世界挑戦へGOサイン!──。5日、東京・後楽園ホールで行われた114ポンド(51.7kg)契約10回戦は、フライ級の世界4団体で世界ランク入りしている(WBA2位、WBC3位、WBO3位、IBF11位)の中谷潤人(21歳=M.T)が、元IBF世界ライトフライ級王者でWBC同級9位のミラン・メリンド(31歳=フィリピン)を初回から圧倒。6回2分2秒TKOで下し、“世界前哨戦”をクリア。戦績をデビュー以来20連勝(15KO)とした。

上写真=メリンドの左フックに右フックをかぶせる中谷。老獪な元世界王者は、打つ手なしとなってしまった

 八重樫東(大橋)、田口良一(ワタナベ)、拳四朗(BMB)と、日本が誇る世界チャンピオンと拳を交え、老獪さ、粘り強さを発揮してきたメリンドだが、気鋭のホープ中谷は、まったくボクシングをさせなかった。

 身長で14cm上回るサウスポーの中谷は、立ち上がりから右ジャブをインサイド、手首を返す右をアウトサイドから送り込み、左ストレートを上下に突き刺していく。脱力からリラックスしたブローをリズミカルにテンポよく、しかも縦横無尽に繰り出すため、メリンドはどうしても釘づけにならざるをえなかった。

中谷の最大の武器は左ストレートだが、この日はすべてのブローが実にリズミカルに放たれた

 時折放つ左フックには右フックをかぶされ、中谷の左ストレートに対して右をリターンするのみ。だが、中谷はこれもかわしてしまい、メリンドは打つ手なしの状態に。ラウンドが進むごとに、中谷は徐々に力感の増すブローを叩き込んでいき、再三再四、コーナーやロープを背負わせて、メリンドをほぼ“サンドバッグ状態”にしてしまった。

 6回、両目周りの腫れも目立ってきたメリンドに、中谷は左ストレートをみぞおちに突き刺し、さらに左の連打。一方的になっていた試合を、レフェリーがようやく止めた。

圧巻の攻撃、そして安定感を披露した中谷。どこにも傷ひとつない!

 6月の試合、そして今回とスーパーフライ級のウェイトで戦った中谷の凄みは増した感があるが、「まずはフライ級で世界を目指したい」(中谷)。

 標的は「世界チャンピオンなら誰でもいいです」と選り好みはしないが、「興味があるのはエドワーズと戦ったメキシコ人です」。

 8月にWBC王者チャーリー・エドワーズ(イギリス)と戦った(結果は無効試合)フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)だ。

 エドワーズは王座を返上することとなり、マルティネスと元王者クリストファー・ロサス(ニカラグア)との間で決定戦になる模様で、その動向が気になるところだ。

中谷同様、この日の赤穂には無駄な力が入っておらず、シャープにスムーズにダイナミックなブローを放った

 セミファイナル10回戦(55.5kg契約)に登場した元OPBFスーパーフライ級&日本バンタム級王者・赤穂亮(33歳=横浜光)は、すっかり代名詞となっていた荒々しさを封印。距離をキープしつつ、シャープなフリッカージャブを丹念に突きながら、ワンツーストレート、ダイナミックな左右アッパーカット、的確な左ボディブローで圧倒。グォン・ギョンミン(韓国)の反撃は、ヘッドスリップ、スウェーバックなど丁寧なボディワークでかわした。

フリッカージャブを多用し的確にヒットする。距離をキープできる。下半身のバネも生きる。赤穂の良さが存分に発揮された

 倒したい思いが強すぎて、ボディアタックを繰り返していたここ数戦のスタイルを、「谷口浩嗣トレーナーが徹底的に修正させた」(石井一太郎会長)という。39戦目にしての大変革、新スタイルを存分に披露した赤穂は、得意の左フックでアゴの先端を捉えてよろめかせると、一気にラッシュ。6回56秒TKOを収めた。
 WBOバンタム級2位、IBFスーパーバンタム級14位にランクされる赤穂。「大きいことを言える立場じゃないので、一戦一戦頑張っていくだけ」と大人の発言で喝采を浴びた。

入り際、離れ際に右ボディアッパーを狙われた定常。サイドへの動き、回り込みなどを披露しながらペースを取って、試合を決めた

 また、井上拓真(大橋)のスパーリングパートナーとして腕を磨いた日本バンタム級7位の定常育郎(22歳=T&T)は、フィリピン・スーパーバンタム級6位のロビン・ラングレスに2回、右アッパーのフェイントから左ストレートをヒット。これを左目に直撃されたラングレスは、異様な腫れ方となって、3回2秒でストップ。4月に世界ランカー石田匠(井岡)に大善戦の判定負けを喫していた定常は、約1年ぶりの勝利。「まだまだこれからというところだったけれど、とりあえず勝ってホッとしています」と、久々の白星の味を噛みしめていた。

文_本間 暁
写真_菊田義久

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