WBO女子世界ミニマム級王座決定戦10回戦が27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪第2競技場で行われ、佐伯霞(真正)がエリザベス・ロペス(メキシコ)に6回1分5秒TKO勝ちした。佐伯は男女を通じて国内最短となる4戦目で世界タイトルを獲得した。

写真上=佐伯(左)の左アッパーがロペスを襲う

ニューヒロインの予感

「女子ボクシングが変わるで」。山下正人会長も驚かせたパンチが炸裂したのは6回だ。前に出てくるロペスを捉えた、打ち下ろしの右。ばったりと前のめりに倒れたロペスがうつ伏せのまま、もがく姿を見てレフェリーはカウント途中でストップ。派手に倒れて足をくじいたというロペスは、担架に乗せられてリングを後にした。

衝撃のKOパンチに、佐伯自身も驚きを隠さない。「当たった感覚はなくて、気づいたら倒れていて、びっくりしました。右ストレートを合わせる練習はしていましたが、自然にスコンと抜けて、空振りした感覚です」

そこに至るまでのボクシングも、華麗そのもの。身長145センチのパワフルなファイター、ロペスの振り回す大きな左右フックを佐伯は目と足ですいすいと外し、ジャブを次々に当てていく。さらによく伸びる右ストレートや右アッパー、左フックにつなげてスピードの違いを示し、自在に試合を運んだ。

5回には「手ごたえあった」という左ジャブでダウンを奪ってみせる。ここからロペスは猛然と反撃に出てメキシカン魂を見せたが、次のラウンドには恐るべきフィニッシュブローが待っていた。

画像: 念願のベルトに笑顔の佐伯

念願のベルトに笑顔の佐伯

「このベルトを巻きたくてプロになったので、すごく嬉しい」とリング上で声を詰まらせた佐伯。4戦目で世界奪取という新記録を打ち立てたが、これから目指すのは、誰からも認められるチャンピオンになることだ。

「ボクシングを知らないちっちゃい子や、おじいちゃん、おばあちゃん、誰が見ても分かる試合をして勝っていくような、強いチャンピオンになりたい」

平成最後に生まれた世界チャンピオン、佐伯霞は、そうなるだけの可能性を秘めている。

多田悦子は4冠目を狙う

画像: 接近戦で攻める多田(右)

接近戦で攻める多田(右)

セミファイナルで行われたWBC女子世界ミニマム級指名挑戦者決定戦10回戦では、多田悦子(真正)がキャナラット・ヨーハンゴー(タイ)に7回59秒TKO勝ちした。

メインイベントで佐伯が手にしたベルトは、もともと多田が持っていたもの。これまでWBA、IBF、WBOの王座を制してきた多田は、4団体制覇を目指して最後のWBCベルトに挑むため、WBO王座を返上してこの試合に臨んだ。

キャリアも実績も大きく隔たるキャナラットを、多田は終始圧倒。6回にダウンを奪い、7回でストップに持ち込んだが、逃げ回る相手に試合を長引かせ、試合後は納得いかない表情を浮かべた。それでも狙いを定めるWBC王者ティナ・ループレヒト(ドイツ)挑戦に向けては「めちゃくちゃ強いので、モチベーションが上がります。全身全霊でぶちのめしにいきます」と闘志を奮い立たせていた。

文◉藤木邦昭
写真◉宮原和也


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