◆11月3日/全日本大学駅伝
 青山学院大のエース、吉田圭太(3年)が7区でタスキを受けたとき、先頭の東海大との差は1分03秒だった。7区は17.6㎞の長丁場。逆転の可能性は十分にある。

※写真上=7区の終盤、先頭を行く東海大・松尾を捉えた吉田だったが…
撮影/JMPA

 吉田はまず、2位の順天堂大を早々に捉えると、徐々に東海大の松尾淳之介との差を縮め始める。1㎞あたりおよそ5秒。12、13㎞地点で追いつく計算になる。

 そして、15㎞地点手前で吉田はついに松尾を捉える。残りはおよそ3㎞。うまくすれば15秒、いや、松尾に精神的打撃を与えられれば30秒近い差で8区のアンカー、飯田貴之にタスキをつなげられそうだった。

 やっぱり青学は強かったーー。そんなシナリオが頭に浮かんだ。

 ところがーー。

 吉田がいまひとつ伸びない。グングン突き放すかと思いきや、東海大を振り切ることができず、それどころか松尾に勇気を与えてしまっている。

 16.5㎞地点。ついに松尾が吉田に追いつく。予想外の展開だ。それでも吉田は中継点手前でスパートをかけ、先頭でタスキを渡したが、東海大との差はわずか2秒にしか過ぎなかった。

 記録は52分24秒で、駒澤大のルーキー、田澤廉に15秒遅れの区間2位。

 悪くはない。悪くはないのだが、「スーパー」な活躍を期待していただけに、やや物足りなさが残った。

 いったい、吉田には何が起きていたのか。

「走り出してからも、あんまり調子が良くなくて」

 テレビの解説を務めた渡辺康幸氏が、「吉田君は最初から一気に飛ばしてくると思ってたんですが、思ったよりもゆっくり入りましたね」と話していたが、実のところ自重して入ったわけではなく、調子が上がらないなかで、なんとか先頭・東海大の背中を追っていたということだ。

「調子が悪いなりに追い上げていって、なんとか追いついたんですが、そこで引き離せるだけの余力がなかったですね。松尾さんが追いついてきたので、踏ん張って並走して、最後には飯田を勇気づけられるようにスパートをかけ、どうにかこうにか先頭でタスキを渡せた感じです」

 悪いなりに走りをまとめ、青山学院の見せ場をつくったというところだろうか。

 ただし原晋監督は、注文をつける。

「吉田が、先輩の田村和希(現・住友電工)や森田歩希(現・GMOアスリーツ)のような”駅伝男“に成りきれないのは、あそこで突き放す力がまだないということです」

 箱根駅伝に向けて、どれだけの準備ができるか。それが青学大のエース、吉田圭太の宿題になった。

文/生島 淳

※吉田選手の「吉」は「土」に「口」だが、機種依存文字のため、「吉」と表記しています。

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