2月29日(日本時間3月1日)、アメリカ・テキサス州フリスコで行われたWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチは挑戦者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が王者カリド・ヤファイ(イギリス)に9回29秒TKO勝ち。約2年半ぶりに世界一の座に返り咲いた。

上写真=ゴンサレスはテンポの速い攻撃で一方的にヤファイを追い込んだ

 現代軽量級の主役として一時代を築いたレジェンドが、全盛期を彷彿させる波状攻撃、鋭い詰めで観る者を魅了した。

 2017年3月、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)にWBC王座を奪われ、再戦で痛烈KO負け。長年のチーフトレーナーとの死別、トレーニング中の右ヒザ故障さらに手術と、逆境が続いていた世界4階級制覇者の現在地を問う戦いだった。昨年12月、約5年ぶりとなる「第二の故郷」日本のリングでケガからの復帰戦を行い、迎えた今回の世界タイトルマッチ。「最高のチームで、最高の準備ができた」という言葉は、本物だった。リング中央のやり取りで、ヤファイのコンビネーションを偵察していたゴンサレスは、初回の中盤には左ボディブロー、左右のアッパーを差し込んでいく。

 元オリンピアンのヤファイはもともと、硬軟使い分ける試合巧者。「ずっとあこがれだった」というビッグネームが攻めのピッチを上げる中で、ヤファイは3回、4回と距離をとり、長い左フック、右アッパーで立て直そうとする。が、それがゴンサレスをますます勢いづかせることになった。

 左のダブルに右アッパー、ゴンサレスの攻撃は回転を増す一方だ。6回、ヤファイのボディブローを食い、バッティングで右目尻から出血。相手を追ううちにキャンバスで足をすべらせたゴンサレスだが、集中力は落ちなかった。7回に右フックでチャンピオンを追い込み、8回終了間際、右でダウンを奪った。そして迎えた9回、後退するヤファイを右ロングフックでノックダウン。立ち上がろうとしてロープにつかまる様子を見て、レフェリーが試合終了を宣言した。

 コーナーポストの前にひざまずき、祈りをささげる新チャンピオンは、「この勝利は神からいただいたもの。私の家族、子供たちにはつらい思いをさせてきた。この勝利は彼らのものだ」と静かに語った。

 劇的な勝利で約2年半ぶりに世界タイトルに返り咲き、大喝采を浴びたゴンサレスは、51戦49勝(41KO)2敗。32歳、キャリア15年目にして「この階級で一番であることを証明したい」と意欲を語る。統一戦、となれば現在の同階級チャンピオン、WBCのファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、IBFのジェルウィン・アンカハス(フィリピン)、そしてWBOの井岡一翔(Reason大貴)、すべて候補ということになるだろうか。「ゴンサレスのプロモーターであるミスターホンダ(本田明彦・帝拳会長)とこれから話すことになるが、エストラーダ、ソールンビサイらとの再戦は、いずれも魅力的なカードだ」と、両選手を傘下に抱えるマッチルームボクシングのエディ・ハーンは試合後の会見で語った。2012年11月、無敵だったライトフライ級時代のゴンサレスが唯一苦戦したエストラーダとの8年越しの再戦。宿敵シーサケットとの第3戦。レジェンドの復活で、スーパーフライ級に再び衆目が注がれる。

 初黒星となったヤファイは、27戦26勝(15KO)1敗。2016年12月、体重超過を犯した世界2階級制覇者ルイス・コンセプシオン(フィリピン)に判定勝ちしてWBA王者となった後、日本の村中優(フラッシュ赤羽)、石田匠(井岡)らを含め5度の防衛に成功していた。ハーンによると、「今後は階級を上げる可能性が高い」という。

現地レポート◎宮田有理子 写真◎Amanda Westcott/DAZN

おすすめ記事

ボクシング・マガジン 2020年3月号


This article is a sponsored article by
''.