東洋大の主将・相澤晃(4年)が、全日本大学駅伝の歴史に刻まれる快走を見せた。10月31日に締め切られたメンバーエントリーでは、補員に登録された相澤。どの区間を走るか注目を集めたが、当日変更で投入されたのは前半の3区だった。

※写真上=全区間を通じて、もっともインパクトのある走りを見せたといえる相澤
撮影/JMPA

 10月14日の出雲駅伝では3区で区間賞を獲得したが、ラストスパートで駒澤大に先行され、トップでタスキをつなぐことができなかった。だからこそ全日本は、どんな位置でスタートしても、トップに立つことに強いこだわりを持って臨んだ。

 タスキを受けたのは11位とやや後方だったが、1位の東京国際大とは40秒差。「前が見えていたし、あきらめる位置ではなかった」と、次々と前の選手をかわしていく。相澤の特徴は、選手を抜くときにしばらく並走したり、背後に付かれたりしないこと。それだけペースが速いということだが、相澤自身も、抜くときには意識的にスピードを上げたのだという。

 今年1月の都道府県駅伝7区で対戦した中谷雄飛(早稲田大2年)を2㎞でかわすと、4㎞過ぎには塩澤稀夕(東海大3年)らのグループも置き去りに。出雲駅伝のときに中盤まで塩澤が付いてきたことを思い出し、今度は塩澤が反応できないようスピードアップ。そして、6㎞過ぎには1位に浮上していた順天堂大を抜いてトップに躍り出た。

 11月23日の八王子ロングディスタンスの10000mを見据え、比較的起伏が少ないこの区間で10㎞を27分台で入ろうと、事前に酒井俊幸監督と話していた。13分50秒くらいを考えていたという5㎞は「13分42秒で入ってしまった」と、前に選手がいた影響か、設定タイム以上に飛ばしたが、スピードを緩めずに走り続けた。10㎞は27分47秒で通過。「後半も我慢できました」と、「その1秒をけずりだせ」のチーム・スローガンを体現するような切り換えを見せた。

 11.9㎞を33分01秒で駆け抜け、昨年、区間賞を取った館澤亨次(東海大4年)の記録を1分8秒も上回る区間新記録。これで相澤は、出雲駅伝3区、箱根駅伝4区と合わせて三大駅伝すべてで区間記録を保持することとなった。酒井監督は「トラックの27分台を目指して春から取り組んできた成果を実証できましたし、地力が付いたと感じました」と目を細めた。

 チームは優勝を目標に掲げながら5位。相澤は「ミスをしていては勝てない」と厳しい表情だったが、同じ4年生たちが奮闘したことに光明を見出した様子。特に7区で区間2位だった定方駿に対しては、「努力で這い上がってきた選手。エース格と呼べるようになったし、東洋大の“顔”になってきたと思います」と、その気迫のこもった力走に心を動かされたようだ。

 学生として、残された大会はわずか。最強エースは10000m27分台を達成し、箱根駅伝でチームを頂点へ導く走りを誓った。

文/石井安里

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陸上競技マガジン 2019年11月号


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