大会6日目の10月2日、女子5000m予選1組に出場した田中希実(豊田自動織機TC)が日本歴代3位となる15分04秒66で組6着に入り、5日(日本時間6日3時25分)の決勝に進出した。田中は15分10秒00の東京五輪参加標準記録も突破した。

写真上=女子5000m日本歴代3位の快走で田中は決勝に進出(撮影/中野英聡・陸上競技マガジン)

必死に着順を取れる位置をキープした

 153㎝の小柄な体が英米、アフリカ勢の集団のなか、ひと際大きく、たくましく見えた。

 女子5000m予選1組、スタートから飛び出した田中希実(豊田自動織機TC)は1000mを3分04秒92で通過。トップのエイリッシュ・マクコルガン(イギリス)と0秒19差の2番手で続いた。

「何度も接触してヒザから血が出たりしましたが、無心だったので気にならなかったです。皆さん堂々とされていて、何回も接触があるなか、『ソーリー』とかしゃべっている人がいて、すごい余裕だなと思って走っていました」

 自身がレースの主導権を握るための世界の列強たちによる激しい位置取りや駆け引き、それらもう一つのバトルにも決してひるむことはなかった。

 2000mを3番手の6分09秒03、3000mを7番手の9分09秒80で通過。「必死に着順を取れる位置をキープしていたら、ああいうレース展開になりました」。各組5着までに加え、成績上位5名が決勝に進む。先頭集団が縦長になり、そのほぼ最後尾に食らいつきながらも5着以内をうかがう。

「残り3周までは余裕をもって押していけましたが、そこからはとても長く感じました」と振り返るが、周囲の3000m以降の周囲のペースアップも想定済みだったという。

「ラスト2000mは、先頭の選手が5分50秒を切るくらいでいく。自分ができるかどうかは別として、最低でもそれぐらいは上がると思っていたので、びっくりせずに対応できました」

レース後は周囲の助けがなければ立ち上がれなかった。すべてを出し切った(写真/中野英聡・陸上競技マガジン)

 普段の練習や記録会から大舞台でのレースをイメージして臨んできた。1日に1500mと3000mのレースを一気に走るなかで、「しんどくても調整していく気持ちがつくれたと思います」と語る。その周到な準備が、ラスト2000mでの5分54秒86のラップに凝縮されていた。

 最終的に15分05秒66の6着でフィニッシュし、全体では12番手のタイムで決勝進出を決めた。東京五輪の参加標準記録を突破するとともに、兵庫の先輩で女子1500mの日本記録保持者である小林祐梨子を抜いて日本歴代3位に名を連ねた。

「祐梨子さんには今でも応援していただいて、すごく力になっています。その記録を抜くことができてとても光栄ですし、うれしいです」と笑顔を浮かべる。

 2018年アジアジュニア3000m、19年U20世界選手権3000mを制するなど、ジュニアの舞台で活躍してきたが、初のシニア世界大会での堂々たる自己ベスト更新、日本歴代3位。それを「財産」と表現するが、伸び盛りの20歳は決勝で新たにどんな財産を手にするのか。2020年の東京へとつながる快走を期待したい。

女子5000m日本歴代5傑
1 14分53秒22 福士加代子 ワコール  2005.07.08
2 15分03秒67 弘山 晴美 資生堂  1998.08.05
3 15分04秒66 田中 希実 豊田自動織機TC 2019.10.02
4 15分05秒37 小林祐梨子 豊田自動織機  2008.10.18
5 15分06秒07 赤羽有紀子 ホクレン  2008.07.13

文/石井 亮(陸上競技マガジン)

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