リオデジャネイロパラリンピック、ブラインドマラソン銀メダリストの道下美里選手と、伴走者の河口恵さんの出会いは2016年。同年に現役を引退した河口さんは地元の福岡に帰郷。同じく福岡を拠点に練習していた道下選手は、パラリンピックでのメダル獲得に向けて安定した伴走者を探していた。そんな2人をよく知る所属先の人事部が、河口さんに道下選手を紹介。2人は出会い、ランナーと伴走者として東京2020パラリンピックを目指して走っていくことになったのだった。そんなコンビの現在を、スポーツ情報マガジン「スマイルスポーツVol.80」で語ってくれた。
(※取材は2019年9月12日に行いました)
画像: “きずな”と呼ばれるロープを握りしめる道下選手と河口さん。ランナーと伴走者の絆は、想像以上に長い時間をかけ、お互い信頼することで築かれていく

“きずな”と呼ばれるロープを握りしめる道下選手と河口さん。ランナーと伴走者の絆は、想像以上に長い時間をかけ、お互い信頼することで築かれていく

——お二人の出会いは3年前の2016年4月。当時のことは覚えていますか?

河口  最初は道下さんがコーチと来て、一緒にパスタを食べに行ったんですよね。

道下  そうそう。顔合わせみたいな感じで。そのときはお互いに緊張していたよね。

河口  どう接したらいいのかわからなくて、パスタがノドを通りませんでした(笑)。でも、 道下さんはいつも笑顔で、ずっと笑っていたのが印象に残っています。

道下  河口さんは視覚障害者と接するのは初めてで、声掛けの仕方もわからないから無言になっていました(笑)。陸上をずっとやっていたという話を聞いていたので、冷静に見られているのかな?と思っていました。

河口  ただ無言だっただけです(笑)。私はどちらかというと人見知りなんです。

道下  私も昔はすごく人見知りでした。でもランニングを初めてからは社交的になって、今ではいろいろな人に声をかけて、「ロープを持ってください」とお願いするくらいです(笑)。

河口  道下さんと出会うまではブラインドマラソンという競技も知りませんでしたし、伴走することも初めてでとまどいもあったと思います。

道下  それでブラインドランナーの気持ちがわかるようにということで、アイマスクをつけて山登りを体験したんだよね。

河口  そうなんです。他の伴走者の方から、自分で経験してみたらブラインドランナーに対する声掛けが変わってくると言われたので、私も実際にアイマスクをつけて山登りを体験しました。

道下  その話を人から聞いて、私に寄り添おうとしてくれていることを感じて、とても嬉しく思ったんです。実際、山登りをした後から私に対する声掛けが変わって、私が不安に思うことを察して先に声を掛けてくれるようになりましたね。

河口  山登りは冷や汗が出るくらい本当に怖くて、伴走者の責任感というのが大事だと感じました。

道下  山は不整地なので、自分が何かあると思っていた足元に何もなかったという不安があります。

河口  アイマスクをつけると、目の前がぐるぐる回っている感じでした。どっちを向いて歩いているのかわからないし、「足を上げて」と言われてもどれくらい上げればいいのかわからないから、次の日はすごい筋肉痛でした(笑)。

画像: インタビュー中は底抜けに明るい道下選手とそれを穏やかな笑顔で見守る河口さんという構図。18歳差とは思えない息のあった受け応えが印象的だった

インタビュー中は底抜けに明るい道下選手とそれを穏やかな笑顔で見守る河口さんという構図。18歳差とは思えない息のあった受け応えが印象的だった

——東京2020パラリンピックまで1年を切りました。今はどんな気持ちですか?

道下  私はあと1年しかないんだという思いのほうが強いです。あと1年となったときに、少しだけ焦りが出てきました。でも、まだ時間はあるので、できる限りのことをしたいと思っています。女子のブラインドマラソンでは、私が今一番良い記録を持っているので、追われる立場です。今まで通りしっかり練習をして、自信を持てるように準備をすれば、絶対に勝てるはずです。だから落ち着いて冷静に毎日を一生懸命過ごしていきたいです。

河口  先日、東京に試走に行ったときに、国立競技場がほぼ出来上がっていて、本当に大会が近づいてきたということを感じました。ここで焦ってしまうと空回りするので、今までやってきたことと、今やれることを自分自身がしっかりやりきることが大事だと思います。道下さんと一緒に戦いたいです。

道下  そうだね。東京ではリオで果たしきれなかった、金メダルを獲りにいきます。

河口  道下さんと出会って、いろいろなことを経験させてもらいました。それを一つひとつ形にしていきながらここまでやってきたので、これからも挑戦していきたいです。

道下  ブラインドマラソンのことを知ってもらうためにも、絶好の機会だと思うので、東京2020パラリンピックでは最高の結果を出したいです。障害のある人が街に出やすい環境、スポーツをもっと楽しめる環境が広がっていくといいなと思っています。

こちらの対談のほか、2人の信頼構築に不可欠なコミュニケーションの方法、微笑ましい失敗談、またブラインドマラソンを走る喜びなど、カラー2ページにわたる対談の全文は、12月1日に(公財)東京都スポーツ文化事業団が発行した『スマイルスポーツVol.80』に掲載されています。

道下美里(みちした・みさと)
1977年1月19日生、山口県出身。三井住友海上所属。2016年のリオデジャネイロパラリンピックで銀メダルを獲得。2017年の防府読売マラソンでは2時間56分14秒の世界新記録で優勝を飾った。

河口恵(かわぐち・めぐみ)
1995年9月27日生、福岡県出身。北九州市立高で長距離選手として活躍したのち、2014年に三井住友海上に入社し、女子陸上競技部に所属。2016年3月に現役を引退し、4月より道下選手の伴走者を務めている。

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