スリル溢れる「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~9月8日/ハードコート)の男子シングルス決勝で、ラファエル・ナダル(スペイン)の19番目のグランドスラム・タイトルは、不可避のものから突然、疑念の中に投げ込まれた。

 なんてことはない戴冠をへとへとにさせられる厳しい戦いに変貌させた功績は、ナダルの対戦相手、ダニール・メドベデフ(ロシア)にあった。ナダルより10歳若いメドベデフは、初めてのグランドスラム決勝をプレーしているところだった。彼は最初の2セットを落とし、さらにワンブレークされたところからプレースタイルを変え、揺らぐナダルに対して自らのプレーレベルを引き上げた。彼はアーサー・アッシュ・スタジアムの観客たちから予想外の後押しを受けさえしたのである。

 今大会で初めて真のテストを課せられた第2シードのナダルは、最終的にメドベデフの高まる波を堰き止め、7-5 6-3 5-7 4-6 6-4の勝利で彼の歴史的挽回劇を抑え込むことに成功した。ナダルはブロードウェイのミュージカルに値するドラマと素晴らしいプレーに満ちた4時間50分の死闘の末に、フラッシングメドウで4度目となるタイトルを獲得した。

「僕のテニスのキャリアでもっとも感動的な夜の一角だった」とナダルは言った。彼はスタジアムのスクリーンが、彼がこれまでに獲ったグランドスラム・タイトルのすべてを映し出しているとき、泣きながらその顔を手で覆っていた。

「試合の最後の3時間は非常に激烈なものだった」とナダルは言った。「精神的にも、肉体的にも非常にタフだった」。

 今、メドベデフが「常軌を逸した」と表現した「19」のグランドスラム・タイトルを手にしたナダルは、最多タイトル保持者のライバル、ロジャー・フェデラー(スイス)の「20」まで、あとひとつと迫った。

 しかしこのタイトルは簡単にはやってことなかった。確かにナダルは最初の2セットを先取し、第3セットでも先にブレークを果たして3-2とリードしていた。その様はメドベデフの言葉を借りれば、「野獣のよう」だったのだ。メドベデフが試合後に冗談まじりに言ったところによれば、その時点での彼の考えは、「20分以内に僕は(準優勝者の)スピーチをしなければならない。何を言おうか?」だったのだという。

 だが23歳のロシア人は、その夜に優しく入っていきはしなかった。彼はただちにブレークバックして3-3と追いつき、ふたたびブレークを果たしてそのセットを奪取。そして第4セットの終わりにも、またブレークをやってのけた。


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