「スイミング・マガジン」本誌にて連載中の柴崎真木先生による「食べて速くなる栄養学」。年々反響が大きくなっていることを受け、スイマガWebでも折を見て過去の連載記事をご紹介していきます。第3回目のテーマは「オフでもしっかりたんぱく質を採る」です。レシピ、本文合わせて知識を身につけていきましょう。

※写真上=レバーのチリビーンズ(撮影◎柴崎真木)

Let’s Cook !
レバーのチリビーンズ

★レバーは高たんぱく低脂肪でダイエットにぴったり。脂肪燃焼に必要なビタミンB2もたっぷり含まれています。レバーは苦手という人もトマトとチリパウダーで食べやすくしています。ダイエット中は薄味が基本ですが、全部が薄味だと満足感がなくなってしまいます。一品はしっかり味のおかずを取り入れると良いでしょう。

【材 料】*作りやすい量(7~8人分)
豚レバー(薄切り)180 g、合いびき肉100 g、玉ねぎ中1個、大豆水煮缶2缶(110 g)、トマト水煮缶1缶(400 g)、にんにく1かけ、ローリエ1枚、オリーブ油大さじ1/ 2、コンソメ1個、チリパウダー小さじ1、カレー粉小さじ1/3、砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ1、塩・こしょう

【作り方】
1)玉ねぎ、にんにくはみじん切りにしておく。
2)豚レバーは軽くもみ洗いし、さっとゆでてからみじん切りにする。
3)フライパンにオリーブ油とにんにくを入れ、火にかけて炒める。
4)にんにくの香りがでてきたら、玉ねぎを加え、しんなりするまで炒める。
5)ひき肉、レバーを加えて炒め、ひき肉の色が変わったら、チリパウダー、カレー粉を加えて香りが立つまで炒める。
6)大豆水煮缶、トマト水煮缶、砂糖、コンソメ、ローリエを加え、弱火~中火で煮る。
7)汁気がなくなり煮詰まってきたら、しょうゆ、塩、こしょうで味を整える。

★Lecture★
オフのウェイトコントロール

 食欲の秋となりました。夏の大会が終わり、練習もまだ本格化する前の時期かと思いますが、練習量の多い時期と同じようにしっかり食べていると、気づいたときには何kgか増えてしまっていることもあります。まずは、そのようなことにならないように毎朝の体重チェックが大切ですが、増えてしまった! もう少ししぼって次のシーズンを迎えたい! という人は、今回、しっかり学んで取り組んでいきましょう。

糖質制限はNG!

 糖質制限ダイエットが流行っていますが、練習で多くのエネルギーを消費するスイマーは糖質が不足するとしっかり練習ができなくなってしまうため、ゼロにすることはおすすめできません。
 ここで糖質について、もう一度おさらいしましょう。糖質=炭水化物、と認識されていることが多いのですが、正確には、炭水化物は「糖質+食物繊維」のことで、炭水化物を多く含む食品でも糖質と食物繊維のバランスは異なります。炭水化物を多く含む代表的な食品であるごはんやパン、麺類などは食物繊維を含んでいますが、ジュース、あめ、ガムなどに含まれている砂糖は食物繊維が含まれていません。減量が必要なアスリートが糖質制限する場合には、まず、砂糖類、つまり、ジュース、お菓子から減らすことがポイントです。スポーツドリンクも砂糖が多く含まれていますので、練習量が少ない日は練習中のドリンクも水かお茶に変えましょう。
 要注意なのは、100%果汁ジュースや野菜ジュースです。果物や野菜のかわりに飲んでいる人もいますが、これらはビタミンやミネラルは摂れても食物繊維はほとんど摂れません。オレンジジュース100ccに含まれている糖質は約11gと、コーラなど清涼飲料水とほぼ同じくらいの量が含まれています。ビタミンやミネラル補給のために100%ジュースを飲むなら1日200cc程度にとどめ、できるだけ果物や野菜そのもので摂るように心がけましょう。
 完全にオフでなければ、ごはんやパンはきちんと食べなければいけません。雑穀米や玄米などを混ぜたり、ライ麦パンや胚芽パンなどに変えると、脂肪や糖質をエネルギーにするために必要なビタミンB群や食物繊維が摂りやすくなります。また、ダイエット中はパンよりごはん中心の食事にすることをおすすめします。パンは材料にショートニングやマーガリンなどの油を使っていますが、ごはんには脂肪がほとんど含まれていません。パンと一緒に食べるおかずはこってりしたおかずが合いやすいので全体的にエネルギーも高くなりやすいです。やはり、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスが重要ですから、何を食べるかを考えることも大切ですが、全体のエネルギー量も意識して食べましょう。
 糖質は練習量が少ないときでも1日体重1kgあたり3~5gは必要です。体重60㎏の人だと糖質量は180~300g、すべてごはんで摂ると480~810g(ごはんの糖質量は100gあたり37.1g)になりますが、ほかの食品にも糖質は含まれていますので、その8割くらいを目安にすると良いでしょう。つまり、パフォーマンスを落とさずにダイエットするには、毎食茶わん1杯程度のごはんを食べることが必要です。

よく噛む=やせやすくなる!

