現在は、新型コロナウイルスの感染拡大のために活動休止を余儀なくされているチームがほとんどだ。選手に対する直接指導が難しくなっている中、指導者ができることは何か? 日本の将来有望な選手を数多く指導してきたアンダー世代の日本代表、小粥智浩コンディショニングコーチに、この状況だからこそできること、「いまトレ」を聞いた。

※インタビューは4月中旬にWEB取材で実施しました

出典:サッカークリニック2020年6月号

取材・構成/川端暁彦 写真/川端暁彦、BBM

いまトレ=新型コロナウイルスの感染が拡大し、選手を直接指導することが難しくなっている「今」だからこそ持つべき考え方や、「居間(自宅)」などでやれるトレーニングを指す用語として編集部が考えました

今だからこそ、できることがある

――小粥コーチは年代別日本代表のコンディショニングコーチを務める一方、流通経済大学にも勤務しています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、どのような生活を送っているのでしょうか?

小粥 現在、日本サッカー協会は5月末まで事業などは活動自粛、業務はリモートワークで行なっています。大学も当面はオンライン学習となっていますので、WEB会議やオンライン授業の準備に追われているところです。自宅での活動が多くの時間を占めています。

――チーム活動が休止している全国の指導者が、どうやって選手を指導するのか悩んでいると思います。地域やチームによって差があるとは思いますが、チーム練習が一切できないような状況でも、指導者が選手たちにポジティブな影響を与えることは可能ですか?

小粥 「サッカーができない中で、どのようにしてサッカーを改善するのか?」は難しい課題だとは思います。しかし、「改善がまったくできない」ということはありません。個人についてもそうですし、チームについてもそうです。

――チームについても、ですか?

小粥 むしろ、今だからこそできることがたくさんあるのではないでしょうか? 今は映像を使って選手にアプローチできます。自分のプレーを分析させるのもいいかもしれません。映像を見た上で、「攻撃」、「守備」、「攻守の切り替え」のそれぞれについてリポートを出してもらうだけでも、選手にとっては学びになると思います。その内容は、技術的な課題でも肉体面の課題でもいいでしょう。

――普段はリポートを苦手とする選手でも、チーム練習のないこの状況であれば、意欲的に取り組むかもしれません。

小粥 今できないことはたくさんありますが、今だからできることもあると思います。指導者がポジティブな働きかけができればいいなと思います。

――コンディションというとフィジカル的な要素がフォーカスされますが、今のこのような状況ではメンタル面が大切ですか?

小粥 間違いありません。メンタル面をフォローする意味でも、まずは選手とコミュニケーションをとるのが重要だと思います。自宅でやるメニューについても、指導者が「これをやって」と単に伝えるだけではなく、選手自身に考えさせるのも一つですし、先ほど話した、自分についてのリポートを出してもらうのも、そこでコミュニケーションが生まれるので良いと思います。選手にサッカーノートを書かせているチームもあると思いますが、今のようなときでも活用できます。自宅でやった取り組みを書いてもらい、それをスマートフォンで撮影して送ってもらうこともできます。

――「会えないから指導できない」ということではないんですね。

小粥 その通りです。私が専門とするのはコンディショニングの部分ですが、コンディショニングはあくまで「サッカーを改善するためにあるもの」という視点も持って、サッカーとつなげて考えることが大切です。今はなかなか難しい状況かもしれませんが、その状況下でも、自宅で選手たちに取り組んでもらうメニューについても同じことが言えます。


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