ロマゴン対ヤファイと同じ、29日(日本時間3月1日)、テキサスのカードのメインイベント、ウェルター級12回戦では、マイキー・ガルシア(アメリカ)がジェシー・バルガス(アメリカ)を大差判定で破っている。

上写真=この日のマイキーは打ち下ろしの右が冴えわたった

マイキーは最後まで危ない橋を渡らなかった

 攻防兼備の4階級制覇チャンピオンも、5階級目のウェルター級ではどうしても慎重になってしまう。ダウンも奪った。判定も文句なし。ピンチと言える場面も皆無。それでも、マイキーは階級を超える戦いに最後まで守備的だった。

 11ヵ月半前、初めてのウェルター級戦ではエロール・スペンス(アメリカ)の長いリーチと正確なパンチ、さらにパワーに抗えず、何もできなかった。そしてこの日の対戦相手、バルガスはマイキーより12センチも高い身長180センチと大柄で、スーパーウェルター級でも戦えるほどの偉丈夫。ついつい引き気味、深追いなしの戦いになったのは仕方ないか。

 立ち上がりはバルガスの手数が目立った。ガルシアは十分に距離を取り、自分の間合い測りにかかる。3ラウンド、下見はこれで十分と見たのか、マイキーはわずかに距離を縮めて鋭いジャブ、ワンツーと打ち込み、次第に技術の違いを見せつけていく。

 迎えた5ラウンドがこの試合のハイライトだった。マイキーの打ち下ろしの右がダッキングしたバルガスのテンプルを襲う。バルガスの足がもつれる。懸命に逃げ出すところを追いかけて、マイキーは痛烈な右を浴びせかけてダウンを奪った。

 しかし、このラウンドを境にマイキーのボクシングはどんどんと消極的になっていく。明らかにダメージを残したバルガスは8ラウンド以降、ほとんど動きを失ってしまったが、決して無理に攻めようとはしない。ワンツーを軸に各ラウンド、短いヤマ場を作ると、このを縫いつなぐようにポイントを積み上げていく。終盤戦になると、1万を超える大観衆に、「もっとアクションを」と呼び立てる口笛が四方から鳴り響いた。

 出された採点は114対113がひとり、116対111がふたりの3−0。極小差のスコアカードを提出したジャッジ、デビッド・サザーランドは、マイキーの安全第一主義に警告を発したつもりなのかもしれない。

「(ウェルター級が)私のナチュラルなサイズになったのはわかったと思う。最初に(バルガスを)痛めつけた後は、自分のリズムとタイミングで戦い抜いた」

 満足げにそう語ったマイキーは、「準備はできた。これからもウェルター級で戦い続ける。マニー・パッキャオ、スペンスと対戦したい」とビッグマッチ待望宣言。ただ、形を決めてからの強打ばかりの戦法には、このクラスへの対応に、いささかの不安を残したのは事実だろう。

画像: マルチネスの左がハリスのアゴをとらえる

マルチネスの左がハリスのアゴをとらえる

マルチネスは不敗のイギリス人に勝ってV1

 フライ級のニュースター候補と注目されるWBC世界同級チャンピオン、フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)は、ジェイ・ハリス(イギリス)相手に初防衛戦を行い、ダウンを奪って3−0の判定勝ち。昨年12月、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)との決定戦に勝って手に入れたタイトルの初防衛に成功した。

 ダイナミックなパンチが魅力のマルチネスだが、決して乱戦型ではない。ガードで頭部を固めたアップライトに構え、スキを見て強烈なコンビネーションを間欠的に重ねていく。ここまで17連勝不敗9KOのウェールズ人、ハリスは勇敢にも打ち合ってペースを奪おうと試みたが、パワーの差がありすぎた。

 それでも前半はハリスの善戦も目立った。2ラウンドにはチャンピオンの右でぐらつきながらも、それ以外は挑戦者の速いテンポの攻めが光る。3.4ラウンドも粘っこく攻めるハリスがわずかに展開を支配したように見えていた。

 流れが変わるのは4ラウンド後半、ハリスが左目上をカットしてから。この出血はすぐに止まったが、ラウンドを追うごとに腫れはひどくなっていく。5ラウンドには鼻血も流し、ウェールズ人はずっと鼻を気にしながらの戦いになった。

 マルチネスの短期集中的連打がいよいよ本領を発揮していく。大胆な右ストレート、クロスに左のボディブローが強い。へこたれないハリスも、だんだんとスローダウンしていく。

 10ラウンドにはマルチネスの左フック、右ストレートのボディブローでハリスがダウン。これで勝負は決定的になった。

 スコアは116対111、115対112、118対109だった。

「この勝利をメキシコのためにささげたい。私はいつでも、だれとでも戦う」

 そう語ったマルチネスは今後、日本の軽量級陣のライバルになっていくかもしれない。

文◎宮崎正博(DAZN観戦) 写真◎Amanda Westcott/DAZN

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