12日、東京・後楽園ホールで行われたWBA女子世界アトム級王座統一戦10回戦は、正規王者モンセラット・アラルコン(25歳=メキシコ)が暫定王者・宮尾綾香(36歳=ワタナベ)を96対94、98対92、94対96の2-1判定で勝利。アラルコンは王座統一とともに、同王座の初防衛に成功。

上写真=アラルコンの左フックが宮尾を捉える。コンビネーションの巧みさはメキシカンが上回った

「勝ったと思った」。ドクターチェックを受けて控室に戻った宮尾は、相変わらず毅然とした態度で語る。だが、「あれだけコンビネーションを練習したのに、どれだけ出せただろう」と、悔しがることも忘れない。

 98対92でアラルコンにつけたレイ・タビタ氏(ニュージーランド)は、ボクシングスタイルが好みだったのだろう。しかし、第三者の引いた目で見れば、接戦だったことは間違いない。

 立ち上がり、宮尾はうまく距離を取りながら、アラルコンのブローを空転させた。2回には、右へ右へと回り込んでいき、ワンツーから左フックもヒット。けれども3回に距離をつかんだアラルコンは、左フックを下から上へと返し、ステップバックと同時に左フックをヒットさせる巧さも見せた。

宮尾の力強いブローもヒットしたが、アラルコンを完全に止めることはかなわず

 上体を入れる、あるいは声を発するフェイントをかけながら、アラルコンはワンツー、左フックとコンビネーションを繰り出す。対して宮尾は、重心を落としながら、強いリターンブロー、あるいは右アッパーをボディにカウンターするなど迎え撃つかたちに。中盤からは、ボディブローで流れを変えかけたが、アラルコンはしきりに手数を出して、ごまかす狡猾さも見せた。

 フットワークを使いながら出入りを激しく繰り返すスタイルから、強打を打ち込むボクシングに。2016年12月の試合中に、右膝前十字靭帯断裂を起こし、長いリハビリから復帰する過程で、梅津宏冶トレーナーとモデルチェンジを行ってきた。そのボクシングが功を奏した面もあれば、動きが止まってしまうマイナス面もあったように思う。

防衛を喜ぶアラルコン陣営。王者の右が元世界王者ブエノさん。右端が子息のエドゥアルドさん
写真_本間 暁

 アラルコン・サイドには、元WBC世界スーパーフライ級王者ホセ・ルイス・ブエノ氏(49歳)がチーフトレーナーとして陣取った。川島郭志さんとのテクニシャン対決2番を記憶しているファンも多いだろう。
 アラルコンは、宮尾のボディ攻撃にバタバタとした中盤以降を除けば、バランスの取れたスタイルの持ち主で、これは師匠譲り。
「ガードを上げて、バランスを取るボクシングは、重点的に指導している」とブエノ氏。2001年9月に、メキシコシティの郊外にあるネサ地区に『BUENO BOXING GYM』を創設。アマチュアキャリアのある息子のエドゥアルドさん(24歳)がフィジカルトレーナーを務めているという。

「(アラルコンは)ディフェンスが上手かったので、確実に当たったパンチはなかった」ときっぱりと話す宮尾は、「想いもいちばん大きい試合だったので、悔しすぎて……」と言って涙を流した。が、「目標の4団体統一をやり遂げたいので、これで終わるわけにはいかない」と、最後は力強く締めくくった。

文_本間 暁
写真_馬場高志

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