後楽園ホールが人気ボクシング漫画『はじめの一歩』の世界になる--。19日に開幕する「はじめの一歩30周年記念フェザー級トーナメント」の前日計量が18日、日本ボクシングコミッションで行われ、トーナメント初戦に臨む日本、韓国、中国の全6選手がリミットの57.1kgをクリアした。

写真上=はじめの一歩30周年記念フェザー級トーナメント」初戦に臨む全6選手。左から渡部、溜田、草野、イ、マ、竹嶋。

後楽園ホールが「一歩」一色に

 1989年(平成元年)の連載開始から30周年を迎え、累計9600万部を売り上げたロングセラー『はじめの一歩』を冠したトーナメントを主催するのは、さまざまなプロボクシングイベントを手がける株式会社DANGAN。自身も熱心な読者だったという古澤将太代表(35歳)が、作者でJB SPORTSボクシングジム会長でもある森川ジョージ氏の協力も得て、主人公・幕ノ内一歩と同じフェザー級からの「ニューヒーロー誕生」を願ってプロデュースした。

 舞台設定にも趣向が凝らされる。ホール向かいの展示会場では、複製原画やポスター、単行本全巻などの『はじめの一歩』関連の展示のほか、記念撮影スポットも設置され、来場者はここで漫画の世界観を味わい、気分を高めながら会場入りする動線となっている。ホール内の廊下には、通常ならボクシング、プロレス、格闘技の興行を告知するポスターがずらりと掲示されているが、これもすべて『はじめの一歩』に登場するキャラクターの試合ポスターに張り替えられ、試合会場では主要キャラクターが描かれた特製の横断幕が雰囲気を盛り上げる。

 来場者に配布される興行のパンフレットは厳選された漫画の名言集が掲載される保存版、また17時30分の開場から先着1500名には漫画内の日本フェザー級タイトルマッチ「幕ノ内一歩.vs千堂武士」のダイジェスト版小冊子がプレゼントされるなど、『はじめの一歩』ファンにはたまらないイベントになる。

東京初登場の竹嶋宏心が
ランカー渡部大介に挑戦

画像: トーナメント初戦の最注目は渡部(右)と竹嶋による日本人対決

トーナメント初戦の最注目は渡部(右)と竹嶋による日本人対決

 森川氏の開会宣言でスタートするトーナメント各試合も白熱しそうだ。6回戦で行われる初戦の最注目は、この日のトリを務める日本同級5位・渡部大介(ワタナベ/9勝6KO4敗1分/28歳)と東洋太平洋同級13位・竹嶋宏心(松田/4勝3KO無敗/24歳)の一戦。愛知・守山高時代は選抜、インターハイ準優勝、拓殖大では主将を務め、通算101戦82勝のアマチュア戦績を誇る竹嶋にとっては試金石の試合となる。ここまで対戦相手に恵まれず、4戦はすべて外国人選手が相手。竹嶋自身、“証明”の機会を待っていた。迎え撃つ渡部にも北海道・札幌工業高、道都大で54戦40勝のアマ戦歴があるが、こちらはアウェーもいとわず国内の実力者たちと拳を交えてきた骨太のプロキャリアに揉まれ、力をつけてきた。

 日本人ボクサーのなかではただひとり、名古屋のジムから東京に乗り込んできた竹嶋は「僕は人生を懸けてボクシングをやっている。こんなところでコケているようでは上にはいけない。明日は命がけで勝つ」と覚悟をむき出しにし、一方の渡部は「竹嶋選手は、間違いなく巧くて、強い」と相手を称え、「明日はベストを尽くす」と闘志を内に秘めた。勝者を準決勝で待ち受けるのは、シードされた前WBOアジアパシフィック同級王者のリチャード・プミクピック(フィリピン/21勝6KO10敗2分/29歳)。2年前には世界挑戦経験者の天笠尚を下すなど、その戦績以上の実力者で、トーナメントの軸はこちらの山になりそうだ。

ヨネクラジム出身の溜田剛士、
草野真悟は国際試合

 強打の日本同級6位・溜田剛士(大橋/21勝19KO4敗2分/23歳)はイ・ジェウ(韓国/6勝5KO2敗/26歳)、4連敗からの復活を期す元東日本新人王のサウスポー・草野慎悟(三迫/11勝4KO8敗1分/30歳)はマ・シャン(中国/5勝3KO1敗2分/23歳)を迎える“国際試合”となる。溜田は「原作の一歩に負けないような面白い試合をしたい」、草野は「明日は(一歩の得意な)デンプシー・ロールで倒す」と、それぞれ大会を意識したコメント。ふたりは2年前に閉鎖となった名門ヨネクラジムの出身で、ともに勝ち進めば、“因縁”の元同門対決が実現する。

 イ・ジェウもマ・シャンも攻撃的なスタイルをアピール。溜田が「(体格が)結構ガッチリしている」と印象を話したように、兵役による長いブランクもあるイは、体力には自信がありそう。中学生のころから『はじめの一歩』が好きで、「ボクシングを始めるきっかけのひとつになった」と明かしたイは「このトーナメントに出ることに自分のなかで運命を感じる」と思いを語った。タイ・バンコクを練習拠点にムエタイのリングにも上がる“二刀流”で、かつてヒジ打ちで負ったという傷跡が額に残るマは「勝つ自信はある」と静かに笑った。

取材◎船橋真二郎

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