC)もDAZN初登場。さらにニューヨーク・エリアのライトヘビー級ではマーカス・ブラウン(WBA暫定王者)に次ぐ、とっておきのホープ、ジュニア・ユーナン(アメリカ/23歳/15戦14勝10KO1分)と魅力的な選手が出場予定。

画像: オタ・ジョーンズ3世(右) Getty Images

オタ・ジョーンズ3世(右)
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 だが、もっとも期待したいのはこの日、デビュー戦を迎えるオタ・ジョーンズ3世。2月に19歳になったばかりのスーパーライト級はアマチュアで283勝13敗。ジュニア時代から通算すると21度も全米チャンピオンになり、数々の国際トーナメントで戦っている。なおかつ、レスリングでも4度もオハイオ州のチャンピオンになっている、まさに格闘技の申し子。178cmのスリムな体から切れのいいパンチをビュンビュンと飛ばしてくる。楽しみだ。

まだまだあるぞ!注目カード
イタリア、フィリピン、イギリス……

◆イタリアからDAZNが生配信

 8日(日本時間9日早朝)、イタリア・ミラノのスーパースタジオからDAZNでストリーミング中継されるカード。そのメインはスーパーミドル級のダニエーレ・スカルディーニャ(イタリア/26歳/15戦15勝14KO)がつとめる。

 スカルディーニャはボクサーだった叔父の影響で16歳でボクシングを始め、アマチュアでは56戦のキャリアを持つ。イタリア王座をいくつも獲得し、ミラノに本拠を置くミラノ・サンダーの一員としてセミプロリーグ、WSBにも出場した。ニューヨークのプロモーターと契約してプロ転向後は、あのモハメド・アリも練習したマイアミの五番街ジムで練習を重ね、試合はおもにドミニカ共和国で行ってきた。対戦相手のエンリ・カタライネン(フィンランド/27歳/11勝5KO5敗)とは格が違うだけに、自慢の強打を披露したいところ。

 同じカードにはイタリアをベースに戦うウクライナ人マクシム・プロバン(26歳/15勝14KO1分)が初のタイトルをかけてベルギーのスティーブ・ジャモエ(27歳/25勝5KO6敗2分)とIBFインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチを行う。

 またミスターKOの異名を持つスーパーウェルター級のミルコ・ナタリツィ(イタリア/23歳)も登場。プロで3戦全勝2KO。ハイレベルなセミプロリーグWSBでも3戦3TKO勝ちとニックネームに違わない戦歴の持ち主だ。

◆恐怖のパンチャー、クエリョが4年ぶりに復帰

 ミニマム級時代、圧倒的な強打で日本にもその名を轟かせたデンバー・クエリョ(フィリピン/32歳/36勝24KO5敗6分)が、8日、フィリピンのバロンガイ・マハバングで4年ぶりにリングに立つ。空位のABFフライ級タイトルをかけ、インドネシアのジャック・アミサ(31歳/21勝14KO45敗2分)と対戦するのだ。

 ブランクの原因となったのは肩の負傷。世界挑戦の間近にいただけに無理を重ねたが、その世界戦で敗れ、休養を決意した。その豪打のほどはガニガン・ロペス(メキシコ)やサーマートレック・ゴーキャットジム(タイ)をKOした事実でも明らか。健在なら日本軽量級の強力なライバルとなる。

◆マッチルームのライバルも魅惑のカード

 DAZNの主役エディ・ハーン率いるマッチルームボクシングも強力だが、同じイギリスのライバル、フランク・ウォーレンのクインズベリープロモーションも次々に好カードを提供する。こちらはESPN+での配信だ。

リアム・ウィリアムス
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アンソニー・ヤード
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アーチー・シャープ
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ハービー・ホーン
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 8日、ロンドンはケンジントンのロイヤル・アルバートホールで6年ぶりにボクシングカードを開催する。リアム・スミス(イギリス)との2度にわたる世界戦を互角に戦い、さらに21連勝不敗のマーク・ヘフロン(イギリス)を倒して健在ぶりを見せつけたリアム・ウィリアムス(イギリス/26歳/19勝14KO2敗1分)はイギリス・ミドル級タイトルの防衛戦。ライトヘビー級のスラッガー、アンソニー・ヤード(イギリス/27歳/17戦17勝16KO)がアメリカの中堅トラビス・リーブス(38歳/17勝7KO3敗2分)と。また、鋭いパンチと豊かな才能でウォーレンのイチオシというスーパーフェザー級のアーチー・シャープ(イギリス/23歳/14戦14勝7KO)、スーパーフライ級のアマチュア・レジェンド、ハービー・ホーン(イギリス/23歳/4戦4勝1KO)とこの日も惜しみなくタレントを投入する。

ダニエル・デュボア
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 ただし、最大の売り物はヘビー級のダニエル・デュボア(イギリス/21歳/9戦9勝8KO)だ。身長196cmのシャープシューター、デュボアは多くの関係者がポスト・ジョシュアの筆頭に上げる超逸材。アメリカの関係者もすでに二重丸でチェックしている。対戦する202cm、120kgの巨人ラズバン・コジャヌ(ルーマニア/31歳/16勝9KO5敗)は本来なら昨年12月に対戦するはずだった相手。そのときはデュボアがインフルエンザに罹り、急きょ試合はキャンセルになった。仕切り直しのテストマッチ。デュボアはどんな戦いを見せるのか。

◆エリートか雑草派か。女子の注目試合

 8日、イギリス・バンスリーのメトロドームでは、ちょっとした注目の女子試合がある。空位のWBCインターナショナル・ライト級タイトルをかけてイギリス人同士が対戦する。

テリ・ハーパー
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 多くの注目はテリ・ハーパー(22歳/5戦5勝2KO)に集まるのだろう。少女時代からトップアマチュアとして活躍し、イギリス選手権で3度ジュニア・チャンピオンになり、ヨーロッパ選手権でも銀メダルを獲得している。

 対するニナ・ブラッドリー(31歳/7戦7勝)は22歳の時に見た女子ボクシングに感激してボクシングを始めた。その後は地道にキャリアを重ね、27歳でプロ転向。5戦目で英連邦スーパーライト級タイトルを手に入れた。私生活でもパートナーはプロボクサーというイギリス唯一のボクシングカップルとしても知られている。

 ハーパーが無難にブラッドリーを破って、人気者ケイティ・テイラー(アイルランド)に迫れるのかが焦点になる。

文◎宮崎正博


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