6月6日、リオ五輪400m個人メドレー金メダリストの萩野公介が東京都内で会見を開き、競技に復帰することを宣言した。

※写真上=時に笑顔で、時に真剣な眼差しで質問に答えた萩野
写真◎スイミング・マガジン編集部

 3月上旬に休養を宣言してから約3カ月。萩野は一時休養期間に入っていた理由について語った。

「自分が泳いだ結果に対して、泳ぐ前から不安になってしまっていた。それがコナミオープン(400m個人メドレー予選)で、なんでだろう? と思うようになってしまって。それがちょっとツライな、と。水泳がすごく好きだけど、嫌いになってしまいそうで、怖かった部分もあります。そういう気持ちのまま、4月の日本選手権に出てもどうなんだろう、と。そこが夏に向けてのスタートになるはずなのに、そこで終わってしまうようにも思ってしまいました。そこで、期限を決めずに、僕のわがままなんですけど、つらいという気持ちを平井伯昌先生に伝えて、お休みさせてもらう形となりました」

 休養期間は、友人や関係者含めて多くの人々と会ったという。そうした時間の中で、自分が一人ではないこと、また応援されていることを再確認。特に地元・栃木の関係者から言われた一言が心を動かしたという。

「自分の水泳の引き際は自分で決めろ、と言われて、確かにそうだな、と。そう言われて、自分はこのままで終わっていいのか、と考えたら、(それは)嫌だし、水泳好きだし、もっと泳ぎたいし、もっと高みを目指したいと。だから(やめるのは)今じゃないし、やるならオリンピックでの複数種目での金メダル獲得はブラさずにやっていこうと心に決めました」

 多くの方々と会う一方で、ドイツやギリシャに一人で足を運ぶなど、自分を見つめ直す時間を作り、自分と向き合う中で、少しずつ気持ちが前向きになっていったという。

 5月から少しずつ身体を動かし、6月からはプールでの練習も少しずつ再開。
「心から泳ぎたいという気持ちが出てきました。まだ本格的な練習というわけではありませんが、毎日泳ぎたいなという気持ちになったり、楽しいな、と感じられるようになりました」

 目標は変わらずオリンピックでの複数種目でのメダル獲得だが、「まずは来年のオリンピック選考会(日本選手権)の出場標準記録を切らなければいけないし、冬場のトレーニングを国立スポーツ科学センターで行なうには、(日本水泳連盟設定の)インターナショナル標準記録Cを突破しなければならないので、まずはそこを目標にしたいと思います」。

 復帰レースは最短で8月上旬のワールドカップ東京大会となるが、「絶対に出るというのではなく、そのあたりは状況次第でと思っています」と、焦らずに自分のペースで検討していくという。

 少しだけふっくらした萩野は現在、ベスト体重から5kg重い77kgとのことだが、「リオ五輪前年に骨折したときは、毎日、ガンガンラーメン食べてしまい、もっと太っていたときもありました。その教訓はあります。普通に練習できるようになれば、すぐに体重は落ちるので、心配していません」と笑顔で答えた。

 長期休養を取ったことに対して「不安はあるか?」と問われた萩野は「全然ないです」と断言。

 今後、どのような展開が待っているのか、想像もできないが、泳ぐことに対する「心」を取り戻したことは、何より大きな一歩といえる。

文◎牧野 豊(スイミング・マガジン)

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