7日(木)、さいたまスーパーアリーナで開催されるWBC世界バンタム級王座統一戦12回戦で、暫定王者・井上拓真(23歳=大橋)と激突する正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(33歳=フランス)が1日、都内の帝拳ジムで公開練習。ほんの肩慣らし程度の短い練習だったが、バランスの良さ、体幹の強さをアピールした。

上写真=シャドー、ロープ、ミット。いずれもほんのわずかのお披露目だったが、それでも伝わるものはあった

 前日夕方に来日したばかりにもかかわらず、練習に先立って行われた会見が約40分にもおよぶ長さにも、嫌な顔ひとつせず丁寧に応える。ボクシングスタイル同様、実直で律儀な印象を与えた。

兄でトレーナーのアリさんと会見に臨む。長時間にわたったが、イライラする様子もなかった

 来日は初めて。プロデビュー後はフランス国内での試合が目につくが、「国内でも地元以外の試合が多かったので、いつもアウェーで戦っている感じ。それに、アマチュア時代には国際試合に多く出ているから。私のことを知らない方々に、私を知ってもらえるのは嬉しいこと」と、“敵地”に対して、ナーバスになることもなく、過ぎる警戒心も持っていない様子だ。

 2007年のシカゴ世界選手権では銅メダルを獲得。翌年の北京五輪、2012年のロンドン五輪にも出場している「アマチュア200戦以上」(ウバーリ)の猛者。大舞台での場慣れは当然しており、リラックスした状態が、調整の順調さを物語っている。

バネのある動きと、リラックスしてスムーズに放つ連打が特長

 偵察に訪れた大橋秀行会長、井上真吾トレーナーは、「思っていたより小さかった」と口をそろえる。拓真と同じ163cmと喧伝されていたが、160cmあるかないか。だが、「上半身を脱いだのを見ると、筋肉がすごい。特に腹筋には血管まで浮き出ていた」と大橋会長も目をみはる豆タンクのようなスタイルで、それがゴム鞠のような動きを支えているのだろう。会見中に覗かせた大腿の太さは、「連打を打ってもまったくブレない」と両参謀が語るとおり、バランスの良さを支える強靭さを表わす。

画像: 予防のマスクをつけて、シャドーボクシングを見つめる真吾トレーナー(右奥)は、「いい試合になりますね」と楽しみな様子だった

予防のマスクをつけて、シャドーボクシングを見つめる真吾トレーナー(右奥)は、「いい試合になりますね」と楽しみな様子だった

「タクマ・イノウエはスピードがあって、決して侮れない」とウバーリ。だが、こちらを支える元世界ランカーで兄のアリ・トレーナーは、「弟にはインテリジェンスがある。引いて戦うことも、自ら攻めることもできる。相手次第でどのようにも対応できる」と自信のほどをチラリ。

にこやかに撮影に応じる。自らいろいろとポーズを変えるサービス精神の持ち主だ

「いまは、この試合に集中していて、どんな勝ち方でもいいから勝つことにこだわっている。これが最初のステップ。勝てば、いま充実しているバンタム級での統一戦の機会を得られるはず」と、ノルディーヌは野心を語る。

 井上尚弥、ノニト・ドネア(フィリピン)、ゾラニ・テテ(南アフリカ)、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、そしてルイス・ネリ(メキシコ)──。タレントがそろうこのクラスでアピールする。落ち着き払い、にこやかなムードをたたえるノルディーヌだが、闘志と自信は、ひしひしと伝わってきた。

文&写真_本間 暁

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