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2021-09-01

「QBとして林は高田鉄男に匹敵した」橋詰監督が語った日大フェニックスの2年半

日大フェニックスを再建した橋詰さん。次のステージでも活躍を期待したい

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フィジカル強化には競技しない期間を

――フットボール全般の話を伺います。立命館は、OLもDLも大きく強くて「何を食べているのですか」と聞きたくなるくらいでしたが、どういう強化方法が必要ですか。

橋詰 フィジカルを鍛えるというのは大事なことです。日大も非常に立派なトレーニングルームがあって、プロのストレングスコーチに来ていただいて、しっかりトレーニングをしている。それだけではなく、年間の練習プログラムで、ウェートや、走ったり跳んだりというトレーニングしかやらない、フットボールをしない時期を数カ月とります。技術的にうまくなることを犠牲にしてでも、フィジカルで強くなるということをチームプログラムとして優先させています。

――日大の春のスケジュールは、試合数が多い印象があります。去年はコロナで中止になりました。今年はどうですか。

橋詰 新型コロナの状況もあるので確定ではないですが、可能な場合は4月24日に始まって毎週試合があります。土曜、日曜の連戦もあります。土曜日に下位リーグの大学と試合を組んで、我々は若手メンバーで試合をし、日曜日には正規のメンバーで上位の大学と戦うという感じです。

――そうすると、フットボールをやらない時期を作るということと矛盾するように感じるのですが。

橋詰 春は試合をする期間を短くします。4月末から5月末までの1カ月だけです。土日に連日で試合をするのも、期間の幅を短くするためです。

 他のチームでは、4月中旬から6月、7月上旬まで試合を組んでいるケースがありますが、我々は今年の場合は5月30日で春の試合は終了です。定期戦や招待試合などもあり、お付き合いしなければならない場合もありますが、原則として、6~7月は防具を着けず、フットボールはしません。試合のための練習期間も含めても春は、フットボールは2カ月だけです。そういう年間のプログラムが、フィジカル強化には大事ですね。

 今春は、日大に期待できる素材がだいぶ入ってくれるので、これがあと2、3年続いたら本格的なチームになるんじゃないかなと思います。

 あの大変な時期に、リクルートも行われていました。選手の素材的には厳しい状況が続きました。それでも去年のようなチームを作ることができた。素材的によい選手の入部が続いたら、今後はもっと面白くなるんじゃないかなと思います。そういう意味では、退任は残念なところもあります。

――2つの高校のヘッドコーチを歴任されましたが、大学を教えた時と指導方法に違いはありましたか。

橋詰 技術や体格、体力の差があるので、全く一緒とは言いませんが、コンセプトやアサイメントは、何か特別に変えることはなかったですね。基本的には同じことをちょっと縮めて、あまり複雑にアレンジしないというぐらいです。というのは、立命館大学に向こうの戦術をインストールした時に、アメリカのものをそのまま日本に持ってきてやっていたので、その時点で本来ならだいぶ無理があるんです。でも意外とそのままできました。

――ライスボウル2連覇の立命館は本当に強くてレベルが高かった。

橋詰 そうですね。レベルの高い選手がそろっていたので、どんなフットボールをやっても勝ったと思います。ただし、日本の高校と大学の差よりも、アメリカと日本の差はもっと大きいので、そこは誤差の範囲ですね。

小座野容斉

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