上写真=ものの見事な右フックカウンターで2度目のダウンを奪うと、レフェリーはノーカウントで試合をストップ
サウスポー同士で、アマチュア時代から対戦経験のある両雄は、初回開始ゴングが鳴るやいなや、いきなり打ち合いを始めた。仕掛けたのは南出。猛然と得意の左を振って入ると、待ち構えていた中嶋は右フックで応戦。
距離を縮めた南出は、左右フックを中嶋のボディに叩き込もうとするが、ここで中嶋の右フックが炸裂すると、キャンバスに転がった。
ダメージを感じさせながら立ち上がった南出だが、強気に攻め込む。両者、左から右フックを相打ちするが、中嶋が一瞬早く、しかもコンパクトに振り抜くと、アゴを貫かれた南出は、回転しながらキャンバスに落下。レフェリーはノーカウントで試合を止めた。
「(南出が)打ちに来たので打ち合おうと思った」と、中嶋はいつものポーカーフェイスで振り返る。前戦でも、初回に右フックを炸裂させて渡辺健一(ドリーム)を倒しており、すっかりワンパンチフィニッシャーに変貌したが、「ようやく横浜の生活に慣れて落ち着いたから」と、大橋秀行会長。
ジムではキッズにボクシングを優しく教える“先生”で、この日も大勢の生徒たちが応援に駆け付けたが、「子供たちの前では絶対に負けられない」と、背中を押されたという。
これで2017年6月のプロデビュー以来、8戦8勝(7KO)。これまで4戦4勝(3KO)と無敗だった南出を倒しての決勝進出は、非常に価値がある。
同い年の尚弥が、負傷をおして応援に駆けつけた。中嶋も、見事にその期待に応えた
写真_本間 暁
2日前、ノニト・ドネア(フィリピン)との大熱戦を制し、WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)優勝を果たした、WBAスーパー&IBF世界バンタム級チャンピオン井上尚弥は、同い年でジムの同僚。この日、目と鼻の骨折が発表された尚弥だが、負傷をおして中嶋の応援に駆けつけ、見事なKO勝利を見届けて「すごかったね。シビレた!」と感激。中嶋も、「まだまだ尚弥くんには近づけないけど、追いつけるように頑張ります」と、さらに気合を入れていた。
文_本間 暁
写真_小河原友信