25日、兵庫県・神戸市立中央体育館で行われたOPBF東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦12回戦は、元日本&WBOアジアパシフィック同級王者の堀川謙一(40歳=三迫)が、同じく前WBOアジアパシフィック同級王者の冨田大樹(22歳=ミツキ)を序盤から技術で翻弄。10回1分47秒TKOを収め、昨年10月に高橋悠斗(引退)に判定負けし、日本王座を失って以来の復帰戦で、別のベルトを取り戻した。

上写真=堀川のジャブが正確にヒットする。冨田は右ストレートを打つタイミングを失った

文_加藤健太郎
写真_石井愛子

 スピードが身上の冨田は開始から積極的にジャブを出して、堀川の出方を伺うが、いつものスピードやキレを感じさせない。対して、堀川はジリジリとプレスをかけると冨田の右ストレートに合わせてジャブや左ボディを狙った。3回、冨田のジャブをモロにもらった堀川は鼻血を出すが、ここから堀川のキャリアが上回る。冨田を惑わせる距離を作ると右のノーモーションを当てて、ペースをガッチリと握った。

アッパーカットをヒットする堀川。ベテランの多彩な攻防に、冨田はボクシングの組み立てを崩された

 焦りの見える冨田は左右の大きなフックで応戦しようと試みるが、冨田がこれを打つ直前、打ち終わりといずれも堀川がきっちりと捉えてしまう。さらに堀川はガードで冨田の攻撃を寸断すると、すかさずリターンをヒットしてみせた。7回には、堀川は巧みなショートで冨田のみぞおちを突き刺してダメージを与えると、左右でサイドボディを攻めまくり、冨田の体力を削いでみせた。4回と8回終了後の途中採点は、ジャッジ3者がいずれも堀川を支持していた。

 すると10回、セコンドからGOサインが出た堀川がラッシュを仕掛け、冨田が後退。レフェリーが割って入るのと同時に、堀川の右ダブルがヒットすると、冨田の体は弾け飛ぶようにして崩れた。

 バナナを頬張りながら会見に臨んだ新チャンピオンは、「僕、40歳ですから、栄養補給しないと」と報道陣の笑いを誘う余裕を見せた。
「3ラウンドに冨田くんのジャブを鼻にまともにもらって、やばいと思いました。でも、セコンドの言うことを聞いて、しっかり組み立てられました」と試合を振り返る。そして「今回、(試合が)YouTubeで流れているし、このまま倒せないのも嫌だったので倒せて良かったです」と安堵の表情を見せた。

 一方、敗れた冨田は「キャリアの差ですね。堀川ワールドにまんまとはまってしまいました」と完敗を認めた。「今後については「しっかり休んで頭を整理してきます。でも、ボクシングは辞めないです」と先を見据えた。

 堀川の戦績は58戦41勝(14KO)16敗1分。冨田の戦績は16戦14勝(5KO)2敗。

バランスよい神田を、長井は強引に攻め立てた

 セミファイナルで行われた日本女子アトム級王座決定戦6回戦は、10ヵ月ぶりの再戦。移籍初戦で大きな舞台に立った長井香織(30歳=真正)は、前戦同様、前に出て距離をつぶすと左右のフックを強振する。
 対して、前回の試合で判定負けを喫した神田桃子(33歳=寝屋川石田)は後退するがスピードに乗ったジャブで距離を測った。

 前半、鋭いジャブを武器に長井の侵入を阻んだ神田だが、長井は被弾覚悟で前進すると右ボディストレートから左フックを強振し応戦した。5回、長井の左フックが決まり一瞬ヒザを揺らした神田だが、ダウンは拒否した。手数が出る神田だが、有効打では長井が上回る。
 最終回、渾身の打ち合いを演じたが決着は判定に持ち込まれ、有効打を奪った長井が58対56、58対56、57対57の2-0で念願のベルトを巻いた。

神田に連勝し、王座を獲得した長井

 長井は「神田選手とは再戦になるのですが、前回の試合よりはうまくできたと思います」と試合を振り返る。「タイトル戦というより、この試合に勝って真正ジムの一員として認めてもらうことの方が大きいです、正直ホッとしています」とこの試合に懸けた思いを話した。

 長井の戦績は10戦5勝(2KO)2敗3分。神田は25戦10勝(4KO)13敗2分となった。

おすすめ記事

ボクシング・マガジン 2020年8月号


This article is a sponsored article by
''.