抜群のクッション性と推進力をもち合わせたトップモデルの厚底シューズ、「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」でマラソン界を席巻するナイキが、また新たなプロダクトを2020年春に打ち出すという。それが、「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」。 「ネクスト%」の構造からヒントを得つつ、初心者も含めた、あらゆるレベルのランナーにつきまとうケガのリスクに向き合い、“長く・楽しく”ランニングを楽しめるためにつくられたシューズだそうだ。ローンチに先駆けて、ナイキの開発担当者から話を聞く機会があった。                                  

従来とは違ったアプローチから、故障予防に向き合う

 クッション性、軽量性、反発性、さらに耐久性と、あらゆる要素を兼ね備えたフォームで「ふわ・かる・びよーん」のキャッチフレーズとともにエピック リアクトが登場したのが2018年2月。そこから約2年、リアクトシリーズの進化版「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」が新登場する。何が新しくなるのか。その最たる部分は、あらゆるレベルのランナーにつきまとう“ケガのリスクの軽減”へ、これまでとは違うアプローチから向き合っていることだ。

 シューズにおける故障対策としては、足首部分のオーバープロネーション(過回内)を防ぐため、ソールの内側を補強し安定性を高めるなどのアプローチが、ナイキを含めた多くのメーカーでとられてきたことはご存じの通り。しかし、「過回内を防ぐことだけで、ケガの予防につながるのは一部のランナーのみ。一般的な問題解決には十分ではありませんでした」と、ナイキスポーツ研究所 フットウェア リサーチ ディレクターのジェイ・ウォロベッツ氏は語る。そこで、現場のアスリートたちの声を集約して出したアプローチ方法が、「クッショニングをより高め、それをより実感できる構造にする。かつ、重くなり過ぎずに、効率よく走れるシューズにする」というもの。言うは易し、行うは難しだが、そこからさまざまな研究・実験の末に生み出されたのが、「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」だ。

 では、実際にエピック リアクトと比較してどこが進化しているのか。まずはリアクトフォームを24%も増量しながら、反発性を損なうことなくクッション性を高めていること。そして、その軟らかさをランナーが十分に感じられるようにしつつ、安定性を高めるために、かかと部分をぐるりと大きく囲むように薄いヒールグリップを入れて足のズレを抑えていること。安定性を高めるという意味では、新たな三重構造で通気性を改善した(これまでは雨に濡れると重くなるという指摘があった)、フィット感抜群のアッパー素材・フライニットも貢献しているという。

画像: 厚底のロッカー構造は、ヴェイパーフライ ネクスト%の構造からヒントを得ているという

厚底のロッカー構造は、ヴェイパーフライ ネクスト%の構造からヒントを得ているという

クッション性を感じられ、かつ推進力も高める構造

 そして、これが今回の一番の特徴といえるのだが、ソールをゆりかご型のロッカー構造にしていることだ。24%のフォーム増量により、重さはエピック リアクトの片足239gから約293g(ともにメンズ28㎝)へと重くはなっているが、足を入れた感触ではそうした重さは感じないし、自然に前に進んでいく感触が新鮮だ。これぞ、ゆりかご型が生み出す推進力。ヒールストライクでも、つま先からの蹴り出しへとナチュラルに促し、疲労を軽減しながらも流れるようなライド感を生む構造となっている。これは、「ヴェイパーフライ ネクスト%」のソール形状から、ヒントを得たものだそうだ。

 では実際、どれくらいの「ケガのリスク軽減」の効果があるのか。外部機関に依頼し、226人のランナーに、半分は、従来のオーバープロネーション対策タイプのナイキ エア ズーム ストラクチャー22を、半分はこのナイキ リアクト インフィニティ ランを履いてもらい、ハーフマラソンへ向けて12週間、同じプログラムでトレーニングをして比較したところ、後者のほうが、膝やスネ、ふくらはぎなどの故障が52%少なかったという。「クッション性を高めたほうがいいというアスリートの声からシューズをつくり、それが正しい方向性だったことが証明された。最高のケガの防ぎ方の第1歩となりました」とウォロベッツ氏は語る。

 どんなランナーでも、痛みを抱えて走れなくなるというのが、最もつらいことだ。そのつらさを味わうリスクを軽減し、ランニングを“無限に楽しめる”可能性を示してくれる。「ナイキ リアクト インフィニティ ラン」は、そうした1足になるかもしれない。日本での発売は、2020年1月30日の予定だ。

文=高橋幸司(ランニングマガジン・クリール編集長)

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