 よく噛んで食べると、脳の満腹中枢から合図があり、食べすぎを抑えてくれるということは、聞いたことがある人も多いでしょう。最近の研究では、よく噛んで食べている人のほうが、消化吸収などで消費するエネルギーも大きくなることがわかってきました。食事をすると、身体がポカポカ温まる感覚があると思いますが、それがよく噛んでいる人のほうが温まりやすく、エネルギーを使っているということです。
 また、よく噛むとストレスも減らすといわれています。ストレスがかかると食欲を抑えるホルモン「レプチン」の働きが悪くなるため、食べすぎる傾向にあるそうです。ストレスでやけ食いしそうになったときにもよく噛むことを意識するといいかもしれませんね。

睡眠不足でも太る!

 練習後の食事はどうしても遅くなりやすいので、太りやすくなるのでは? と心配する人も多いです。遅くなるときの夕食は脂肪の少ないおかずにしましょう。脂肪の多い食事は太りやすいだけでなく、睡眠の妨げにもなります。睡眠不足は「レプチン」の働きが悪くなり、食欲を増すホルモン「グレリン」を増やしてしまうため、太りやすくなります。
 また睡眠時間だけでなく、熟睡できているかどうかも重要です。特に寝はじめにしっかり熟睡すると、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは筋肉を作るホルモンですから、運動後にしっかり眠ることで筋肉がつき、やせやすい身体づくりができるともいえます。特に夕食はよく噛んで食べることで消化しやすくなるため、睡眠中の胃腸の負担が減り熟睡しやすくなります。寝る前の甘いものは睡眠を妨げるとも言われていますので、夕食後のデザートやお風呂上がりのジュースは控えましょう。

たんぱく質はしっかり摂ろう

 2016年に発表された、米国スポーツ医学会・カナダ栄養士会・栄養食事アカデミーの合同声明によると、たんぱく質摂取量が体重1kgあたり2.3gのエネルギー制限食を提供することで体重と体脂肪を減らしつつ、筋量を維持できることを明らかにしています。例えば、体重60kgの選手であれば、1日あたりたんぱく質を約140ℊ程度摂ることになり、これは肉や魚に換算すると700gにもなります。ただし、たんぱく質は肉や魚だけではありませんし、ごはんやパンなどにも含まれています。そのため、肉、魚はこの半分くらいの300~400ℊを目安(体重60kgの場合)に摂ると良いでしょう。1食100~150gなので、それほど難しい量でもないと思います。主菜を脂肪の少ない部位の肉や魚にし、副菜で大豆製品や卵を加えるとよいでしょう。また、たんぱく質は3~5時間ごとに頻回してとることで筋合成が最適化されるため、補食で牛乳やチーズ、ゆで卵などをとるのもよいでしょう。

野菜はしっかり食べよう

 最近、炎症を起こしやすい食生活の人は肥満になるリスクが高いという研究が発表されました。野菜に含まれるβカロテンやビタミンCをはじめとする抗酸化成分は、体内の炎症を抑え、ケガや風邪などの予防にも役立ちますから、野菜をしっかり食べることが大切です。野菜は食物繊維も多く、脂肪や糖質の吸収をゆるやかにして太りにくくします。低エネルギーで満腹感も得やすいので、ダイエット中は特にしっかり摂りたいものです。サラダはドレッシングやマヨネーズなど脂肪の多い調味料はエネルギーも摂ってしまうため、おひたしや汁物にたっぷり入れて摂るのがおすすめです。最初のひと口は野菜料理から食べ、よく噛んでからほかのおかずを摂るようにすると食べすぎも防ぐことができます。煮物は脂肪が少ない料理のひとつですが、甘辛いこってりした煮物は案外砂糖やみりんが多いため、食べすぎると太りやすくなります。ダイエット中は薄味を心がけましょう。

文◎柴崎真木

著者PROFILE
[しばさき・まき]愛知県生まれ。中京女子大大学院健康科学研究科修了。管理栄養士、健康運動指導士。愛知県内のスイミングスクールや国体に向けた合宿での栄養サポートを経て、2008年より文部科学省委託事業チーム『「ニッポン」マルチサポート事業のスタッフ』として競泳日本代表のサポートに従事しロンドン五輪にも帯同。現在はフリーで活動中。中学までは水泳部に所属し、水泳指導の経験もある。愛知水泳連盟医科学委員

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