注目の無敗世界チャンピオン対決は、“モンスター”の圧勝──。18日(日本時間19日早朝)、イギリス・グラスゴーのSSEハイドロで行われた『WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)準決勝』、IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦は、WBA同級王者の井上尚弥(26歳=大橋)が、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(26歳=プエルトリコ)を2回に3度倒して1分19秒TKO勝ち。IBF王座、リング・マガジン・ベルトを手に入れると同時に、同トーナメントの決勝進出を決めた。

上写真=急所へのボディブロー2連打で、2度目のダウンを奪った井上は、勝利を確信してド派手なポーズ

 井上尚弥が、またしてもやってくれた。2ラウンド、左フックでロドリゲスをなぎ倒すと、左フック、右アッパーカットと、目にも止まらぬボディブロー2連打でふたたびIBF王者にキャンバスを味わわせた。
 

左ボディフックから

右ボディアッパーへつなぐと、ロドリゲスは2度目のダウン。「あのボディで勝利を確信した」(井上)

 ひざまずき、弱々しい表情で自コーナーに向かって何度も首を振るロドリゲス。
「もう、試合を続けたくない」、そういう意思表示だったが、もう1度立ち上がる。しかし、ふたたび“モンスター”のレフトフックがボディに突き刺さると、またダウン。レフェリーがカウントを途中で止めると、地鳴りのような大歓声が下から湧き上がり、さらに上から滝のように降ってきたのだった。

 17勝15KOの井上。19勝12KOのロドリゲス。全勝無敗で、互いにハイレベルな技術を持つ同い年のチャンピオン対決は、井上自身、「技術戦になるのが楽しみ」と常々口にしてきた対戦で、実際、ファーストラウンドは、その様相が色濃かった。
 身長で上回るロドリゲスが、長く速いジャブ、右ストレートで、井上にプレッシャーをかけてくる展開。「ロドリゲスがプレッシャーをかけてくるのはわかってたので、引きながら迎え撃つ感じでいた」井上も、ジャブ、右、左フックと返すが、ともに反応がよく、ヒットを奪い合えない緊迫感のある攻防が繰り広げられた。

「力みがありました」と井上。左フックは、重心が高く、上滑りするような空振りとなる。が、スーパーフライ級時代のアメリカでの一戦で、同じように左フックを強振して空振りし、バランスを乱すシーンがあったが、あのときとは下半身の粘りが違った。ここにも鍛えてきた成果が如実に表われていた。

 バランスを崩した一瞬など、“瞬間”を探り合うような試合──そんな予感が充満した2ラウンド、井上は、左のストレートボディを打って重心を落とし、浮きがちだった重心の修正をあっさりと図った。「硬かったので、リラックスするよう心がけた」(井上)
 そして、ロドリゲスの軌道やタイミングをすでにインプット。冒頭のスリーダウンへと一気に持っていってしまったのだ。

大声援で、井上尚弥の入場を出迎えたイギリスの観客たち

 話題の“Monster”を見たいという、イギリスのファンの歓迎ぶりにも驚いたが、試合が終了した瞬間の大熱狂にも心底びっくりさせられた。着実に世界に名を轟かせてきた井上だが、この日の戦いぶりもまた、全世界を駆けめぐるだろう。

IBFのベルトと、リング誌ベルトを手に入れた

 WBSS決勝の相手は、世界5階級制覇のWBA同級スーパーチャンピオン、ノニト・ドネア(36歳=フィリピン)。「憧れの選手で、戦いづらい気持ちもありますが、でもそこは勝負の世界なので」と、井上はもちろん気持ちを割り切っている。この日、IBF王座も獲得した井上は、これでWBCライトフライ級、WBOスーパーフライ級、WBAバンタム級ときて、世界4団体のベルトを獲得し、リング・マガジンのベルトも掌中に収めた。しかし、「今日は統一戦にならなかったけれど、誰と戦うかが重要なこと。WBSS優勝と、ドネアに勝つことがいまはいちばん大事」と、自身のモチベーションを語った。

以前から交流のあるドネアと。決勝戦のレフトフック対決は、想像しただけで垂涎ものだ

 噂に上っている、アメリカ最大手のトップランク・プロモーションとの契約等、井上尚弥の進む道は、恐ろしいスピードで、どこまでも駆けていく。この日の快勝でまた、われわれの希望もまた大きく膨らんだ。

画像: 6回、2度のダウンを奪ったテイラー。テイラーを応援する会場の熱狂ぶりにも大いに驚かされた Photo/Getty Images

6回、2度のダウンを奪ったテイラー。テイラーを応援する会場の熱狂ぶりにも大いに驚かされた Photo/Getty Images

 また、もうひとつ行われたWBSS準決勝、IBF世界スーパーライト級タイトルマッチは、挑戦者で、地元で大人気のジョシュ・テイラー(28歳=イギリス)が、王者イバン・バランチク(26歳=ベラルーシ)の荒々しい攻撃を巧みにかわしつつ、6ラウンドに2度ダウンを奪い、3-0の判定勝ち。決勝進出を決めた。

文_本間 暁 Text by Akira Homma
写真_山口裕朗 Photos by Hiroaki Yamaguchi


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