11日、愛知県・刈谷市あいおいホールで行われたWBCユース・フライ級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンで日本同級2位の畑中建人(21歳=畑中)が、挑戦者のローランド・ジョイ・ビエンディーマ(23歳=フィリピン)を98対91、99対90、99対90の3-0判定で下し、同王座2度目の防衛に成功。デビュー以来の連勝を11(9KO)とした。

上写真=得意の右ストレートを決める畑中だが、負傷の影響で威力は半減していた

 開始から丁寧にジャブを突いて距離をキープしていた畑中建人だが、2回に足を止めての打ち合いに入ると、連打の回転力は上がらず、ビエンディーマの右オーバーハンドやインサイドからのアッパーカットをコツコツと貰うシーンも目立っていった。

ビッグパンチも怖かったが、インサイドでの連打も上手かったビエンディーマ

 序盤から鼻血を流し、左目上もうっすらとカット(後にヘッドバットで大きくカットし流血。WBCルールにより、カットしていないビエンディーマは減点1)。特に左ボディブローを打たれると、はっきりと動きが鈍った。

「試合の数週間前に、あばらを痛めていたんです」と畑中建人。中京高校時代の監督で、現在、専任トレーナーとなっている石原英康さんによれば、「肋骨にヒビが入っている状態」だったという。

画像: 「ジャブとワンツーだけでも世界を獲れるようになりたい」と畑中建人。いちばん大切なジャブの数は、過去最多だったのではなかろうか

「ジャブとワンツーだけでも世界を獲れるようになりたい」と畑中建人。いちばん大切なジャブの数は、過去最多だったのではなかろうか

 接近戦で連打をもらい、リズムが悪くなると、サッと離れてジャブから立て直す。セコンドの石原氏から「クォーティ! クォーティ!」と、鉄壁のガードと強烈な左ジャブで名を馳せた元WBA世界ウェルター級チャンピオン、アイク・クォーティ(ガーナ)の名が叫ばれると、きっちりとガードを掲げてジャブを放つ。右クロス、左フックを狙うビエンディーマに臆せず、ジャブを放ち、左フックの相打ちを狙うところは、やはり強烈なハートの強さを感じさせた。

 しかし、「5回が終わってのインターバルで、『かなりキツイ』という言葉が出た」(石原トレーナー)ため、陣営は倒すことをあきらめ、ポイントアウトにシフト。「あばらの痛みで、右を打てなくなった」(建人)こともあって、左と距離をキープ。「お客さんに申し訳ないけれど、勝つことを第一に考えた」と畑中建人は深々と頭を下げた。

大差勝利も笑顔のない建人と、左は清詞会長。傷を癒す時間が必要だ

「相手のパンチが強いことは想定していたけれど、打たれ強さと気持ちの強さは想定以上でした」(畑中建人)。2回に足を止めて打ち合いを挑んだのは、自身の負傷が悪化しないうちに仕留めるつもりだったからだろう。しかし、フィリピンの選手は総じてタフで、このビエンディーマはヘッドスリップやダッキングなど、地味なディフェンス技術も携えていた。ポイントは大差となったけれども苦しい展開。だが、それを乗り越えたことは、きっと将来に生きるはずだ。

先ごろフライ級王座を返上し、4階級制覇(スーパーフライ級)を目指す先輩・田中恒成も祝福

「怖いパンチをもらってヒヤッとする場面もあったけれど、これから日本、東洋太平洋と挑んでいくにあたって、いい経験を積めていると思う」と、高校、プロと先を走る大先輩、世界3階級制覇王者・田中恒成もエールを贈る。

 元WBC世界スーパーバンタム級チャンピオンの父、畑中清詞会長は、「肋骨のほうは心配ないけれど、左目のカットが……」と表情を曇らせる。古傷となればハンディとなる。昨年8月の前戦に続き、激戦となったダメージもある。まずはしっかりと養生して、新たなスタートを切ってもらいたいものだ。

画像: 左ボディブロー一撃で決めた英

左ボディブロー一撃で決めた英

 また、セミファイナルに登場した2018年全日本新人王で、日本スーパーバンタム級14位の英洸貴(はなぶさ・ひろき、21歳=カシミ)は、ソラウィエット・バムリングライ(28歳=タイ)を左ボディブロー一撃で初回1分12秒KO。戦績を8勝(3KO)3分とした。

文&写真_本間 暁

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